味噌汁の具などでおなじみの小さな貝しじみ。
肝臓に良いイメージが強く、二日酔いの際にはしじみを食べると良いなどと言われています。
そんなしじみは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬猫の肝臓への効果とともに解説していきたいと思います。
犬や猫はしじみを食べても大丈夫!
犬や猫はしじみを食べても大丈夫です。しじみの肝機能強化成分は犬猫にも効果的です。
ただし与える際にいくつか注意点もありますので順番に紹介していきます。
肝臓機能を強化する成分
しじみには肝機能強化の効果があります。
肝臓へいい効果をもたらす成分を紹介します。
タウリン
しじみには「タウリン」というアミノ酸が含まれています。
タウリンには肝臓の解毒作用を強化する効果があり、他にも抗酸化作用や血中コレステロール値を低下させるなどの作用があります。
しじみとアサリの違い
しじみの肝臓への効果にはアサリとの違いも少し関係しています。
しじみとアサリは大きさや味だけではなく決定的な違いがあり、それは「オルニチン」を含んでいるかどうかです。
タウリンはどちらにも含まれているのに対し、オルニチンはしじみにのみ含まれています。
オルニチン
オルニチンには肝臓や腎臓の働きを助ける効果があるといわれており、よく二日酔いの方が摂取しています。
オルニチンは犬猫にも効果があり、オルニチン配合の犬猫用サプリメントも販売されています。
特に肝臓や腎臓が弱ってくるシニアの犬猫は積極的に摂取したい栄養素です。
生食は絶対だめ!
絶対に生のしじみは与えてはいけません。人間の場合もしじみを生食することは無いと思いますがそれにはちゃんと理由があります。
しじみは淡水と海水が混ざった環境で育ちますがそのような環境にはウイルスや病原菌が繁殖しやすいと言われています。
そのような菌やウイルスのほとんどは加熱することによって死滅させることが出来ますが、このような環境に生息するしじみは菌をため込みやすいと言われているため生食は危険です。
また、生のしじみには「チアミナーゼ」という酵素が含まれており、これには体内のビタミンB1を破壊する作用があります。
ビタミンB1はからだの様々な代謝に関わっているとても重要な栄養素で不足すると「ビタミンB1欠乏症(チアミン欠乏症)」の心配があります。
ビタミンB1欠乏症になると運動機能障害や痙攣などの症状が現れ、適切な治療を行わなければ最悪の場合死に至る可能性もあります。
市販のペットフードのほとんどにはビタミンB1が必要量含まれているので不足する心配はあまりありませんがチアミナーゼを含む食材には注意が必要です。
チアミナーゼは魚のお刺身などにも入っているので人間への影響はあまりないと言えますが犬猫に対しては影響が大きくなってしまうかもしれません。
チアミナーゼは熱に弱く、加熱することにより活性を失うので犬猫にしじみを与える際は必ず加熱しましょう。
しじみに含まれる代表的な栄養素
生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 54kcal |
たんぱく質 | 5.8g |
脂質 | 0.6g |
炭水化物 | 6.4g |
鉄 | 8.3mg |
亜鉛 | 2.3mg |
ビタミンB12 | 68.0μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
ビタミンB12
ビタミンB12は貝類・レバー・海藻類などに多く含まれるビタミンですがその中でもしじみはビタミンB12の含有量がトップクラスに多い食材です。
ビタミンB12は分子中に「コバルト」というミネラルを含んでおり、たんぱく質の合成や赤血球の形成に欠かせない栄養素です。
老化防止や貧血防止に役立つビタミンで、犬猫が不足する心配はあまりありませんが消化器系の病気や小腸の悪性腫瘍などによって吸収量が減ってしまうこともあるようです。
ミネラル類
しじみにはミネラル類が豊富に含まれています。
鉄
鉄はヘモグロビンやミオグロビンなどの酸素を運搬する物質を作るために欠かせないとても大切な栄養素です。
人間が鉄分不足になると貧血や立ちくらみなどの症状を発症しますが犬猫にも同じような症状が現れます。
亜鉛
亜鉛は皮膚や被毛の健康維持や生殖機能などに関わっている栄養素で人間よりも犬猫の方が要求量が多いとされています。
総合栄養食のペットフードには亜鉛が必要量含まれていますが十分に摂取していてもカルシウムや繊維質との兼ね合いで
亜鉛の吸収が阻害されてしまい亜鉛不足になってしまうこともあるようです。
亜鉛不足になるとフケが出やすくなる・毛がパサつく・傷の治りが悪くなるなどの症状が現れます。
犬や猫にしじみを与える際の注意点
犬猫にしじみを与える際の注意点を紹介します。
細かくしなくても大丈夫?
しじみの身はとても小さく、そのままでもドライフード程度の大きさしかないのでのどに詰めたりすることは考えづらいですが
貝類は少し消化しにくい食材です。不安な方は包丁やフードプロセッサーで細かく刻んであげると良いでしょう。
アレルギーに気をつけて
犬猫は貝類にアレルギーを持っている可能性があります。
初めてしじみを与える際には少量に抑え、食べた後の様子をよく観察しましょう。
皮膚の赤み・かゆみ・目の充血・嘔吐などの症状が見られた場合はそれ以上与えるのをやめ症状が酷くなる場合には獣医師に相談しましょう。
犬や猫へのしじみの与え方
犬猫にしじみを与える際は人間と同じようにまず砂抜きをしましょう。手順は以下の通りです。
- 塩分濃度1%の塩水を用意します。(水1リットルに対し塩10g)
- バットなどの平らな入れ物にしじみを重ならないように並べ、塩水をしじみがしっかり浸るまで入れます。
- アルミホイルや新聞紙で軽く蓋をして涼しいところで3時間ほど置く
砂抜きをした後はそのまま料理に使えますが、最近の研究では冷凍することによってオルニチンの量が約8倍に増えるということが分かっています。
なので砂抜きが終わったら一度冷凍保存し、後日手作りご飯に使用するのもおすすめです。
出汁は使える?
しじみ茹でたあとのお湯にはしじみの出汁が出ていて旨味をたっぷり含んでいます。
こちらも手作りご飯に活用できますが塩分量には注意が必要です。
【まとめ】犬猫はしじみを食べても大丈夫
犬猫はしじみを食べても大丈夫です。注意点をおさらいしましょう。
- チアミナーゼやウイルスの心配があるので生食はNG
- 砂抜きをしてから与える
- 冷凍することによってオルニチンの量が8倍に増える
今回はしじみについて紹介しました。
ぜひしじみを使った手作りご飯を考えてみてください。