ヒナゲシとは
ヒナゲシの花は薄い和紙のような軽やかさで風に揺られるさまに風情が感じられます。
園芸店では「ポピー」の名で販売されることが多く、ヒナゲシとポピーの違いは?同じ植物?と思う方も多いでしょうが、ヒナゲシはポピーの中のひとつの種類で、英語名では「シャーレ―ポピー」と呼ばれます。
ヒナゲシの基本情報
学名:Papaver rhoeas
和名:ヒナゲシ(雛芥子)
その他の名前:虞美人草
科名 / 属名:ケシ科 / ケシ属
花言葉:「心の平穏」「別れの悲しみ」「慰め」「休息」
ヒナゲシに含まれる主な毒性成分
ヒナゲシは同じケシ科で有毒植物として広く知られるケシに近い植物ではありますが、モルヒネのような規制対象となる麻薬成分は含まれていません。
しかし、「ロエアジン」「ロエアゲニン」などの有毒アルカロイドを含むので犬や猫が食べても大丈夫とは言えない植物です。
ヒナゲシの誤食によって起こる主な中毒症状例
- 嘔吐
- 下痢
- 接触性皮膚炎
- 呼吸困難
- けいれん
ヒナゲシを経口摂取することによって、消化器系の中毒症状を起こすといわれています。
また、切り口や傷などから出る汁に触れる事で炎症を起こすといった情報もあるので、できるだけ触れないようにすることも大切です。
人間への健康被害は報告されていませんが、家畜動物に対する文献では中毒症状を起こす可能性がある植物としてヒナゲシが挙げられており、ヒナゲシの大量摂取によって痙攣や昏睡状態に陥る可能性も示唆されています。
犬や猫が重篤な症状を引き起こすほどヒナゲシを大量に食べてしまうケースは考えにくく、ヒナゲシの経口摂取による犬猫の死亡例も現時点では情報として確認できません。
命に係わるほど強度な毒性とは考えにくいですが、健康被害の懸念がある以上は犬猫の誤食がないように注意した方がいいでしょう。
街でよく見かけるナガミヒナゲシにも要注意!
春ごろに道端などでよく見かけるオレンジ色の可憐な花は「ミナミヒナゲシ」というケシ科の植物です。
見た目のかわいらしさに目を引かれますが、こちらもヒナゲシ同様にアルカロイドを含み、また接触性皮膚炎を起こすため注意が必要です。
このナガミヒナゲシはヨーロッパ原産の外来種で、爆発的な繁殖力を持つため道端や空き地などで群生している様子がよく見られます。
特定外来種ではありませんが、周囲の生態系に悪影響を及ぼすことや、接触性皮膚炎を起こす可能性が高いため素手で茎を折ったり触らないようにと自治体HPなどで注意喚起がされています。
ナガミヒナゲシは日本全国に広く分布しているため見ない土地はないといってもいいでしょう。
散歩中にナガミヒナゲシの群生場所に踏み入れてしまう、誤食してしまうなどがないように注意してあげるといいでしょう。
まとめ
ヒナゲシにはアルカロイドが含まれ、また接触性皮膚炎を起こす可能性があるため、犬や猫が誤食・接触がないように注意すべき植物であると考えられます。
大量摂取した場合には個体差によって重篤な症状を引き起こす懸念があるため、万が一誤食してしまった場合は犬や猫の様子に異変がないかしっかりと注意観察をしましょう。
飼い主は冷静に状況を確認し、誤食した部位や量、時間の経過などを記録し、体調不良が続くようであれば獣医師に相談することをおすすめします。
参考:ヒナゲシ