ロウバイとは
冬に開花期を迎えるロウバイは、その名の通りまるで蝋細工のようにかわいらしい黄色の花を咲かせます。
英語名ではWintersweet(ウィンタースウィート)と呼ばれ、甘い香りが特徴の花木です。
公園や庭木に人気のあり、風情があるので切り花や茶花としても楽しまれますが、ロウバイは犬や猫が誤食してしまうと命の危険も考えられるので注意が必要です。
ロウバイの基本情報
学名:Chimonanthus praecox
和名:ロウバイ(蝋梅)
科名 / 属名:ロウバイ科 / ロウバイ属
花言葉:「奥ゆかしさ」「慈しみ」「慈愛」「先導」「先見」
ロウバイは全草有毒、特に種子は死に至る危険も!
可憐な花や甘い香りで人気のロウバイですが、ロウバイを経口摂取した動物が中毒症状を呈した症例がいくつか報告されています。
ロウバイに含まれる主な毒性成分
ロウバイの中で特に危険な部位は種子といわれており、種子にはアルカロイドの「カリカンチン」が含まれています。
また、葉にもアルカロイドの「キモナンチン」が含まれると考えられ、種子だけではなく葉の誤食にも注意しなければいけません。
種子や葉だけではなく樹皮、茎、花、果実、根、乳液にジテルペンエステルを含むと考えられている情報もあるため、当サイトとしてはロウバイは全草誤食がないように注意した方がいいと考えます。
ロウバイの誤食による中毒症状例
- 痙攣
- 興奮作用
- 呼吸促迫
- 神経症状
- 血圧上昇
- 心臓への影響
動物に対するロウバイの中毒発症報告は、羊がロウバイの種を誤食したことによるものが多くみられます。
国内の事例報告では、台風通過後にロウバイの種子が地面に落ちていたことから、放牧されていた羊が誤食してしまった可能性が非常に高いとされています。
このことから、公園周辺や庭木などで風が強く吹いた後の散歩時などに犬や猫が地面に落ちた種を誤食してしまう可能性があるため注意が必要です。
動物実験では種子に含まれる毒性成分のカリカンチンの半致死量をマウスで44㎎/1㎏、ラットで17㎎/1㎏、ウサギで8㎎/1㎏であるとされています。
カリカンチンの作用は動物の種類による差、個々の体重や代謝量によって同じ動物種でも臨床症状が異なる事が示唆されています。
犬や猫に対する明確な致死量はわかっていませんが、羊の死亡事例から考えて犬や猫にとっても大変危険な存在であるといえるでしょう。
クロバナロウバイにも強い毒性が含まれるので注意
ロウバイといえば黄色い花をイメージしますが、ロウバイの品種の中にはチョコレート色の花を咲かせるクロバナロウバイという品種があります。
こちらも上記で解説したものと同様に、種子に強い毒性成分をもち、誤食すれば致命傷となる中毒症状を示すことが分かっています。
クロバナロウバイの他にもソシンロウバイ、アメリカロウバイにも毒性成分が含まれると考えられているので覚えておくといいでしょう。
ロウバイには様々な品種があるので、公園や園芸店、花屋でロウバイと名の付くものをみかけたり購入された場合には、犬や猫が触れられる場所には置かない近づけないように注意してあげましょう。
まとめ
ロウバイには全草、特に種子に強い毒性が含まれるため、誤食した場合には犬や猫の命の危険が考えられます。
種子以外の部位にもアルカロイドの一種が含まれるため、全草誤食がないように犬や猫の生活環境下に置かないようにするといいでしょう。
台風のあとや風が強い日には地面に種子が落ちる事があります。
ロウバイが種をつける初夏から夏にかけては地面に落ちた種子を誤食しないように、散歩の際や庭木付近に犬や猫を近づけないように注意してあげましょう。
参考:山科植物資料館(日本新薬株式会社(Nippon Shinyaku Co., Ltd.))
参考:ろうばい(臘梅,Chimonanthus praeox (L.) Link )ろうばい科(Calycanthaceae)(熊本大学薬学部)