犬猫はシアバターを舐めても大丈夫?肉球や皮膚の保湿に活躍。天然由来の植物油

乾燥する季節になると犬猫も皮膚や肉球などがカサカサしてしまったり、酷ければひび割れやかゆみを伴う炎症を起こすこともあります。

近年ではシアバターの保湿力や抗炎症作用などの効能が注目され、人間用はもちろん、犬や猫の保湿商品にもシアバターが使用されたものを多く見かけます。

このシアバターはいったいどんなものなのか?使用するにあたり、犬猫が舐めてしまっても大丈夫なのか、注意点などを解説します。

シアバターとは

シアバターはアフリカ大陸北半球の湿潤もしくは乾燥サバンナ地帯に分布するアカテツ科の双子葉植物「シアーノキ」の種子であるシアーナッツから採れる植物油脂です

化粧品や医薬品の原料、また食用としてチョコレートや菓子類に使うカカオバターの代用品として国際需要が高くあり、化粧品や食用の他にも灯油やろうそく、石鹸などの原料としても使われています。

原産地の西アフリカの農村では伝統的に利用されてきた多目的樹種であり、種子から採れるシアバターの他にも、樹皮、枝、花、実といったすべてが利用されています。

犬猫はシアバターを舐めても大丈夫?

人間用の保湿ケアや犬猫のケア用品として使用されるシアバターは、中毒を起こすような成分は含まれていないため、少量であれば犬猫が舐めてしまっても大丈夫です。

シアバターには高い保湿性があり、傷んだ皮膚や粘膜を修復する働きや炎症を鎮める抗炎症効果が期待できます。

シアバターの主な成分

シアバターの成分のほとんどはオレイン酸とステアリン酸の脂質です。

他にはビタミンEの一種であるトコフェロール、カロチノイド、トリテルペンも微量に含まれ、さらにビタミンAやDなどが含まれています。

オレイン酸

オレイン酸はオリーブの油から単離されたことがその名前の由来となっています。

血中コレステロールを減らして生活習慣病を予防する働きが報告されています

体内で合成できるため必須脂肪酸ではありませんが、酸化しにくく健康に良い脂肪酸です。

ステアリン酸

ステアリン酸は牛脂をはじめ多くの動植物油脂中に豊富に含まれる代表的な飽和脂肪酸です。

非常に安定性が高く、日光にさらしても変質しないという特徴があります。

ビタミン(トコフェロール)

ビタミンEは物質名をトコフェロールといいます。ナッツ類やアボカド、ひまわり油やベニバナ油などに多く含まれていることが知られています。

ビタミンEは自ら酸化することによって体内の細胞や脂質の酸化を防いで体を守ります

生活習慣病や老化と関連する疾患を予防することが期待されていることから「老化抑制ビタミン」「若返りのビタミン」とも呼ばれています。

カロチノイド

動植物に広く存在する黄色または赤色の色素成分です。

水に溶けにくく油に溶ける性質をもっており、活性酸素の発生を抑えることや取り除く作用をもっています。

動脈硬化の予防や老化、がんの発生に対しても効果があると考えられています。

トリテルペン

天然のトリテルペンやトリテルペン配糖体には抗炎症、抗腫瘍、発がん予防、血糖降下、抗高脂血、肝保護、抗ウイルス、抗菌作用など多彩な生理機能が報告されています。

ビタミンA

ビタミンAは目の健康に役立つビタミンで、白内障の予防や角膜の健康維持のほか、皮膚や粘膜、被毛の健康状態を保つ働きにも期待ができます。

抗酸化ビタミンという抗酸化作用をもったビタミンでもあるのでガンや老化予防にも効果があると言われています。

ビタミンD

ビタミンDは小腸や腎臓でカルシウムやリンの吸収を助けたり、血中のカルシウム濃度バランスを保つよう調整をしています。

ビタミンDの不足があればカルシウムの吸収低下、骨の代謝異常が起き、骨の形成に関連するトラブルが起きやすくなってしまいます。

シアバターを使用する際の注意点

シアバター以外の原材料を必ず確認する

シアバターを使用した商品には、シアバター以外にも化学合成成分や香料、その他犬猫にとって有害となる成分が含まれる可能性があります。

また、”天然由来”や”100%食用成分”とパッケージに書いてあっても、犬猫が中毒を引き起こしてしまう成分が含まれているものは数多くあります。

犬猫はグルーミング(毛づくろい)をするので、塗ったクリーム舐めてしまう可能性が高いです。

自分自身で使用する場合も犬猫のケアに使用する場合も、シアバターのほかに原材料が使用されていないか確認しましょう。

多量に舐めさせるのはNG

シアバターは植物油であり、100gあたり約900kcalと高カロリーなため、多量に舐めさせてはいけません。

オリーブオイルやひまわり油等の食用の植物油も同等のカロリーであり、これらを犬猫に直接多量に舐めさる事をイメージすると、それが健康的ではない事がおわかりいただけるかと思います。

上記でシアバターに含まれる主な成分のメリットを記載していますが、あくまで肉球のケアなどに使用した際に少量を舐めてしまっても大丈夫、ということですので、シアバターを直接舐めさせたり、食用として使用することはやめましょう。

まとめ

シアバターには犬猫が中毒を起こすような成分は入っていないため、少量であれば犬猫が舐めてしまっても大丈夫です。

ただし、市販の商品にはシアバター以外の原材料が使用されているものも多いため、犬猫が舐めても大丈夫な原材料だけを使用した商品を選ぶようにしましょう。

特に香料、使用している他の油、アルコール、防腐剤などの添加物には犬猫にとって危険なものもあるので、使用前に必ず確認するようにしましょう。

参考:シアバター(途上国森林ビジネスデータベース)

参考:身近な生活にある薬用植物シアバター(くすりの博物館 エーザイ株式会社)

参考:天然トリテルペンの抗炎症, 抗腫瘍および発がん予防機能

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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