アサガオは日本で古くから親しまれている草花です。
中国から渡来したアサガオは、江戸時代頃から観賞用として楽しまれるようになりました。
つるを長く伸ばしてカーテンのように仕立てる方法が代表的で、小学生が夏休みに育てたりと、日本の夏の代表的な花といってもいいでしょう。
栽培もしやすいのでご家庭で育てられている方も多いアサガオですが、犬猫にとって危険な植物であることが知られています。
危険なアサガオの種子
アサガオは犬猫が中毒症状を引き起こすと言われていますが、特に危険とされているのはアサガオの種子です。
アサガオの種子にはファルビチンという成分が含まれており、腸管に強い刺激を与え水溶性下痢を引き起こします。
この強烈な下剤作用は薬草として漢方に配合されることもありますが、直接種子を食べてしまうのは人間でも危険とされています。
他にもリゼルグ酸アミドと呼ばれる成分が含まれ、幻覚などの症状を引き起こすといわれています。
人間に対してもこれらのような毒性を危険視されるアサガオの種子は、人間より体の小さな犬猫にとってはより危険であると考えられます。
アサガオで起こる中毒症状
種子の摂取で起こりうる中毒症状は以下の通りです。
- 嘔吐
- 下痢
- 反射低下
- 瞳孔散大
- 幻覚
- 血圧低下
症状は犬猫の個体差によるところが大きく、危険とされる明確な摂取量はわかっていません。
しかし人間では種子1~2個で下痢や腹痛、約7個(0.3g)で強い排便を促す作用があるといわれているので、たとえ1粒でも犬猫が誤食しないように注意が必要でしょう。
参考:レファレンス事例詳細
アサガオの種を食べてしまったら
アサガオはとても身近な植物です。
ご自宅で栽培されている場合や散歩コースに自生しているケースなどもあり、地面に近いところにも花をつけるので犬猫の口が簡単に届いてしまいます。
また一度育てればたくさんの種子を実らせるので、種を採取して自宅で保管される方も少なくないでしょう。
少し目を離した隙に犬猫がアサガオの種子を口にしてしまった場合、たとえ症状が軽い場合でも速やかに獣医師に相談しましょう。
誤食が無いように栽培や種の保管場所は十分に注意し、万が一誤食があれば、食べてしまった量・時間の経過・症状を伝えると診察の参考になります。
冷静に状況を把握するようにしましょう。
アサガオの花や葉に有毒成分は含まれる?
上記では有毒部分として知られるアサガオの種子について解説しました。では花や葉についてはどうなのでしょうか。
アサガオについて調べましたが、一般的にアサガオの種子以外は無毒とされています。
そのため花や葉を摂取したことによる健康被害報告は見当たりませんでしたが、種子による健康被害の懸念がある以上は基本的に犬猫がアサガオを口にしないように気をつけた方がいいでしょう。
チョウセンアサガオはすべてが危険!
チョウセンアサガオはナス科の植物で、ヒルガオ科のアサガオとは植物として全く別物です。
アサガオの名が付き花も似ているため混同されがちなチョウセンアサガオは、アサガオのように種子だけではなく全草すべてが危険であるとされています。
チョウセンアサガオ中毒症状例
- 下痢
- 嘔吐
- 口渇
- 瞳孔散大
- 意識混濁
- 心拍促進
- 興奮
- 麻痺
- 頻脈
- 呼吸困難
チョウセンアサガオは観賞用の園芸種として『ダチュラ』『トランペットフラワー』などの名で販売、栽培されています。
観賞用に室内に持ち込むことは犬猫の誤食に繋がり、大変危険なので控えましょう。
まとめ
アサガオは日本人にとって大変なじみ深い植物ですが、アサガオの種子には毒性があるので注意が必要です。
アサガオの種子を摂取した場合、下痢や嘔吐、反射低下や幻覚などの症状を引き起こす可能性があるので、誤食が無いように栽培や種子の保管には十分に注意しましょう。
一般的に種子以外に毒性はないといわれていますが、人間より影響を受けやすい犬猫が口にしても大丈夫とは安易に言えませんので、ご自宅や散歩コースなどで愛犬、愛猫が口にしないように気をつけましょう。
またアサガオと混同されやすい『チョウセンアサガオ』はナス科の植物で、ヒルガオ科のアサガオと違い全草が猛毒であることが知られています。
絶対に犬猫の届く場所で栽培や観賞用に置くことはやめましょう。
参考:イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科