鯵について
焼き魚やお刺身だけでなくアジフライなど様々な食べ方が楽しめる鯵。
市場で一年中見かける鯵ですが旬は5月~8月の初夏~夏の時期です。この時期の鯵は油がたっぷり乗っていてとても美味しくいただけます。
そんな鯵は犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫は鯵を食べても大丈夫!
犬や猫は鯵を食べても大丈夫です。手作りご飯に鯵を活用することは出来ます。
しかし与える量や食べさせ方には注意が必要なので解説していきます。
鯵を犬猫に与える際の注意点
刺身(生)で食べても大丈夫?
人間の場合は鯵をお刺身で食べることもあると思います。しかし、犬猫に鯵を与える際は生で与えない方がいいです。
犬猫は鯵を生で食べられないことも無いですがリスクがあります。
アニサキス
生の鯵には「アニサキス」という寄生虫が寄生しているかもしれません。
東京都福祉保健局の調査によると天然のマアジ59匹のうち8匹からアニサキスが検出されたようです。
アニサキスが生きたまま体に入ってしまうと胃で激痛が起こったり腸閉塞に至る場合もあります。
アニサキスは加熱することによって死滅します。
ヒスタミン中毒
鮮度の落ちた鯵を食べると「ヒスタミン中毒」という食中毒になる可能性があります。
鯵などの青魚には「ヒスチジン」というアミノ酸が多く含まれており、常温で放置されたり悪い環境で保存されるなどして
鮮度が落ちてしまうととヒスチジンが「ヒスタミン」という食中毒の原因となる成分に変化してしまいます。
しかもヒスタミンは熱に強いので一度生成されてしまうと死滅させることができません。
鮮度が落ちた鯵などの青魚はたとえ加熱調理したとしても犬猫に与えないようにしましょう。
また、ヒスタミンは人間にとっても有害であるため飼い主様も食べてはいけません。
黄色脂肪症(イエローファット)
鯵などの魚を犬猫に大量に与えることによって黄色脂肪症(イエローファット)と呼ばれる病気になる可能性があります。
不飽和脂肪酸とビタミンEの関係
鯵にはオメガ3脂肪酸などの不飽和脂肪酸と呼ばれる成分が多く含まれています。この不飽和脂肪酸の過剰摂取が黄色脂肪症につながります。
不飽和脂肪酸は細胞膜を構成したりするために必要な必須脂肪酸ですが、酸化しやすいという特徴があります。
酸化して過酸化脂質になってしまうと細胞を傷つけてしまうので抗酸化作用のあるビタミンEが不飽和脂肪酸の酸化を止めます。
こうしてビタミンEが消費され続けると脂肪の酸化が止められなくなり黄色脂肪症になってしまいます。
黄色脂肪症の症状
犬猫が黄色脂肪症になると胸部・腹部・鼠径部などに「しこり」ができます。
この「しこり」は酸化した脂肪が炎症を起こしている状態です。これには痛みが伴うため、触られるのを嫌がります。
他にも発熱や食欲不振などの症状が現れ全体的に元気がなくなります。
黄色脂肪症にならないために
大量に鯵などの魚をあたえるのはやめましょう。一度に大量に与えるのはもちろんよくありませんし日常的に魚を与えるのもよくありません。
長いスパンで考えると徐々にビタミンEが不足していく可能性があります。
あくまでメインは総合栄養食のペットフードを与え、たまにご褒美やおやつ代わりに鯵を与えてみるのがよいでしょう。
鯵に含まれる代表的な栄養素
まあじ 皮つき 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 112kcal |
たんぱく質 | 16.8g |
脂質 | 3.5g |
炭水化物 | 3.3g |
カルシウム | 66mg |
ビタミンB1 | 0.13mg |
ビタミンB2 | 0.13mg |
ビタミンB6 | 0.30mg |
ビタミンB12 | 7.1μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
たんぱく質
鯵には100gあたり16.8gとたんぱく質がとても豊富に含まれています。
たんぱく質は犬猫にとって重要なエネルギー源となる他に、皮膚・内臓・骨・被毛など犬猫の体をつくるうえで欠かせない栄養素です。
しかし、過剰に摂取すると肥満の原因にもなりますので注意しましょう。
不飽和脂肪酸
先述したとおり鯵には不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。青魚の栄養素として有名なDHAやEPAがその一種です。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や神経の発達や健康維持に役立つ栄養素で、認知機能の発達に効果があると言われています。
EPA(エイコサペンタエン酸)には炎症をやわらげる働きや血液凝固を抑える働きがあります。関節炎や動脈硬化に効果があると言われています。
黄色脂肪症に注意しながら摂取したい栄養素です。
カルシウム
カルシウムの役割は大きく分けて2つあります。
丈夫な骨や歯をつくる
ご存じの方も多いかもしれませんがカルシウムは健全な骨や歯をつくる上で欠かせない栄養素です。
体内のカルシウムの90%以上は骨や歯に存在しています。リン酸と結合しリン酸カルシウムとして骨格を形成しています。
そのほかの役割
骨や歯を作っているカルシウム以外のカルシウムは体内でなにをしているのでしょうか。
実はカルシウムの役割はとても多く、細胞間の情報伝達・筋肉収縮・神経興奮の抑制・血液凝固作用の促進などがあります。
カルシウムはたくさん摂った方がいいの?
日本人はカルシウム不足の傾向にあるそうですが、犬猫の場合は総合栄養食のペットフードを与えていればカルシウム不足になることはありません。
逆に犬猫がカルシウムを過剰に摂取してしまうと骨格異常や尿路結石の原因となってしまうので注意しましょう。
ビタミンB群
鯵にはビタミンB1、B2、B6、B12などのビタミンB群が豊富に含まれています。
ビタミンB1には神経系の機能を正常に保つ働き、ビタミンB2には脂肪からエネルギーを作り出す働き、
ビタミンB6にはアミノ酸・脂質・炭水化物の代謝、ビタミンB12にはたんぱく質や赤血球の合成などそれぞれに重要な役割があります。
ビタミンB群はいずれも水溶性で、体内に貯蓄することができないので定期的に摂取する必要があります。
犬や猫にあげる鯵のレシピ
小さめにすればふりかけのように使うこともできますので、ドライフードへの香り付けや食欲刺激にも使えます。
鯵の旨味と一緒に大根おろしの栄養と水分が一緒に摂取できる嬉しい一品です。
【まとめ】犬猫は鯵を食べても大丈夫
犬猫は鯵を食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
- 生食は寄生虫のリスクがある
- ヒスタミン中毒の危険性があるので保存方法に注意し、鮮度が落ちた鯵は与えない
- 与えすぎに注意
今回は鯵について紹介しました。
鯵のような魚は犬だけでなく猫も喜んで食べてくれるはずです。ぜひ手作りご飯に活用してみてください。