ごく少量であれば食べても大丈夫!
保存食として日本人に昔から愛される梅干しはご飯のお供の定番で、『梅はその日の難逃れ』と言われるほど、病気の予防や健康増進に欠かせない食材です。
犬猫にとって有害な成分は梅干しの果肉には含まれていませんので、少量であれば犬猫が食べても大丈夫です。
ただし、梅干しは梅の実を塩漬けにして作られるので、与えすぎによる塩分過剰摂取には十分に気をつけなければいけません。
また、生の未成熟の梅と種には有毒な成分が含まれるので誤食には十分に注意しなければいけません。
種や生の梅の危険性
中毒を引き起こす成分アミグダリン
梅干しの果肉自体には塩分に気をつける以外には毒になるような成分は入っていません。
しかし成熟していない生の梅、種には犬猫にとって有毒な『アミグダリン』という成分が含まれています。
このアミグダリンは体内に入り分解されると『青酸』という成分になり様々な中毒症状を引き起こす要因となります。
主に嘔吐、下痢、めまい、ふらつき等の症状が出ると言われており、重篤化すれば痙攣や意識障害、呼吸困難を引き起こし最悪のケースでは死亡してしまうという報告もあります。
このアミグダリンは果実が成熟すると失活しますし、未熟な梅も梅干しに加工する工程で毒性がほとんど消失するため、梅干しの果肉を犬猫が食べても問題がないと考えられています。
果肉は前述のように様々な条件で有毒成分の消失が確認されていますが、種についてはどのような条件下でも毒性が消失しません。
種の殻の硬さにも重大な危険性があります
種の有毒成分のほかにも種の誤飲には十分に気をつけなければいけません。
サイズ的には犬猫が丸のみしてしまう可能性が非常に高く、小型の犬猫は食道自体も細くなるので喉に詰まらせ呼吸ができなくなり窒息してしまう場合もあります。
また、喉を通り抜けても殻が硬く消化されず消化管に詰まってしまうというケースもあります。
特に小型犬や子犬猫では腸閉塞を起こしてしまう危険性があり、最悪の場合死に至ってしまうという可能性もありますので、与える際には種を取り除くのはもちろんですが取り除いた種をテーブルの上にうっかり放置して誤飲させてしまわないように気をつけてください。
種がそのまま排泄されることもありますが、小型犬や子犬猫に関しては上記のような危険性が高まりますので十分に注意してください。
個人的な判断で自宅で吐かせたりなどの判断はせず、犬猫が生の梅、種の誤飲をしてしまったらまずは動物病院へすぐに相談をしましょう。
梅の加工品
梅は梅干し以外にも様々な加工品がありますが、梅酒や梅シロップ等はアルコールや糖分が多く含まれています。
梅自体は大丈夫でも人用の加工品は犬猫にとってリスクが多く、健康を損ってしまいますので与えないように注意しましょう。
梅干しを与えるメリット
梅干しの注意点や危険性を解説しましたが、ごく少量であれば健康的なメリットもあります。
ただし、犬猫が好んで食べる食材ではない点と、前述の注意点を踏まえて無理に与える必要はありませんので参考までにしていただければと思います。
梅ポリフェノール
梅には梅ポリフェノールが含まれており、抗酸化作用の他、降血圧、消化管機能改善、抗炎症、脂質代謝改善、抗疲労、食後血糖値低下などの効果が報告されています。
老化やガンの予防に効果が期待できるともいわれています。
バニリン
脂肪細胞の肥大や増加を防ぐ効果があるといわれているバニリン。
バニリンは梅干し以外のほかの食材にはなかなか含まれていない成分といわれており、梅干しを加熱することでバニリンの量が20%増えるという研究結果も報告されているようです。
参考:紀州梅効能研究会
クエン酸
梅干しにはクエン酸が多く含まれているため、免疫力アップや疲労回復効果が期待できます。
まとめ
犬猫は梅干しをごく少量であれば食べても大丈夫ですが、特有の塩分の多さや生の梅や種の誤飲にによる中毒に十分に気をつけてください。
梅干しによる健康メリットはありますが、犬猫は酸味を嫌がる場合が多いので無理に食べさせる必要はありません。
梅の梅干し以外の人用の加工品である梅酒や梅シロップ等はアルコールや糖分で犬猫の健康を損ないますので与えないように注意しましょう。