菊は犬猫にとって危険な植物!日本の象徴となる花に含まれている有毒な成分とは

お葬式の際に供える仏花としても有名な菊は、桜と共に日本の国花の1つとなっています。

パスポートや50円玉のデザインにも使用されており、日本人にとって馴染み深い花です。

そんな菊は犬猫にとって安全な植物なのでしょうか。

菊は犬猫にとって危険な植物!

菊には犬猫にとって有毒な成分が含まれているため、万が一食べてしまうと中毒症状を引き起こす可能性があります。

今回は菊に含まれる毒の成分や食べた場合の症状に加え日本での菊の文化などについて解説していきたいと思います。

菊の基本情報

学名

Chrysanthemum morifolium

科・属

キク科・キク属

原産地

中国

開花時期

1月~12月
(品種改良によりどの時期でも開花する)

別名

マム・クリサンセマム

花言葉

高貴・高尚・高潔

菊に含まれる有毒な成分

菊には「セスキテルペンラクトン」や「ピレトリン」という成分が含まれています。

犬猫がこれらの成分を摂取すると以下のような症状を引き起こす可能性があります。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 運動失調

菊による中毒症状は比較的軽度なことが多く、重篤化することはあまりないようですが、身体の弱い犬猫には危険が大きい可能性もあるので注意しましょう。

また、菊の茎や葉を切ると出てくる液は触れるだけで皮膚炎を起こす可能性があります。

犬猫が囓ると口唇炎や胃腸炎を引き起こす恐れもあるので、できるだけ近づけないようにしましょう。

菊の花が使用される理由

日本では様々な場面で菊の花が使用されます。

菊の花がよく使用される理由や歴史についてご紹介します。

葬祭

菊といえばお葬式に供える花としてイメージする方も多いのではないでしょうか。

確かにお葬式には白い菊がよく使用されますが、これはもともとはフランスの習慣だったと言われています。

日本に入ってきた時期ははっきりしていませんが、西洋文化を積極的に取り入れていた明治維新の頃ではないかと言われています。

花持ちが良く、穢れのないイメージのある菊の花は弔いにぴったりで今でも使用されています。

おうちに仏壇があり、菊などのお花を供える際は犬猫が近づかないように注意してください。

天皇家の紋章

天皇家の紋章は「菊の御紋」と呼ばれ、菊の花が使用されています。

鎌倉時代に後鳥羽上皇が菊を好み、持ち物に菊の紋様を入れていたことが起源だと言われています。

これが代々使用されるようになり、日本を象徴する花の1つとして数えられるようになりました。

パスポート

パスポートはそれぞれの国によってデザインが違い、日本のパスポートには菊の花がデザインされています。

パスポートの表紙にはそれぞれの国の象徴となる紋章をデザインするのが一般的ですが、日本にはそのような紋章はありません。

そこで、日本のパスポートには国を代表する菊の花がデザインに使用されました。

菊は縁起が悪い?

菊の花は縁起が悪いというイメージがある方もいらっしゃると思います。

しかし、最近では「ピンポンマム」や「スプレーマム」などの可愛らしい菊もあり、お祝い事にも使用されることも多いようです。

そのため縁起が悪いというイメージはだんだん無くなっているように思えます。

飾られる機会が増えるということは犬猫と接触する機会も少なからず増えるということに繋がるので注意しましょう。

スプレーマム

スプレーマム

蚊取り線香は大丈夫?

夏になると蚊取り線香を焚く方もいらっしゃると思います。

蚊取り線香には除虫菊という菊に含まれる「ピレスロイド」という殺虫効果のある成分が使用されています。

この成分は人間をはじめ、犬猫などの哺乳類には無害とされているため基本的には問題ありません。

ただし、以下のような品種の犬猫は煙に弱いとされているので注意しましょう。

  • シーズー
  • パグ
  • フレンチブルドッグ
  • ヒマラヤン
  • ペルシャ

これらの「短頭種」と言われる犬猫はのどや気管が弱いため煙を吸うと体調を悪くする可能性があります。

また、蚊取り線香は火を使っているものなので犬猫がやけどをしたり、蚊取り線香を倒して火事にならないように注意しましょう。

不安な方は電気で動くような火を使わないタイプのものを使用することをおすすめします。

もしも菊を食べてしまったら

万が一犬猫が菊を食べてしまったら少量であればしばらく様子を見てあげましょう。

一時的に嘔吐や口周りの赤みなどの症状が現れる可能性があります。

症状が酷かったり、しばらくしても治まらないようであればすぐに獣医師へ相談しましょう。

【まとめ】菊は犬猫にとって危険な植物

菊には有毒な成分が含まれているため犬猫が誤って食べてしまうと危険な植物です。

今回紹介した成分やポイントについておさらいしましょう。

  • 「セスキテルペンラクトン」や「ピレトリン」という有毒な成分が含まれている
  • 犬猫が摂取すると下痢・嘔吐・食欲不振・運動失調などの症状を引き起こす可能性がある
  • 茎液や葉腋は触れるだけで皮膚炎や口唇炎になる可能性がある

今回は犬猫に対する菊の危険性についてご紹介しました。

菊は毒性はそれほど強くないものの、犬猫にとっては良くない成分が含まれています。

おうちで飾る際は十分注意しましょう。

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鈴木 利奈RINA SUZUKI - PET FOOD ADVISER

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ペットレシピ.jpの記事を執筆・監修しています。

キャットフード勉強会・ドッグフード勉強会を運営している鈴木です。大好きな犬猫とペットフードについて深く学ぶため、講師を呼んで勉強会を開いています。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)等の資格を取得。

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