忘れな草とは
春頃に花を咲かせる忘れな草は、春の訪れを報せてくれるかわいらしい花として園芸植物として人気です。
この忘れな草は私を忘れないでや真実の愛などロマンティックな花言葉が有名で、これはドイツに古くから伝わる悲恋の物語が由来といわれています。
花の色によって花言葉は変わり、真実の友情などの花言葉もあるので様々なシーンで贈り物にも好まれています。
贈り物やガーデニングでも人気な忘れな草ですが、犬や猫にとって安全な植物なのか解説します。
ワスレナグサの基本情報
学名:Myosotis
和名:ワスレナグサ(忘れな草・勿忘草)
科名 / 属名:ムラサキ科 / ワスレナグサ属
花言葉:「私を忘れないで」「誠の愛」「真実の友情」
忘れな草は犬猫にとって危険な植物ではない
忘れな草はムラサキ科の植物であり、このムラサキ科植物の一部には有毒成分であるピロリジジンアルカロイド類が含まれることがあります。
植物に含まれるピロリジジンアルカロイド類の中には強い毒性を持ち、ヒトや動物の肝障害の原因となるものや、動物実験では発がん性があるものもある事が報告されています。
しかし、ムラサキ科に属する全ての植物がピロリジジンアルカロイド類を含むわけではありません。
忘れな草には中毒を起こすような毒性成分は含まれていないので、犬猫にとって危険な植物ではありません。
ただし、犬や猫に積極的に食べさせる必要はないため、基本的には誤食がないように飾る場所や植える場所などには気をつけましょう。
「忘れな草」と間違えやすい「忘れ草」は全く別の植物
忘れな草と一文字しか違わない「忘れ草」と呼ばれる植物がありますが、名前は似ていても忘れ草の花や葉の形は忘れな草とは全く別物です。
忘れ草の基本情報
学名:Hemerocallis fulva
和名:ヤブカンゾウ(藪萓草)、オニカンゾウ
科名 / 属名:ススキ科 / ワスレグサ属
花言葉:「愛の忘却」「悲しみを忘れる」「憂いを忘れる」
忘れ草はヤブカンゾウとも呼ばれ、その花はオレンジ色でユリの花によく似ています。
以前はユリ科に分類されていましたが、DNA解析をもとに分類が見直され現在はススキ科となっています。
この忘れ草は以前ユリ科植物に分類されていたことや、花がユリやキツネノカミソリに似ていることから有毒植物と思われがちなので、似た名前の忘れな草が有毒植物であると勘違いされる事があるようです。
ヤブカンゾウについては明確な有毒情報や摂食による中毒症状を起こしたという報告はなく、更に人間に対してですが、食べられる野草としても知られています。
ただし、文献に見るカンゾウ(萱草)類の毒性について下記のような発表論文もあります。
ヤブカンゾウの花(金針菜)の安全性について,江戸時代から戦中戦後にかけての古文献を中心に調査した.八重咲のヤブカンゾウの花は有毒であるが,明治期の本草学の衰退と共にこの記載が文献から消え去った.
チャングムの本草学 追補 -文献に見るカンゾウ(萱草)類の毒性-
Natural History of Jang Geum (Supplement) - Toxicity of Daylilies in Literature -姉帯正樹
現在はススキ科であり、食べられる野草としても知られている忘れ草ではあります。
しかしながら、ユリに似ていることや毒性についてはっきりとしない事もあるので、庭に自生していたり散歩コースで見かけた場合には誤食がないように犬や猫は近づけない方がいいでしょう。
まとめ
忘れな草は園芸種として人気があり、ガーデニングで楽しまれる事や散歩に出た先の道や公園の花壇などでもよく見られる植物です。
この忘れな草は一部に有毒植物もあるムラサキ科の植物ですが、忘れな草には犬や猫に危険とされる毒性成分は含まれていません。
ただし、多量に食べてしまうと消化器系のトラブルを起こすことがあるので、基本的には誤食がないように置く場所には配慮してあげましょう。
似た名前の「忘れ草」にも注意が必要です。
参考:ワスレナグサの基本情報(みんなの趣味の園芸 NHK出版)