ヨウシュヤマゴボウは犬猫にとって危険な植物。重症の場合は命に関わる強い毒性に要注意

ヨウシュヤマゴボウとは

ヨウシュヤマゴボウは北アメリカ原産の植物ですが、日本には明治初期に導入され、現在では全国各地で繁殖している帰化植物です。

ヨウシュヤマゴボウは日本全国で見られ、道ばた、荒れ地など多様な環境に適応し、特に空き地や荒れた土地で繁殖しています。

熟した実は暗紫色の小さなブドウのような姿が特徴的で、一見食用のように美味しそうに見えますが、実だけではなく全草に強い毒性成分を含む危険な有毒植物なので、犬猫が口にしないよう注意が必要です。

ヨウシュヤマゴボウの基本情報

学名:Phytola c ca americana L.
和名:アメリカヤマゴボウ
科名 / 属名:ヤマゴボウ科 / ヤマゴボウ属
花言葉:「強い心」「強い意志」

ヨウシュヤマゴボウの主な毒性成分

ヨウシュヤマゴボウの有毒部位は全草であり、特に根と果実内の種子の毒性が強いと考えられています。

主な毒性成分はアルカロイドの一種の「フィトラトキシン」、サポニン類の「フィトラッカサポニン」「フィトラッカゲニン」、「硝酸カリウム」です。

ヨウシュヤマゴボウによって起こる中毒症状例

  • 腹痛
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 口の痺れ
  • けいれん
  • 接触性皮膚炎

ヨウシュヤマゴボウの毒は非常に強く、重症の場合には死に至る可能性もあります

中毒症状は摂取後約1~2時間後には症状が現れると言われており、最初に消化器系の症状が現れます。

その後、摂取量や個体差によっては神経系に影響を与える可能性があり、上記でお伝えしたように最悪の場合死に至ることもあります。

また、誤食だけではなく接触性皮膚炎を起こすとも言われており、果汁が皮膚に付くだけで皮膚炎を起こすこともあるので触らないようにも注意が必要です。

症状の重症度は摂取量や個体差によってことなるので、少量の摂取でも深刻な症状を引き起こしてしまう可能性は考えておく必要があるでしょう。

犬や猫がヨウシュヤマゴボウを食べてしまったら

ヨウシュヤマゴボウの毒性は非常に強いので、犬や猫が誤食してしまった場合には早急な対応が必要です。

いつ、どの部位をどのくらい食べたのかを確認し、症状の有無に関わらず速やかに動物病院へ連絡しましょう

気づいた時点ですでに中毒症状が出ている場合は、その内容や頻度、重さを記録し、獣医師に伝えると診断がスムーズになりますので、飼い主は落ち着いて注意観察、記録を行いましょう。

口の中にヨウシュヤマゴボウが残っている場合は、十分に注意しながら口の中から取り除くのは有効的ですが、無理やり吐かせるような行為は誤嚥を起こす可能性があり大変危険なのでやめましょう。

基本的には家庭でできる応急処置はありませんので、すぐに動物病院へ連絡し獣医師の指示に従うようにしましょう。

ヨウシュヤマゴボウによる国内の中毒事例

ヨウシュヤマゴボウの根はその名の通り食用のゴボウによく似た形状をしています。

キク科のモリアザミの根を使った漬物で、「山牛蒡(やまごぼう)の漬物」と称されるものがあります。

この山牛蒡の原材料がモリアザミと知らずに、ヨウシュヤマゴボウの根を採取し、味噌漬け加工を行い喫食した7名は2時間後に食中毒症状として嘔吐し、診察を受けたという事例があります。

ヤマゴボウという名は食品でみかけるので、その名や根の形状から食用にできると勘違いしてしまいそうですが、市販されている漬物のヤマゴボウとは全くの別物です。

そのため、人間もですが、犬や猫が食べても大丈夫だと勘違いしないように注意してください。

まとめ

ヨウシュヤマゴボウは道ばたや空き地、庭など多様な場所でよく見かける植物です。

ブドウのような暗紫色の実が生るので、一見美味しそうに見えますが、非常に強い毒性成分を含むため、実や根、茎、葉など全草誤食がないように十分に注意しなければいけません。

誤食だけではなく、接触性皮膚炎を起こすこともあるので、散歩中の道ばたや、空き地、庭などで見かけても近づけないように注意してあげましょう。

参考:人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑 著者: 土橋豊

参考:漬物の「山ごぼう」とヨウシュヤマゴボウ(有毒) 東京都健康安全研究センター

参考:自然毒のリスクプロファイル:高等植物:ヨウシュヤマゴボウ(厚生労働省)

スギさん

スギさんマッサンのペットフードの学校

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株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。8年間の学びを生かしてペットレシピにも執筆しています。

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