犬猫はキクラゲを食べても大丈夫!ただし生食はNG
中国料理の食材でおなじみのコリコリ、プリッとした食感がおいしいキクラゲ。
乾燥したものが多く流通していましたが、最近では国産の生キクラゲの流通も増えているので、スーパーなどでも手に入れやすくなっています。
キクラゲは名前にクラゲと入ることや、刻んだ見た目が昆布などに似ている様子から海藻に間違われることが多いですが、キノコの一種です。
キノコ類は栽培する際に、基本的に生食を想定していないため加熱調理が推奨されています。
人間と同様に犬や猫に対しても与える際には加熱する必要はありますが、キクラゲは犬猫が食べても大丈夫な食材のひとつです。
キクラゲの栄養や注意点について解説します。
生キクラゲと乾燥キクラゲの違い
キクラゲには生キクラゲと乾燥キクラゲがありますが、原料となるキクラゲは全く同じものです。
生キクラゲは一度も加熱や乾燥をされていないものを指し、乾燥キクラゲはその名の通り乾燥加工されたキクラゲを指します。
なぜわざわざ乾燥していないキクラゲに『生』とつけるのかというと、日本で流通していたキクラゲがほとんど乾燥キクラゲであったことから、乾燥していないキクラゲとして区別するためだそうです。
生キクラゲとあっても、決して生食を推奨するものではありませんので注意してください。
キクラゲが生食NGの理由
キクラゲは生、乾燥ともに加熱調理が推奨されています。
それはキクラゲがきのことしての栽培環境、自生環境にあります。
キノコ類は一般的な栽培環境として気温や湿度の管理が大切と言われており、20℃前後の気温に70%前後の湿度が求められていることが多くあります。
天然物が自生している場所も日陰でジメジメとしている場所に生えていることが多く、このような環境はキノコだけではなく食中毒を引き起こす可能性のある細菌等の繁殖もしやすい環境であるとも考えられます。
農林水産省からも、食品安全確保のための基本的な考え方として、野菜や果実の生食に対しては
消費段階において適切に水洗いし、必要な下処理(皮むきなど)をした上で、生食が行われることがあることを前提とした栽培・衛生管理を実施。
いも類、もやし、きのこ類、山菜類及び穀果類並びに一般的に生食の行われることのない農産物を除く。やまのいも、マッシュルーム、うるい、くるみ等一部生食が行われる例外あり。
と掲載しています。
これらのことから、キノコ類に関しては安全に食べる事を考えた場合、加熱調理をするべきであると言えます。。
犬猫にキクラゲを与えるメリット
キクラゲには豊富な食物繊維が含まれる他にも、ビタミン、ミネラルの補給も期待できる食材です。
犬猫にとってメリットとなる栄養やその効能について解説します。
食物繊維
キクラゲには食物繊維が豊富に含まれており、その量はゴボウの3倍ともいわれています。
キクラゲには不溶性と水溶性どちらの食物繊維も含まれていて、整腸作用にとても優れています。
また、食物繊維の働きとして有害物質の排出を促す効果も期待されています。
カルシウム
キクラゲにはカルシウムが多く含まれているため、骨や歯を丈夫にしてくれます。
ほかにも筋肉が正常に収縮するのを保つ、神経を安定させる、血液を固めて止血する、ホルモンを分泌させる、細胞分裂を促す、胃液の分泌を調整する、鉄の代謝を補助するなど実に多様な働きをします。
ビタミンD
キクラゲにはビタミンDが含まれており、このビタミンDはカルシウムの吸収率を高める働きがあります。
カルシウムとビタミンDを同時に摂れるキクラゲは、効率良くカルシウムが吸収され、丈夫な歯や骨、筋力の維持に活躍します。骨粗しょう症の予防も期待できます。
鉄
キクラゲに含まれる鉄の含有量は100gあたり35.2㎎と、鉄分の補給も期待できます。
鉄の補給と言えばレバーを思い浮かべますが、豚レバー:13㎎/100g、鶏レバー:9㎎/100g、牛レバー:4㎎/100gです。
