バラは犬猫にとって安全な植物?バラの種子や実に含まれるアミグダリンに注意

花の女王ともいえるバラは、その美しさや存在感、また色や本数で変わる様々な愛にまつわる花言葉が人々を魅了し、バラのないお花屋さんはないのでは?と考えられるほど主役となる人気の高い花です。

バラは贈りもので扱われることが多いですが、ガーデニングや鉢植えでも人気が高く世界中で愛されています。

バラの基本情報

学名:Rosa
和名:バラ(薔薇)
科名 / 属名:バラ科 / バラ属
花言葉:「美」「愛」

参考:バラの基本情報(みんなの趣味の園芸NHK出版)

バラ(薔薇)に毒性成分は含まれていない

バラは観賞用の花の中で最もポピュラーな存在のひとつであり、切り花、ガーデニング、鉢植えと様々な形で身近に存在する植物です。

花として楽しまれているバラには毒性成分が含まれていないので、比較的安全な植物といえます。

バラの注意点

バラは有毒ではないので比較的安全ではありますが、犬猫が無制限に食べても大丈夫であるとは言えません。

いくつかあるバラの注意点を解説します。

実をつけるタイプのバラは危険

花として楽しまれるバラには毒性成分が含まれないと上記で解説しましたが、花の後に実をつけるバラには注意が必要です。

品種によっては赤や黄、オレンジの実をつけるものがあり、中でもロサ・ルゴーサ(ハマナス)やロサ・カニナ(ドッグ・ローズ)という品種の実はローズヒップの名で食用などで楽しまれています。

しかしこのバラの実は犬猫にとっては危険な存在です。

バラ科の植物の種子や未熟な実には、アミグダリンという物質が含まれています

このアミグダリンを摂取すると体内で強い毒性のシアン化水素(青酸)に変わり、めまいや嘔吐、場合によっては重篤な症状を引き起こす危険があります。

犬や猫が小さなバラの実の中の種子だけを器用に出して果肉だけを食べることは不可能に近く、果肉も未熟な場合はアミグダリンが含まれている可能性が非常に高いので近づけないように注意しましょう。

バラの花の実だけではなく、バラ科の植物の果実には同様の危険があるので注意が必要です。

注意が必要なバラ科の種子・未熟果
  • ビワ
  • アンズ
  • ウメ
  • モモ

上記の果実は食用として有名なものばかりですが、種や未熟果にはアミグダリンが含まれているので、誤食が無いように注意しましょう。

参考:ビワの種子には、有害な物質が含まれていることがあるって本当ですか?【食品安全FAQ】

トゲによる外傷には要注意!

『美しいバラにはトゲがある』などということわざがあるほど、バラにトゲがあるのは周知の事と思います。

切り花として売られているバラは安全のためにトゲを落とすことが一般的ですが、園芸用のものや公園で見かけるバラにはトゲがしっかりとついていることが多いでしょう。

人間は手袋をつけるなど身を守ることができますが、犬猫が飛びついたり囓ったりしてしまうとケガをしてしまったり、最悪のケースでは目を傷つけるなどの可能性もあるかもしれません

また、バラのトゲはポロリと取れやすい場合もあるので、皮膚に刺さったまま、皮膚の中に残ってしまう事もあります

それに気づかずに化膿してしまうと治療に時間を要してしまいます。

犬や猫がケガをしないように、トゲがついた状態のバラには近づけない、行動範囲内に配置しないなどの配慮をするといいでしょう。

殺虫剤などの薬剤が使用されている可能性

バラはその見た目のエレガントな美しさが最たる特徴でしょう。

その美しさを保ち、栽培するために害虫や病気の予防となる薬剤の使用をされている可能性が高くあります。

そのため、バラ自体に毒性成分が含まれていなくても、薬剤によって健康被害を受けてしまう懸念があります

万が一犬や猫がバラを食べてしまったら、薬剤の影響を考え体調不良や行動に異変があるようであれば、動物病院へ相談して獣医師の指示に従いましょう。

バラやローズの名がつく有毒な植物

バラやローズの呼び名がつくものの中には有毒植物があるので注意が必要です。

下記のものだけではありませんが、毒性成分を含む有名な植物を紹介します。

クリスマスローズ

ローズと名が付きますが、バラ科ではなくキンポウゲ科の植物です。

キンポウゲ科の植物には非常に強い毒性成分が含まれることが知られており、有名な植物ではトリカブトがあります。

その危険度は命を落としてしまう事があるほどなので、絶対に誤食が無いように気をつけましょう。

学名:Helleborus × hybridus
その他の名前:ガーデン・ハイブリッド、レンテンローズ、ヘレボルス・ヒブリドゥス
科名 / 属名:キンポウゲ科 / クリスマスローズ属(ヘレボルス属)

砂漠のバラ(アデニウム)

アデニウムの名で知られる個性的な幹が魅力の植物は、和名で『砂漠のバラ』と呼ばれ、英語では『デザートローズ』の名でも知られています。

実際は犬猫に危険な有毒植物として有名なキョウチクトウ科の植物なので注意が必要です。

キョウチクトウ科の植物に含まれる毒性成分は、心臓への影響を及ぼす危険性があり命を落とす場合もあるので注意しましょう。

学名:Adenium
その他の名前:砂漠のバラ
科名 / 属名:キョウチクトウ科 / アデニウム属

プリムローズ(サクラソウ)

日本ではサクラソウの名で流通していることが多いのですが、英語では『プリムローズ(Primrose)』の名で呼ばれることがあります。

サクラソウには、皮膚炎や下痢、嘔吐などの中毒症状を引き起こす毒性成分が含まれる懸念があるので十分に気をつけましょう。

学名:Primula sieboldii
和名:サクラソウ(桜草)
科名 / 属名:サクラソウ科 / サクラソウ属(プリムラ属)

まとめ

バラの花には毒性成分が含まれていないので、成分の事だけを考えればガーデニングや鉢植えで楽しむことも比較的安全であると考えられます。

しかし、美しさを保つために薬剤散布をしている可能性を考えると食べても大丈夫とは言い難く、トゲによる外傷の危険性もあるため近づけない方が良いでしょう。

実をつけるタイプのバラは、実に毒性成分が含まれている可能性があるので、絶対に食べさせないようにしましょう。

植物の中には、バラ科の植物でなくてもバラの名が付くものが存在します。

中には犬猫にとって危険な毒性成分を含むものがあるので、植物を犬猫の行動範囲内に配置する際には名前だけで判断せず、その植物自体の危険性を調べてからにすることをおすすめします。

参考:ASPCA(米国動物虐待防止協会

参考:みんなの趣味の園芸(NHK出版)

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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