トチノキとは
トチノキは、北海道から九州の山地に分布する落葉高木です。
トチノキ属には、セイヨウトチノキ(白花)やベニバナトチノキ(赤花)などがあり、それぞれ街路樹や庭木として利用されるので、お庭でも公園や並木道でも見かける事がある身近な植物です。
このトチノキやその仲間には毒性成分が含まれるので、犬や猫にとって危険な植物です。
トチノキの基本情報
学名:Aesculus hippocastanum
その他の名前:マロニエ、トチ、トチニ
科名 / 属名: トチノキ科/トチノキ属
花言葉:「贅沢」「豪奢」「健康」「博愛」
トチノキの主な毒性成分
トチノキの主な毒性成分は「エスクリン」や「エスシン」といわれています。
有毒部位は生の種子、樹皮、花、葉であると考えられているので、全株危険であると言えるでしょう。
トチノキによる主な中毒症状例
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- しびれ
- けいれん
- 麻痺
犬や猫がトチノキの種子や葉などを摂取すると、嘔吐や下痢と言った消化器系の症状が現れます。
さらに、大量に摂取した場合や個体差によってはしびれやけいれんなどの神経系への影響や呼吸困難など重篤な症状を起こす可能性があります。
トチノキの毒性成分は犬や猫だけではなく、人間、馬や牛などにも有毒であることが知られています。
有毒なトチノキの種子から作る「とち餅」が食べられるのはなぜ?
日本の伝統的な郷土料理で、トチノキの実であるトチノミを使って作られる「とち餅」という食べ物があります。
人間にも動物にも毒性成分による健康被害があるトチノキの種子がなぜ食用できるの?と思う方も多いでしょう。
とち餅を作るのには1週間以上かけて煮たり水にさらすことでアク抜きをし、毒性成分を取り除いてトチノミを食用に利用できるようにしているのです。
非常に手間と時間がかかる工程を経ないと、トチノキの種子の毒性成分は取り除けないため、生の種子を食べないように注意しなければいけません。
食用であっても犬猫への安全性には心配が残るため、与えないようにしましょう。
犬や猫がトチノキを食べてしまったら
トチノキやその仲間は犬や猫にとって有毒なので、もし、摂取してしまった場合には下記を参考にしてください。
摂取を止める
トチノキの種子や枝、葉を食べようとしていたら、即座に取り上げましょう。
口の中の確認
口の中に残っているようであれば、慎重に口を開き取り除きましょう。ただし、飲み込んでしまったものを無理に吐かせるのは危険なので控えましょう。
獣医師への連絡
トチノキの一部を摂取してしまった場合には、食べた部位や量、経過時間、症状の有無を伝え、獣医師の指示に従いましょう。
すでに体調に異変がある場合、不安に思う事があれば速やかに病院へ向かい診察を受けましょう。
まとめ
トチノキは秋頃に種子を落とすので、庭や公園、散歩コースなどの地面に種子がたくさん落ちていることがあります。
犬や猫は植物に興味を持ちやすく、種子のように転がるものはおもちゃにしてかじったり飲み込んでしまう事があるので、近づけないように十分に注意しましょう。
中毒症状は摂取量や個体差によって異なりますが、有毒植物の摂取は早期対応が鍵となります。
万が一に備えて、日ごろから最寄りの動物病院やかかりつけの病院の連絡先を手元に控えておくといいでしょう。
参考:North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox
参考:ASPCA
参考:セイヨウトチノキのサポニン,エスシンの治療作用と毒性作用の機序
参考:人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑 著者: 土橋豊