柿について
黄色みがかったオレンジ色で独特の甘さが特徴の柿。柿の旬は9~12月ごろの秋~冬の時期になります。
国内生産量が一番多い都道府県は和歌山県で20%以上のシェアを誇っています。
他に奈良県・福岡県・岐阜県・愛知県を含めた5つの県は柿の五大産地と呼ばれており、国内生産量の50%以上はこの五県で作られています。
正岡子規の有名な俳句に「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」とあるように柿は昔から日本で愛されてきた果物です。
固く歯ごたえのある柿も熟れて柔らかくなった柿もどちらもおいしいですし、渋柿も干し柿として美味しく食べることが出来ます。
そんな柿ですが犬猫は食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫は柿を食べても大丈夫!
犬や猫は柿を食べても大丈夫です。
ただしいくつか注意点はありますので今回は注意点や与え方を解説していきます。
渋柿と甘柿の違いって?
柿を犬猫に与える際の注意点の前に少し柿の豆知識を記載したいと思います。
柿には「渋柿」と呼ばれるものと「甘柿」と呼ばれるものがありますよね。この2つはなにが違うのでしょうか?
渋み成分「タンニン」
渋柿と甘柿にはどちらも「タンニン」という渋み成分が含まれています。このタンニンの性質が渋柿と甘柿では違います。
どちらも未熟なときは水に溶けやすい水溶性のタンニンを含んでいるのですが、甘柿は熟していくうちに水に溶けにくい不溶性のタンニンに変化します。
そのため甘柿は食べても渋みが口に溶け出してくることはありません。
しかし渋柿は熟した後も水溶性のタンニンのままなため食べると渋みを感じるのです。
なぜ干し柿には渋柿を使うの?
熟しただけではタンニンの性質が変わらない渋柿ですが、実はもともとの糖度20度前後あり、甘柿より高いのです。
そして渋柿に含まれているタンニンは干すことによって不溶性のタンニンに変化します。
つまり干し柿は渋柿が本来持っている甘さを味わうためにぴったりなんです。
さらに干し柿になって水分が抜けた柿の糖度は50前後にもなります。(甘くて美味しいといわれるみかんの糖度は14前後)
犬猫に柿を与える際の注意点
ではここから犬猫に柿を与える際の注意点を解説していきたいと思います。
生で与えて大丈夫!
犬猫は柿を皆様と同じように生で食べることが出来ます。
ただし生の渋柿には「アルカロイド」という有害物質が含まれているので渋柿は生で与えてはいけません。
また、生の柿を与える場合は消化不良やのどに詰めたりするリスクを回避するため、細かくしてから与えましょう。
最低でも普段与えているフードぐらいの大きさにしてあげましょう。フードプロセッサーなどでドロドロの状態にしても犬猫にとっては食べやすくていいでしょう。
皮や種に注意
皮や種は柿の中でも消化に悪く、胃や腸に詰める可能性があるので必ず皮や種は取り除いてから与えましょう。
干し柿は与えて大丈夫?
渋柿に含まれる有害成分の「アルカロイド」は渋柿にすると無くなるので干し柿には犬猫が摂ってはいけない成分は含まれていません。
ただし、干し柿は柿から水分を抜いたものなので同じ重量でも生柿にくらべて糖分や食物繊維が多くなっています。
与えない方が無難ではありますが、もし与える際は量に注意しましょう。
どれぐらいの量与えて大丈夫?
柿を与える際に注意したいのが「糖分」と「食物繊維」です。糖分過多は肥満や糖尿病につながります。
また、食物繊維は適量摂取することで腸内環境の改善が期待できますが摂取しすぎると逆に下痢や便秘を引き起こす原因となるので注意しましょう。
目安としては犬の場合は一日に必要なカロリーの10%ほど、猫の場合は小さじ1程度与えてみて体調に合わせて量を調整するといいでしょう。
アレルギーの危険性は?
どんな食べ物でもアレルギーの可能性は少なからずあるので注意しましょう。
犬猫のアレルギー反応は人間のアナフィラキシーショックのような大きな反応は滅多になく、皮膚の赤みやかゆみなどの場合が多いです。
症状に気づかず与え続けるのは大変危険なので初めて与える場合は少量に抑えて食べた後の様子をよく観察してあげましょう。
皮膚や口周りの赤み・腫れなどが見られた場合はそれ以上与えるのをやめ、症状が悪化する場合は獣医に相談しましょう。
柿に含まれる代表的な栄養素
甘がき 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 63kcal |
たんぱく質 | 0.3g |
炭水化物 | 14.5g |
食物繊維総量 | 1.6g |
ビタミンC | 70mg |
カリウム | 170mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
食物繊維
先述したとおり、柿には食物繊維が含まれています。
食物繊維は適量摂取すると腸内環境を整えてくれたり便通改善に効果的ですが犬猫は草食動物と違って食物繊維の消化吸収ができません。
食物繊維は消化吸収されなくても体の中を通るだけで大腸の動きを活発にする・便に水を運び柔らかくするなどの働きをしてくれます。
しかしやはり消化吸収されないものなので摂取しすぎると消化不良を起こし逆に便秘になってしまったり下痢になってしまうので注意しましょう。
ビタミンC
ビタミンCには抗酸化作用があります。老化や激しい運動による酸化ストレスの治療・予防に役立ちます。
犬猫は体内でビタミンCを生成することができるので必須ビタミンではありません。
カリウム
カリウムは多くの生物にとって重要なミネラルの一種です。体液の浸透圧の調整(多すぎる塩分を体外に排出)や細胞機能の維持が主な役割です。
総合栄養食のペットフードを与えていればカリウムが不足することはありません。
また、多く摂取しすぎたカリウムは通常尿とともに体外に排出されますが腎機能が低下している犬猫はカリウムの排出が上手くできず
血中のカリウム濃度が上がる「高カリウム血症」という病気になる可能性があります。
高カリウム血症は筋力低下・不整脈などを引き起こし、最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。腎臓が悪い犬猫を飼っている場合は注意しましょう。
犬や猫にあげる柿のレシピ
犬猫に柿を与える場合はフードに混ぜたりするよりおやつとして与えるのが良いでしょう。
皮・種・葉などは取り外して包丁で細かく刻むかフードプロセッサーやハンドブレンダーなどで食べやすくしてあげましょう。
【まとめ】犬猫は柿を食べても大丈夫
犬猫は柿を食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
- 生で食べても大丈夫です。細かくするのを忘れずに
- 食べ過ぎは糖分過多や食物繊維の消化不良の心配がある
- 干し柿は生柿に比べて同じ重量あたりの糖分や食物繊維の量が多いので注意
今回は柿について紹介しました。
紹介した注意点を守っておやつ代わりに与えたり手作りのおやつを作ってみてください。