比較的含有量の多い豚レバーと比べるとキクラゲには2.7倍もの鉄が含まれています。
鉄は全身に酸素を送る役割をしている他にも、体内の老化を促進したり正常細胞を傷つける過剰な活性酸素を分解する働きを持ちます。
犬猫にキクラゲを与える際の注意点
乾燥キクラゲは必ず水に戻してから調理しましょう
乾燥キクラゲは一年中流通していて、長期保管もでき使いたい量だけを取り出して使えることから、常備している方も多くいるでしょう。
乾燥キクラゲは下処理として、一晩ほど水に浸ける必要があります。乾燥しているキクラゲは軽く少量に見えますが、水に浸して戻したキクラゲは乾燥時から約7倍ほどに膨らみます。
もし乾燥キクラゲを水に戻さず犬猫に与えてしまうと、胃の中の水分で大きく膨張し、下痢や嘔吐、消化できずに詰まらせるなどの危険性がありますので、絶対に乾燥キクラゲをそのまま与える事はやめましょう。
また与えるつもりがなくても、キッチンに放置する事や保管場所が犬猫の手が届く場所にあった場合、誤って犬猫が口にしてしまうケースもありますので、保管場所にも十分に注意しましょう。
過剰摂取はNG!細かく刻んで適量を与えましょう
キクラゲは上記で解説したように、食物繊維が豊富な食材です。
食物繊維には健康的効果がありますが、人と比べて消化能力が低い犬猫が過剰に摂取してしまうと下痢や便秘を助長してしまう事もあります。
犬や猫は食べ物を丸のみしてしまう習性があるので、大き目なカットで与えてしまうと消化に非常に負担がかかり、消化不良を起こしてしまう事も考えられます。
低カロリーで食べ応えもあるため、ダイエットをしている犬猫に対してたくさん与えたくなってしまいがちですが、消化の観点から健康被害を及ぼす危険性があるので、主食になるような量でカサ増しなどに使うのはおすすめできません。
細かく刻んだキクラゲを、トッピングや、手作りごはんの食材の一部として適量を使用するように注意しましょう。
市販のキクラゲの使用を推奨!『クロハナビラタケ』に注意
キクラゲは山の奥深くでなくても、沢釣りができるような人が踏み入れやすい場所にも自生しており、みつけやすいとも言われています。
ただし、見た目がそっくりな『クロハナビラタケ』という毒キノコが存在します。
クロハナビラタケは倒木や切株、しいたけのほだ木にも発生することがあるようです。
見た目は黒く、食用のキクラゲによく似ている形状ですが、キクラゲと違って毒性があり、食べると激しい腹痛や下痢などの消化器系の中毒症状を引き起こします。
毒性のあるキノコを食べてしまう事があれば、人間より小さな体の犬や猫は命を落とす危険性まで考えられます。
キノコに対して深い知識がない場合には、自生しているキクラゲのようなキノコを安易に採って自身で食べる事も、犬猫に与えることも控えた方がいいでしょう。
このような危険性を考えると、市販のキクラゲを購入することが安全安心であると言えます。
まとめ
キクラゲは生のものと乾燥したものが流通していますが、犬猫はどちらも食べても大丈夫です。
キクラゲの食物繊維はゴボウの3倍ともいわれてるほど豊富に含まれ、整腸効果が期待されます。
カルシウムと共にビタミンDも含まれるため、カルシウムを効率よく補給できる優れた食材でもあり、鉄に関しては豚レバーの2.7倍ほど含まれるので貧血の予防にも活躍してくれそうです。
犬猫に与える際には、乾燥キクラゲは必ず水で戻す下処理を行い、どちらも必ず加熱調理をしてから与えてください。
歯ごたえのある食感が魅力のキクラゲですが、犬猫は丸飲みしてしまう習性があるため、消化のサポートをしてあげるためにも細かく刻むことも大切です。
総合栄養食のドライフードへのトッピングや、手作りごはんのアクセントに上手に活用して愛犬、愛猫の健康維持に役立つことに期待します。
参考:食材大全(NHK出版)
参考:食品成分表(女子栄養大学出版部)