高級食材として有名なアワビ。
二枚貝の片方の殻が取れたような平らな見た目をしていますが、実は巻き貝の仲間です。
お刺身、ステーキ、バター炒めなど色々な調理方法で美味しくいただけます。
そんなアワビは犬猫が食べても大丈夫な食材なのでしょうか。
犬や猫はアワビを食べてはいけない!
犬猫にアワビを与えてはいけません。
アワビには犬猫にとって危険な成分が含まれているので解説します。
食べても良い貝・ダメな貝
貝類の中にも犬猫が食べても大丈夫なものと犬猫が食べてはいけないものがあります。
アワビは後者に含まれる貝で、他にはサザエ・ツブ貝・赤貝などが食べてはいけないものに含まれます。
犬猫が食べても大丈夫な貝にはアサリ・しじみ・ホタテ(貝柱と貝ヒモ)などがあります。
ピロフェオホルバイドα
犬猫が食べてはいけない貝類には「ピロフェオホルバイドα」という犬猫にとって良くない成分が含まれています。
アワビがエサとしているのは主に海藻ですが、海藻を食べたときに海藻に含まれる葉緑素(クロロフィル)がアワビの中腸腺*¹という部位に蓄積されます。
この葉緑素がアワビの持つ酵素によって分解され「ピロフェオホルバイドα」が生成されます。
*¹ 軟体動物や節足動物にのみ存在する消化腺の一種
光線過敏症
実はピロフェオホルバイドα自体に毒があったりするわけではなく、食べてしまっただけではあまり影響は無いといえます。
しかし体内に取り込まれたピロフェオホルバイドαは日光などの可視光線と反応し、作り出された活性酸素が脂肪酸を酸化させて「過酸化脂質」が生成されます。
さらに過酸化脂質が犬猫の皮膚に炎症を発生させることを光線過敏症といいます。
猫が貝を食べると耳が取れる?
「猫が貝を食べると耳が取れる」という噂を聞いたことがありますか?
これは江戸時代の書物に記載されていた言い伝えが元になっており、このような言い伝えが出来たのは前述した光線過敏症が原因だと後の研究で判明しました。
ピロフェオホルバイドαは体内で血液中に取り込まれるため、被毛に覆われていない耳で発症しやすいです。
耳で光線過敏症を発症した猫は炎症が痒くて自分で耳が取れるほど掻きむしることがあり、「猫が貝を食べると耳が取れる」と言われるようになったようです。
加熱すれば食べても大丈夫?
アワビは加熱したとしても犬猫に与えてはいけません。
アワビにはピロフェオホルバイドαの他に「チアミナーゼ」という酵素が含まれています。
このチアミナーゼは多くの魚介類に含まれており、体内のビタミンB1を破壊する性質があり犬猫はチアミナーゼを摂取しすぎると危険だと言われています。
チアミナーゼは加熱により活性を失いますが、ピロフェオホルバイドαは熱に強いため加熱したとしても犬猫に与えてはいけません。
ホタテやアサリなどの犬猫が食べても大丈夫な貝類にもチアミナーゼは含まれているので、犬猫に与える場合は必ず加熱してからにしましょう。
犬猫がアワビを食べないために
お取り寄せなど自宅で食べる際はまず保存方法に注意しましょう。
冷蔵庫か冷凍庫での保存が基本になるかと思いますが、犬猫が開けてしまわないように注意が必要です。
冷蔵庫や冷凍庫にはアワビだけでなく他にも犬猫が食べてはいけないものが入ってる可能性もあるので、もし愛犬愛猫が冷蔵庫を勝手に開けてしまうという場合はなにか対策が必要です。
また実際にアワビを食べる際にはできるだけ愛犬愛猫を近づけないようにするのが無難です。
何かの拍子にテーブルから落としてしまったアワビを犬猫が食べてしまう可能性もあるので十分注意しましょう。
ペットOKのレストランやペットと一緒に泊まれる旅館などに宿泊した際の食事としてアワビが提供される可能性もあります。
そんなときも必ず飼い主様だけで食べるようにし、犬猫用の食事や家から持参したペットフードを与えましょう。
もしも食べてしまったら?
どんなに注意していても食べてしまうこともあるかと思いますが、そんなときは焦らず対処しましょう。
アワビはそれなりに歯ごたえがあるので、犬猫がまだ飲み込んでいない場合は口から取り出してあげましょう。
もし飲み込んでしまっていた場合はのどに詰まって呼吸困難を起こしていないか注意し観察しましょう。
そして飲み込んでいるかどうかに関わらず、すぐに獣医師へ相談してください。
【まとめ】犬猫にアワビは与えてはいけない
犬猫にアワビを与えてはいけません。
- ピロフェオホルバイドαが光線過敏症の原因となる
- チアミナーゼは加熱で不活性化するが、ピロフェオホルバイドαは加熱に強い
- 食べてしまっても焦らず獣医師へ相談する
ということを覚えておきましょう。
愛犬愛猫とアワビの美味しさを共有できないのは残念ですが、飼い主様だけで楽しみましょう。