ハリエンジュ(ニセアカシア)は犬猫にとって危険な植物。花以外のすべてにマメ科特有の植物毒

ハリエンジュ(ニセアカシア)とは

ハリエンジュ(ニセアカシア)は、北アメリカ原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木です。

明治時代に日本に導入され、痩せ地でも育つ生命力の強さから砂防や緑化、街路樹などに利用されてきました。

ニセアカシアではない、本来の「アカシア」は、主にオーストラリア原産のマメ科アカシア属の植物総称で、「ミモザ」として流通する多くはこれに当たります。

ハチミツの女王と呼ばれる日本で人気の高い「アカシア蜂蜜」は、実は「アカシア」ではなく、ハリエンジュ(ニセアカシア)の花から採取されています。

蜂蜜が取れるなら安全なのでは?と思ってしまいがちですが、ハリエンジュ(ニセアカシア)は有毒植物としても知られているため、犬や猫にとっては危険な植物です。

ハリエンジュ(ニセアカシア)の基本情報

学名:Robinia pseudoacacia
和名:ニセアカシア
その他の名前:ハリエンジュ
科名 / 属名:マメ科 / ハリエンジュ属
花言葉:「優雅」「真実の愛情」

ハリエンジュ(ニセアカシア)の主な毒性成分

ハリエンジュはマメ科の植物で、マメ科特有の植物毒の「ロビン」や「レクチン」を含むことが知られています。

有毒部位は、花以外の樹皮や種子、葉、樹液です。

ハリエンジュ(ニセアカシア)による中毒症状例

  • 嘔吐
  • 激しい腹痛
  • 下痢
  • 倦怠感
  • 震え
  • 重篤な場合には神経症状や呼吸困難等

国内での中毒事例は報告が少ないものの、海外では馬や人間においてハリエンジュの樹皮及び種子の誤食による中毒の報告があるようです。

主な症状は消化器系ですが、摂取量や個体差によっては神経系の症状を引き起こし、最悪の場合死に至る事も考えられるので、少量の誤食であっても油断できません

ハリエンジュの花には毒性成分が含まれていないので、食用とされることがありますが、犬や猫にあえて食べさせる必要はないでしょう。

食べていい植物だと誤認させないためにも、ハリエンジュには近づけさせないようにしましょう。

ハリエンジュ(ニセアカシア)を誤食してしまったら

ハリエンジュは野生化していることもあり、散歩コースなどで見かける事もあるでしょう。

もし、犬や猫がハリエンジュを誤食してしまったら、下記の手順で対応するようにしましょう。

誤食部位と誤食量を確認

犬や猫が食べてしまった部位を確認しましょう。ハリエンジュの場合、樹皮、種子、葉が特に危険とされています。

中でも樹皮と種子は特に危険と考えられています。可能な限り摂取量も確認し記録しておきましょう。

速やかに動物病院へ連絡

ハリエンジュの毒性は強いと考えられています。その為、少量の摂取でも油断できないので、誤食が分かった場合には症状の有無に関わらず動物病院へ連絡し、受診することをおすすめします。

既に上記で解説したような中毒症状が出ている場合には、その旨も伝えましょう。

中毒症状は時間が経ってから現れるケースが多く、自己判断で様子見をしてしまうと手遅れとなってしまう事があります。

毒性の強い有毒植物の誤食の場合には獣医師の指示に従うようにしましょう。

家庭で行うべきではないこと

誤食したことが分かった場合、すぐにでも吐き出させたいと思うでしょうが、自宅で獣医師の指示なく無理に吐かせてしまうと逆に状態を悪化させてしまう恐れがあります。

また、解毒剤や薬などを自己判断で使用することも危険です。投薬は獣医師の指導の下でのみ行うようにしましょう。

ハリエンジュ(ニセアカシア)にはトゲがある

ハリエンジュの特徴的要素のひとつとして「鋭いトゲ」があります。

植物自身の保護や生態系内での役割があるトゲですが、犬や猫、そして人間もこのトゲによって出血や炎症を起こしてしまう事があるので注意が必要です。

ハリエンジュのトゲは鋭く、皮膚に刺さった場合、抜き取らないと感染症を引き起こしてしまう恐れがあるので、注意しましょう。

また、ハリエンジュの樹液にも毒性成分は含まれると考えられているので、犬や猫は傷を舐める習性がある事から、間接的な影響を受ける可能性も考えられます。

ハリエンジュは誤食だけではなく、トゲによる外傷にも注意が必要であるため、近づけないように注意してあげましょう。

まとめ

ハリエンジュは強い毒性を持つため、誤食には十分注意が必要です。

毒性だけではなくトゲがある植物なので、ハリエンジュが生えている場所には犬や猫が近づかないようにしてあげるといいでしょう。

犬や猫がハリエンジュを誤食してしまった場合、早期の対応が重要です。中毒症状が出ていなくても、毒性成分は時間差で影響を及ぼすことがあるので、自己判断での様子見は危険です。

最寄りの動物病院やかかりつけの動物病院の連絡先を手元に控えておくと、いざという時に迅速に対応できます。

参考:ニセアカシアの基本情報(みんなの趣味の園芸NHK出版)

参考:North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox

参考:No.186:ハリエンジュ(Robinia pseudoacacia)に関する情報(案)

参考:ハリエンジュ 侵入生物データベース(国立環境研究所)

参考:人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑 著者: 土橋豊

スギさん

スギさんマッサンのペットフードの学校

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株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。8年間の学びを生かしてペットレシピにも執筆しています。

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