「スパイスの王様」とも呼ばれるシナモン
シナモンとは、主に熱帯地方で栽培されるクスノキ科の常緑樹の樹皮を乾燥させたスパイスの一種。
インドやインドネシア、中国南部、スリランカなどで生産され、「スパイスの王様」とも呼ばれています。
漢方では「桂皮」と呼ばれ、古くから血行を助ける生薬として使われて来ました。
シナモン自体を購入し使っている方は少数かもしれませんが、シナモンロールやチャイなどで口にしたことがあるのではないでしょうか。
犬猫はシナモンを食べても大丈夫?
シナモンは全てNGという話を一部で見かけますが、これは正確とは言えません。
本記事では
- シナモンに含まれる成分「クマリン」とその肝毒性について
- シナモンが使われているペットフードって安全?
- 「カシアシナモン」と「セイロンシナモン」の違い
- 犬猫に与えられるシナモンの量
- シナモンを犬猫に摂取させることで考えられる健康メリット
などについて解説していきます。
シナモンに含まれる成分「クマリン」について
シナモンには「クマリン」という芳香成分が含まれています。
この成分は抗酸化作用を持ち健康効果がありますが、肝毒性もあり多量に摂取すると肝臓障害を患う可能性があります。
犬猫が肝障害になると
- 疲れやすくなり、元気がなくなる
- 嘔吐・下痢・軟便が増える
- 食欲不振・体重減少
- 過度のよだれ
などの症状が現れることが考えられます。
シナモンが使われているペットフードって安全?
上記の「クマリン」という成分が含まれていることにより、「シナモンが入っているペットフードは危険」と思う方もいるかもしれませんがそれは間違いです。
シナモンに限らずクマリンが含まれている食品はそのまま摂取してしまうと問題が生じる場合がありますが、こういったペットフードに使われているシナモンは含有量を適切に計算し調整していたり、製造過程で危険な成分が取り除かれています。
心配な場合はメーカーに問い合わせても良いかもしれません。
シナモンの種類
シナモンは大きく「カシア」と「セイロン」との2種類に分かれています。
カシアシナモン
クスノキ科のセイロンニッケイという常緑樹の近縁種から作られます。
主な生産国は中国・インドネシア・ベトナムで、世界のシナモン生産量の内90%以上を占めると言われています。
色は濃い茶色で、甘みの他にスパイシーさもあります。
セイロンシナモン
その名の通りセイロン島(スリランカの旧名)を原産とするシナモンで、セイロンニッケイを原料に作られます。
高さ10mにもなる樹木の皮を剥ぎ取り、乾燥させたもので、世界のシナモン生産量の内わずか8%のみの高級品です。
色は薄く、上品で甘い香りが特徴です。
シナモンの種類によるクマリン含有量の違い
気になるクマリンの含有量ですが東京都の調査では、以下の濃度のクマリンが検出されたと報告されています。
カシアシナモン:3257.5ppm
セイロンシナモン:13.7ppm
ppmは「100万分の1」という割合を表しており、1ppmの場合は1kgの食品から1mgの成分を検出したことを表しています。
ここから計算すると100gあたり、カシアシナモン325.7mg、セイロンシナモンは1.37mg、のクマリンを含んでいることがわかります。
セイロンシナモンは圧倒的にクマリンの量が少なくなっています。
参考:東京福祉保険局「シナモンの摂り過ぎは健康によくないのですか?」
犬猫に危険なシナモンの量は?
クマリンの含有量から、体重50kgの成人の場合1日のシナモン摂取許容量は、カシアシナモンで1.5g、セイロンシナモンで364.6g、と考えられています。
ここから体重5kgの犬猫の摂取許容量は、単純計算で以下のように推測できます。
- カシアシナモン:0.15g
- セイロンシナモン:36.4g
ただし人間と犬猫は身体の大きさや構造も違う全く別の生き物です。
シナモンをが原因で人間や犬猫を含む動物が死亡したという報告はありませんが、クマリンの肝毒性を考えると家庭で積極的に与えるのは控えた方が良いでしょう。
シナモンの健康的メリット
シナモンは「スパイスの王様」と呼ばれるだけあり、様々な効能が期待できます。
- 毛細血管の修復と強化を行い、血流を改善する
- 抗酸化作用により免疫力をアップ。筋肉痛や関節痛をやわらげる効果も
- 血行を良くし身体を温める
- 抗菌特性により、虫歯・口内感染・口内炎などを予防する
- 皮膚や毛の健康を保つ
以上が主な効能です。
シナモンには危険な成分も含まれていますので、含有量の少ないセイロンシナモンをごく少量を取り入れるか、適切に計算された上で配合されているペットフードや、シナモンが使用されていてもクマリンの含有の心配がないフードを購入した方が良いでしょう。
【まとめ】
シナモンは与え方や種類・量によっては犬猫が食べても大丈夫です。
シナモンは大きく分けると一般的によく使われている「カシアシナモン」と、高級品で流通量の少ない「セイロンシナモン」の2種類があります。
「セイロンシナモン」は「クマリン」というシナモンに含まれる肝毒性のある成分の含有量が非常に少ないため、ごく少量をたまにであれば犬猫にも与えられると言えます。
スパイスの王様とも言われるシナモンには、血流改善や免疫量アップをはじめとした様々な健康効果が。
一般家庭での取り扱いが難しいと感じる場合は無理をせず、適切に計算された上で配合されているペットフードや、シナモンが使用されていてもクマリンの含有の心配がないフードを購入しましょう。