フクジュソウとは
フクジュソウ(福寿草)はキンポウゲ科の多年草です。早春に明るい黄色い花を咲かせる植物で、雪解けの時期に咲くことから「春を告げる花」として親しまれています。
日本では名前に「寿」が付くことから縁起の良い植物として扱われており、「ガンジツソウ(元日草)」とも呼ばれ、正月飾りや庭園の観賞用に用いられます。
日本でも親しみ深い植物のフクジュソウですが、命の危険も考えられる有毒植物なので取り扱いには十分に注意しなければいけません。
フクジュソウの基本情報
学名:Adonis ramosa
和名:フクジュソウ(福寿草)
その他の名前:元日草(がんじつそう)、朔日草(ついたちそう)
科名 / 属名:キンポウゲ科 / フクジュソウ属
花言葉:「幸せを招く」「永遠の幸福」「回想」「思い出」
フクジュソウに含まれる主な毒性成分
フクジュソウの有毒部位は全草であり、特に根茎や根に多く含まれると考えられています。
主な毒性成分は強心配糖体の「シマリン」や「アドニトキシン」です。
これらは、人間に対する死亡例もあるほど毒性が強いので、犬や猫もたとえ少量であっても誤食がないように注意しなけらばいけません。
フクジュソウの誤食による中毒症状例
- 嘔吐
- 脈の乱れ
- てんかん様発作
- 呼吸困難
- 心臓麻痺
フクジュソウの致死量は約0.7mg/kgといわれており、42mgあれば体重 60kgの成人が死亡すると考えられています。
犬や猫は人間よりも小さく、また解毒能力が低い事が分かっているので、上記の数値よりも更に低い摂取量で死に至る可能性が十分に考えられます。
フクジュソウの誤食による人間の死亡例
フクジュソウは生薬として利用されてきた歴史があり、根茎を乾燥させたものを生薬名で「福寿草根(フクジュソウコン)」と呼びます。
浸剤、陳基材として強心、利尿効果があるとされていますが、毒性が大変強いので民間や家庭での使用は絶対にしないように注意喚起がされています。
しかし、心臓病を患っていた方がこの生薬としてのフクジュソウの効果を期待して、ご家庭でフクジュソウの根を煎じて服用したことで死亡してしまったという事例があります。
さらにはフクジュソウの新芽が山菜のフキノトウに似ていることから、誤って食べてしまい中毒症状を起こしたという事例も複数あります。
これらの事例からも、フクジュソウに含まれる毒性の強さが窺えますので、犬や猫だけではなく人間にとっても注意が必要な植物であることがわかります。
フクジュソウを誤食してしまったら
上記で解説したように、フクジュソウの有毒部位は全草であり、またその毒性は非常に強いものであることがわかっています。
そのため、万が一愛犬愛猫がフクジュソウを誤食してしまった場合には早急に対応する必要があります。
できるだけ早く動物病院へ連絡をする
フクジュソウには強心配糖体と呼ばれる消化器や心臓に深刻な影響を及ぼす成分が含まれています。
そのため、わずかな誤食でも犬や猫の個体差によっては命の危険も考えられるます。
フクジュソウを誤食したことが分かった場合には中毒症状の有無にかかわらず早急に動物病院へ連絡し、獣医師の指示に従うようにしてください。
食べた量や時間を記録する
動物病院へ連絡し、獣医師の診察を受ける際に、犬や猫がどれくらいの量を食べてしまったのか、時間の経過、症状の有無などを伝える事が診察のヒントとなります。
飼い主は冷静に状況を記録し、落ち着いて行動するようにしましょう。
獣医師の指示なく無理に吐かせることはしない
有毒植物を誤食してしまった事が分かれば、すぐにでも吐かせたいと考える飼い主は多いでしょう。
口の中にまだ残っている場合には、口を開けさせ取り除いてあげる事は大変有効なので、気をつけながらしっかりと取り除いてあげましょう。
ただし、犬や猫が飲み込んでしまったものを無理に吐かせる行為は、誤って気道に詰まらせてしまう誤嚥などの危険性があるため、自己判断で行う事は大変危険です。
飲み込んでしまった事が分かった場合には速やかに動物病院へ連絡し、詳細を伝えた上で指示に従うようにしましょう。
犬猫が触れられる場所に飾る植物は安全なものを選ぶ
犬や猫は好奇心旺盛なので、思いがけないものをおもちゃにして遊んでしまったり、誤食してしまう事は多々あります。
そのため、室内や犬猫の行動範囲内には有毒植物を使用していないものを選ぶ事が一番の予防策になります。
犬や猫の手が届く範囲に飾るものについては、必ず安全性を確認し、また危険なものは置かない、飾らないようにしましょう。
参考:フクジュソウの基本情報(みんなの趣味の園芸 NHK出版)