フジバカマとは
フジバカマは「秋の七草」のひとつとして知られる植物で、日本書紀、万葉集や源氏物語などに登場し、古より親しまれてきた植物です。
観賞用でも栽培される多年草で、鉢植えやガーデニングでも楽しまれています。
自然な分布としては本州関東地方以西、四国、九州及び朝鮮半島、中国に分布しており、川辺の土手や斜面に生育しています。
ただし、近年の都市化に伴い自然な環境下での生育に適した場所は減少し、今では環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されています。
そのため、保全活動を行う地域もあります。
フジバカマの基本情報
学名:Eupatorium japonicum(Eupatorium fortunei)
和名:フジバカマ(藤袴)
その他の名前:アララギ、香草(こうそう)、蘭草(らんそう)
科名 / 属名:キク科 / ヒヨドリバナ属
花言葉:「あの日を思い出す」「遅れ」「ためらい」「躊躇」
フジバカマは犬猫にとって危険な植物
フジバカマには犬や猫に健康被害を及ぼすため、誤食がないように注意が必要です。
フジバカマに含まれる主な毒性
フジバカマに含まれる毒性は「クマリン」です。
このクマリンは一部の植物に存在する芳香のある天然の物質で、シナモンに含まれていることがよく知られています。
人間にとっては抗酸化作用や血流改善などの健康効果が期待されている物質ですが、犬や猫にとっては危険な存在であるといわれています。
フジバカマの喫食によって起こる中毒症状例
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- 惰眠
- 呼吸困難
- 血液凝固不全
- 肝障害
クマリンの過剰摂取は人間であっても肝障害を起こすとして注意喚起がされています。
また、クマリンには血液を固まりにくくする作用があるので犬や猫が摂取した場合、血液凝固不全を起こし出血が止まらなくなるといった症状が現れる可能性があるとされています。
クマリンの凝固不全で犬や猫に対して注意喚起がされているのは植物だけではなく殺鼠剤が有名です。
ネズミの駆除に使われる殺鼠剤の中にもクマリン系薬剤であるワルファリンが含まれており、このワルファリンが血液が固まらないように障害を起こすことは広く知られています。
この殺鼠剤を誤食した犬や猫が中毒を起こし、外傷部位や各種粘膜からの出血が起きてしまうなどの事故例があります。
フジバカマの毒性は中程度といわれており、ごく少量の誤食で命の危険までの中毒症状は考えにくいかもしれませんが、軽度の毒性でもないため個体差や摂取量によっては重篤な症状が起きる可能性がある事は覚えておきましょう。
まとめ
フジバカマは日本の歴史文化にも密接に関わり、また準絶滅危惧種として地域での保全活動もされる植物ではありますが、犬や猫にとっては危険な植物です。
その毒性は中程度で、個体差や摂取量によっては重症となる場合もあるので注意が必要です。
園芸店では観賞用に苗や切り花も販売されており、また保全活動をされている地域もありますので、うっかり犬猫がかじらないように注意してあげましょう。