らっきょうは犬猫が食べてはいけない食材です
漬物として日本人に馴染みのあるらっきょうは5月の下旬から6月にかけて旬を迎え、漬物だけではなく生のものもスーパーに並びます。
若採りのらっきょうはエシャレットと呼ばれ、生でかじって食べるのも好まれています。
らっきょうはヒガンバナ科ネギ属であり、和名・別名はオオニラ、サトニラとされています。
同じヒガンバナ科野菜にはタマネギ、ニラ、ニンニク、ワケギなどがあげられ、どれも犬猫が中毒症状を引き起こすことで有名な野菜ばかりです。
もちろんらっきょうも例外ではなく、犬猫が中毒症状を引き起こす食べてはいけない食材のひとつです。
らっきょうに含まれる中毒成分や、注意点について解説します。
エシャレットとエシャロットの違い
らっきょうの若採りの生のものをエシャレットと呼ぶと上記で解説しましたが、エシャロットと呼ばれることもしばしばあります。
本来、エシャロットはフランス料理などでよく使われる小球のタマネギのことを指し、らっきょうとは別の野菜ですが、混同されてらっきょうなのにエシャロットと呼ばれたり売られたりしていることもあります。
しかし、らっきょうであるエシャレットも、小球タマネギのエシャロットも犬猫が食べれば中毒症状を起こす危険な食べものです。
らっきょう、エシャレット、エシャロットと呼び名は違えど、どちらも犬猫が食べてはいけない食材として飼い主は認識する必要があります。
犬猫がらっきょうを食べてはいけない理由
らっきょうに含まれる中毒成分の存在
らっきょうには、タマネギなどと同様に犬猫が中毒症状を引き起こす成分が含まれています。
この成分は有機チオ硫酸化合物と呼ばれるもので、犬猫がこの有機チオ硫酸化合物を摂取すると赤血球や赤血球中に含まれるヘモグロビンが酸化し、赤血球が破壊されてしまいます。
鉄が酸化し、サビてボロボロになってしまう様子をイメージするとわかりやすいかもしれません。
また、らっきょうに含まれるアリルプロピルジスルフィドという成分はネギ属の植物にみられる有機硫黄化合物であり、有機チオ硫酸化合物の吸収力高められるといわれていています。
犬猫の体内にこれらの中毒物質が入ると赤血球のヘモグロビンが酸化し、溶血性貧血という状態になり、重篤な場合には死に至ってしまうケースもあります。
これらの成分は加熱しても分解されるものではなく、また煮汁やらっきょうであれば漬物の液へも溶けだすことが考えられるので、らっきょうだけ避ければいいというわけではありません。
一緒に調理したもの、漬物液なども犬猫が口にしないように注意しましょう。
犬猫がらっきょうを食べた際に引き起こす中毒症状
上記で解説したように、らっきょうには犬猫が溶血性貧血を引き起こす中毒成分の含有が確認されています。
らっきょうを誤って食べてしまった場合、下記のような症状が現れるとの報告があります。
- 嘔吐
- 下痢
- 過剰なよだれ
- 尿の色が濃くなる
- 腹痛
- 黄疸
- 脈が速くなる
- 呼吸が荒い
- フラフラしている
- 元気がない
タマネギ中毒に関するものですが、猫はわずか5g/kg、犬では15~30g/kgの少量の摂取で臨床的に重要な血液学的変化をもたらしたとの報告があります。
らっきょうの致死量は明確にわかっていませんが、らっきょうは1粒で約10g前後あるので、犬猫の体格や個体差によってはたった1粒でも重篤な症状を起こす可能性は十分にあると考えられます。
犬猫がらっきょうを食べてしまった際の対処法
もし、犬猫がらっきょうを食べてしまったら症状の有無に関わらず、できるだけ早く動物病院で受診しましょう。
症状が出てないから様子を見てればいいかな、小さい1粒を食べただけだから大丈夫かな、と対処せずに過ごしてしまうと、数時間後には手の施しようがないほどの症状になってしまう事もあります。
らっきょうやネギ類などを食べた場合、中毒症状が出る時間は食後すぐではなく数時間後~翌日以降に症状が現れる場合もあります。
中毒成分の含有が分かっている食品の誤食が分かった場合には、様子を見る必要はなく、すぐに動物病院に相談することを覚えておきましょう。
受診する際には、いつ・なにを・どれくらいの量を食べたのかを獣医師に伝えると診察がスムーズに行われる場合がありますので、飼い主は冷静に状況を記録し対処できるとよいでしょう。
まとめ
らっきょうはタマネギ、ニラ、ニンニクなどの仲間であり、犬猫が中毒症状を引き起こすことで知られる食べてはいけない食材です。
致死量は明確ではありませんが、1粒でも重篤な症状を起こす危険があり、最悪の場合死に至る事もあるので絶対に食べさせてはいけません。
らっきょうは日本人にとって非常になじみ深い食材であるため、食卓に並ぶ機会も多く、旬の時期になれば自宅でらっきょう漬けを作る方も少なくありません。
犬猫が誤食しないように、食卓に出す際には犬猫の手が届かないように注意する事や、購入したらっきょうをキッチンに放置する事のないように気をつけましょう。
また、らっきょうの名前ではなくエシャレット、エシャロットとしても販売されている食材です。
これは生食用のらっきょう、小球のタマネギの名称であるため、らっきょうと同様に犬猫が食べないように注意しましょう。
命の危険も考えられるらっきょうなので、万が一食べてしまった事が分かったら、症状の有無に関わらず早急に動物病院で受診することが大切です。