サボンソウとは
サボンソウはナデシコ科に属する多年草で、ヨーロッパやアジアを原産地とする植物です。
サボンソウはシャボンソウ、ソープワートとも呼ばれ、全草にサポニンという成分を含むため、葉を水に浸してもむと石鹸のように泡立ちます。
そのため、古くから天然石けんとして利用されてきた歴史のある植物です。
サボンソウは一重咲のものから八重咲のものがあり、古く日本に入った一重咲きのものは、日本各地で野生化し自生しています。
淡いピンクや白い花を咲かせ、その花は優しい香りを持ち、観賞用としてとても親しまれていますが、犬や猫にとっては健康被害を起こす可能性がある植物なので、誤食しないように注意が必要です。
サボンソウの基本情報
学名:Saponaria officinalis
和名:シャボンソウ
その他の名前:サボンソウ、ソープワートなど
科名 / 属名:ナデシコ科 / シャボンソウ属(サポナリア属)
花言葉:「賢明な行動」「清廉」「友の思い出」
サボンソウの主な毒性成分
サボンソウの主な毒性は、この植物の最たる特徴である「サポニン」です。
有毒部位は全草ですが、中でも特に種子に多く含まれています。
サボンソウによる中毒症状例
- 吐き気
- 下痢
- 嘔吐
- 腹痛
- 食欲不振
サポニンは動物にとって有害となる可能性が高く、犬や猫だけではなく鳥にも影響があるといわれています。
そのためサポニンが多く含まれるサボンソウの種子を鳥に摂取させないように花後には摘花に努め、果実をつけないように手入れをすることを勧められています。
サポニンによる健康被害は、少量の摂取であれば主に下痢や嘔吐といった消化器系の症状ですが、大量に摂取した場合や、小型犬や猫といった個体差によっては重篤な症状が現れる場合があります。
重篤な症状例としては、下痢や嘔吐が続けば脱水症状、興奮や震えと言った神経症状、肝臓や腎臓への負担などが挙げられます。
犬や猫がサボンソウを食べてしまったら
サボンソウに含まれるサポニンは強い毒性ではないので、ごく少量の摂取であれば特に症状が見られない場合もあります。
ただし、小型犬や猫は少量の摂取でも症状を現すことがあります。サボンソウは摂取後24時間程度は様子に異変がないかよく観察してください。
下痢や嘔吐といった症状が続く場合や、元気や食欲がなくなるなどいつもと違う様子があればできるだけ早く動物病院で受診しましょう。
その際に、サボンソウの一部や写真を持参することや、食べた量、時間の経過などを伝えられると診察に役立ちますので、誤食が分かった場合には観察した記録を残すようにしましょう。
まとめ
サボンソウは品種も多く、観賞用として好まれる植物ですが、犬や猫にとって有害となるサポニンを多く含むため誤食がないように取り扱いには注意が必要です。
サボンソウの中には、野生化して自生している物もあるので、ご自宅での栽培の他にも散歩コースで見かけた場合、近づけないようにしましょう。
摂取量や個体差によって健康被害の度合いが変わりますので、誤食量や症状に応じて適切に対処することが重要です。
植物を犬や猫の生活空間に配置する際には、必ずその植物が犬や猫にとって安全な植物か調べるようにしましょう。
参考:サポナリア(ソープワート)の基本情報(みんなの趣味の園芸 NHK出版)
参考:North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox
参考:サボンソウ(熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース)
参考:人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑 著者: 土橋豊



