道路の脇や川沿いによく生えており、一般的には雑草の一種として扱われているエノコログサ。
「猫じゃらし」の別名で知られており、実際におうちへ持ち帰り猫と遊んだことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなエノコログサは犬猫にとって安全な植物なのでしょうか?
エノコログサは基本的には安全だが注意が必要
エノコログサには、犬猫にとって有毒な成分は含まれていないため比較的安全な植物と言えます。
しかし、場合によっては犬猫の体調悪化につながる可能性もあります。
今回はエノコログサから考えられる危険性や、正しい取り扱い方などについて解説していきたいと思います。
実は犬が由来の猫じゃらし
エノコログサは猫がじゃれることから「猫じゃらし」と呼ばれることが多いですが、実は名前の由来は犬にあります。
エノコログサは漢字では「狗尾草」と書きます。
「狗」という漢字には子犬という意味があり、子犬の尻尾に似ていることから狗尾草という名前が付けられました。
ちなみに英語では「foxtail grass」や「green foxtail」と呼ばれ、「キツネの尻尾」と形容されています。
エノコログサの基本情報
学名
Setaria viridis
科・属
イネ科・エノコログサ属
原産地
ユーラシア大陸
開花時期
6月~9月
別名
猫じゃらし(ネコジャラシ)・猫騙し(ネコダマシ)
花言葉
遊び・愛嬌
エノコログサから考えられる危険性
エノコログサには毒性がないため中毒症状などの心配はほとんどありませんが、以下のような危険性が考えられます。
丸呑みすると危険
猫とエノコログサを使用して遊んでいると、ふさふさした穂の部分をターゲットにして一心不乱に追いかけます。
市販の猫じゃらしを使って猫と遊んだことがある方は経験があるかもしれませんが、猫はターゲットを捉えると噛みつきます。
市販されているものは猫が噛みついてもすぐには壊れる心配はありませんが、エノコログサは植物なので簡単にちぎれてしまいます。
エノコログサを丸呑みしてしまった例
実際に猫がエノコログサを丸呑みしてしまい、次の日から以下のような症状が発症した例があります。
- 便が出ない
- 嘔吐
- 食欲不振
- 元気喪失
その後便秘が続き動物病院を受診したところ、腸閉塞とまではいかないものの注射や絶食を行うことに。
さらに2日後にようやく出た便を確認すると、丸呑みしたエノコログサの穂がそのまま入っていたそうです。
この例では腸閉塞などはなく排便後は元気になったそうですが、場合によってはもっと重篤化する可能性も考えられるので注意しましょう。
イネ科の植物の芒(ノギ)に注意
エノコログサのようなイネ科の植物の穂先には「芒(ノギ)」と呼ばれる針状の突起があり、犬猫の体に刺さってしまう危険性があります。
アメリカの団体「PETA(動物の倫理的扱いを求める人々の会)」は、犬猫に刺さったイネ科の芒が脳や臓器に到達し命に関わる危険性を呼びかけています。
エノコログサの芒は短く、毛のように柔らかいため通常心配する必要はあまりありませんが、夏が過ぎて茶色くなっているエノコログサには注意しましょう。
茶色くなったエノコログサの芒は緑色の頃より硬くなっている可能性があります。
食べ過ぎに注意
丸呑みしなかったとしても犬猫は植物の消化を苦手としているため、食べ過ぎると消化不良に繋がる可能性があります。
犬猫がエノコログサをむやみに食べてしまわないようにしましょう。
エノコログサを使って犬猫と遊ぶ場合の注意点
エノコログサと使って犬猫と遊ぶ場合の注意点をご紹介します。
基本的には食べてしまわないようにする
エノコログサには毒性はないとは言え、丸呑みの危険性などもあるため基本的には犬猫が食べてしまわないようにしましょう。
犬猫と遊ぶ場合は追いかけさせてできるだけ捕まえられないようにしましょう。
散歩中にも注意
犬を飼っている場合は散歩中にも注意してください。
エノコログサが散歩コースに生えていることも少なくないはずなので出来れば不用意に近づけないことが一番です。
様子がおかしかったらすぐに獣医師へ相談
もしもエノコログサを食べてしまった犬猫の様子がおかしければすぐに獣医師へ相談しましょう。
病気の予防や重篤化を防止するためには早めの受診が大切です。
【まとめ】エノコログサは毒性はないが注意が必要
エノコログサには犬猫にとって危険な成分は含まれていませんが取り扱いには注意が必要です。
今回紹介したポイントや注意点をおさらいしましょう。
- 毒性のある成分は含まれていないため犬猫が食べても大丈夫だが丸呑みには注意が必要
- イネ科の「芒(ノギ)」は犬猫に刺さってしまう可能性があるので茶色いエノコログサには注意
- 遊ぶときはできるだけ犬猫に捕まえられないようにする
今回は犬猫とエノコログサを使って遊ぶ際の注意点についてご紹介しました。
食べても大丈夫な植物でも丸呑みや食べ過ぎには注意しなければいけません。