クワズイモはサトイモ科クワズイモ属の常緑性多年草で、大きなハート型の葉や存在感のある幹が特徴の観葉植物です。
どんなお部屋にも合わせやすく、室内でも栽培しやすい事から観葉植物としてとても人気があります。
しかし、このクワズイモは人間や犬猫に対して毒性があるため、誤食すると危険な植物として注意喚起されています。
クワズイモは食わず芋!
クワズイモは食用の里芋と葉の形状など外見がよく似ているため、里芋と間違えて誤食したことによる中毒事故がしばしば発生しています。
クワズイモの名前はその強い毒性から食べられない芋、『食わず芋』という意味から由来しているといわれています。
クワズイモの毒性成分はシュウ酸カルシウム
クワズイモの組織中にはシュウ酸カルシウムからなる顕著な針状結晶を多量に含むことが知られています。
このシュウ酸カルシウム針状結晶は、口にすると非常に強いえぐみや痛みを感じ、皮膚に付着すると炎症反応が起こります。
クワズイモの主な毒性成分はシュウ酸カルシウムであり、この針状結晶による刺激で中毒症状を発症すると考えられています。
参考:植物は毒針で昆虫を撃退する?シュウ酸カルシウム針状結晶とシステインプロテアーゼの劇的な相乗的殺虫効果
クワズイモは全草注意!樹液にも触れさせないようにしましょう
シュウ酸カルシウムはクワズイモの葉や茎だけではなく、根にも含まれています。
またクワズイモの葉や茎を切った際に出てくる樹液に触れるだけでも炎症反応を起こします。
クワズイモのお手入れをする際には人間も直接触れないように手袋の着用をし、根や実、切り落とした葉や茎は犬猫が誤食やおもちゃにしないように放置せず適切に処分しましょう。
クワズイモによる中毒症状例
クワズイモのシュウ酸カルシウムによる主な症状は下記の通りです。
- 口腔と喉の炎症
- 流涎
- 皮膚のかぶれ
- 嘔吐
- 下痢
- 嚥下困難
クワズイモに含まれるシュウ酸カルシウムは刺激がとても強いので、犬猫が多量に摂取することはまれであるといわれています。
しかし少量でも上記のような症状を発症するので、室内に置いている場合には犬猫が誤食しないようにクワズイモを育てる場所はよく検討する必要があります。
犬猫への誤食を防ぐには犬猫の行動範囲内にクワズイモを置かない事が一番の対策になるでしょう。
犬猫がクワズイモを誤食してしまったら
犬猫は人間よりも体が小さく、解毒機能も弱いといわれています。
個体差によるところが大きので一概には言えませんが、人間よりも重い症状が出るケースがあります。
犬猫がクワズイモをかじったり、樹液に触れたといったことに気づいたら速やかに動物病院へ相談し、獣医師の指示に従いましょう。
口の中に残っている物を取り除くことは必要でしょうが、飲み込んでしまったものを無理に吐かせるなどの催吐処置は大変危険なので自己判断で行わないように気をつけてください。
クワズイモと同じサトイモ科の危険な植物
クワズイモは観葉植物として人気なので広く知られていますが、あまり聞きなれない名前のものでもクワズイモと同様に危険とされている同じサトイモ科の植物があります。
また、聞きなれた植物でも同じサトイモ科として知られていない植物もあるので、確認しておきましょう。
- ショウブ
- スパシフィラム
- ディフェンバキア(シロガスリソウ)
- フィロデンドロン
- マムシグサ(ヘビノダイハチ、ヤカゴンニャク、ムラサキマムシグサ)
- エレファントイアー(カラー、アンセリウム、カラジウム)
- カラスビシャク(ハンゲ、ヘソクリ)
上記で挙げたものはこの記事で解説した内容と同じ危険性があると認識してください。
また、食用で知られる里芋は加熱すれば問題ありませんが、生で食べると中毒を発生しますので犬猫の届く範囲に生の里芋を放置しないように気をつけましょう。
まとめ
クワズイモは口にしたり樹液に触れると中毒症状や炎症を起こす危険性がある植物です。
原因はクワズイモに含まれるシュウ酸カルシウムからなる針状結晶で、口にすると強いえぐみや痛み、それに伴う過剰なよだれや消化器官への刺激で嘔吐や下痢をおこすなどのケースもあります。
誤食だけではなく、樹液に触れるだけでも炎症を起こすので全草において管理に注意が必要です。
もし犬猫がクワズイモを口にしたり、樹液に触れたことに気づいたら速やかに動物病院へ連絡し、獣医師にの指示に従ってください。
危険性を考え、犬猫の届く範囲、室内には置かないことも選択のひとつでしょう。
参考:ASPCA
参考:イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科