犬猫の皮膚糸状菌症について。人獣共通のカビ(真菌)による感染症。免疫力UPで予防

犬猫が特定の場所を執拗に舐めたり掻いたり、フケ、かさぶた、脱毛、赤みなどが生じていたら犬猫の皮膚にカビ(真菌)が住み着き増殖する病気『皮膚糸状菌症(真菌症)』かもしれません。

犬と猫のカビによる皮膚病

皮膚糸状菌症と呼ばれる皮膚病の原因となる真菌(糸状菌)は一般的にカビと呼ばれるものを指します。

犬への感染の約70%、猫への感染の約99%がMicrosporumcanis(ミクロスポルム・カニス)が原因菌であるといわれています。

犬の場合

多くの場合がMicrosporumcanisが原因菌です。

M. gypseum(ミクロスポルム・ジプセウム)が約20%、Trichophytonmentagrophytes(トリコフィトンメンタグロフィテス)が約10%、稀にT.rubrum(トリコフィトン・ルブルム)の感染が報告されています。

猫の場合

猫への感染の約99%がMicrosporumcanisが原因ですが、被毛にだけ生息している不顕性感染(細菌やウイルスなど病原体の感染を受けているが感染症状を発症していない状態)の例も少なくありません。

そのため感染に気付かず、免疫力が低下したとき発症して気づくといったケースも多々あります。

この皮膚糸状菌症は犬や猫だけではなく、人や他の種のペットにも感染する可能性が高くあるので気をつけなければいけません。

皮膚糸状菌症の発症要因

皮膚糸状菌症は罹患動物および保菌動物からの接触感染が主な要因ですが、土壌や人家および動物の飼育小屋の菌に汚染した塵埃などからの間接感染も考えられています。

犬や猫同士の接触だけではなく、飼い主である人間が他の動物に触れて飼っている犬や猫にうつすケースもあります

皮膚糸状菌症は子犬や子猫、シニア期がかかりやすい?

皮膚糸状菌は抵抗力の弱い子猫や子犬、また免疫力の低いシニア期の犬猫がかかりやすいといわれています。

しかし、免疫力が下がっている時や基礎疾患や薬剤によって免疫抑制状態になった動物への発生も散見されるため、どの年齢であっても注意が必要です。

皮膚糸状菌の主な症状

皮膚糸状菌に感染し、発症すると下記のような症状がみられます。

  • 脱毛
  • フケ
  • 皮膚の赤み
  • かさぶた
  • 水疱
  • 発疹

典型的な症状のひとつが1~4㎝程度の円形で急速に広がる脱毛で、フケやかさぶたの形成が起こる事も多くあります。

執拗に体の一部を舐めたり掻いたりしている様子があれば脱毛やフケ、かさぶたなどができていないか確認してあげましょう。

犬猫が皮膚糸状菌症になったら

皮膚糸状菌症は放置すれば脱毛が広がる事や、かゆみが増すなど症状がひどくなってしまう可能性が高くあるので、皮膚糸状菌症が疑われる場合には早急に動物病院へ相談しましょう

皮膚糸状菌症が発覚した場合には、同居する他の動物とは引き離したうえで家中を掃除、殺菌消毒し、罹患した動物が使用していたものは処分するなど決してシェアをして使用しないように注意しましょう。

皮膚糸状菌症の治療方法

外用薬・毛刈り

抗真菌薬を患部に塗る方法です。

ただし、犬猫は被毛に覆われているので薬剤を塗布しにくく効果も減少してしまうため患部の毛刈りが有効であると考えられます。

皮膚糸状菌症は皮膚のみではなく、被毛にも付着し増殖します。患部の毛刈りは薬効面だけではなく感染拡大を抑えるのにも有効でしょう。

シャンプー洗浄

皮膚糸状菌症の真菌は、乾燥した環境下でも1年程度生存することがあるともいわれています。

患部の二次感染予防、感染源となる感染被毛や落屑の環境中への飛散を防ぐのにシャンプーは有効です。

泡の洗い残しや半渇きの状態にすることは状態の悪化を招くことになるので、洗い残しが無いようにしっかりと流す事や、毛の内側ま完全に乾かすように気をつけましょう。

内服薬

慢性的な発症や重症例、あるいは長毛種の動物の場合には抗真菌薬を経口投与を行います

皮膚糸状菌症の治療は内服薬の投与が基本ではありますが、若齢期や肝疾患、基礎疾患を有する場合や併用できない薬剤で治療中の場合は内服薬の処方ができないケースもあります。

また内服薬の長期投与は肝臓へ影響を与える事がありますので、血液検査を行いながら犬や猫の個体にあわせて獣医師と相談し進めるようにしましょう。

皮膚糸状菌症は人獣共通感染症

皮膚糸状菌症の一番の懸念といってもいいのがその感染力であり、人にもうつるところでしょう。

乳幼児や免疫機能が低下した高齢者、また罹患した犬や猫と接触が多い人へ感染する可能性が高くあります。

人に感染した場合には、かゆみを伴うリングワーム状(ピンクや赤色の円形の病変)の皮膚疾患が現れます

自身や同居する家族にリングワーム状の湿疹をみつけたらすぐに皮膚科へ行きましょう。

皮膚糸状菌症は人間の治療にも時間を要し、中度半端に治療をやめてしまうとぶり返してしまうことも多々ありますので、完治まで皮膚科の医師の指示に従うようにしましょう。

動物病院で犬猫用に処方された外用薬を人間に塗ることは絶対にしないでください。

猫から人間へ感染した場合

この皮膚糸状菌症は『猫カビ』と呼称されることが多くあるようですが、人間の皮膚科では『猫カビ』の名はあまり馴染みがないようです。

人にうつり、皮膚科で診察される場合には医師に猫カビと伝えるのではなく、猫からうつった『皮膚糸状菌症』と伝えるとスムーズに診察が行われるでしょう。

皮膚糸状菌症の予防

皮膚糸状菌症は罹患・保菌動物からの接触や菌に汚染された塵埃などからの間接感染が原因となります。

屋外で過ごしている動物や、うさぎや齧歯類への感染も多いとの報告もあります。

犬猫自身の接触のみならず、飼い主が他の動物と接触した場合などでも日常的に手指や腕などの洗浄をしっかり行うようにするといいでしょう。

食事での予防・対策

人間も含め動物も健康な時ででも無菌状態で生活しているわけではなく、常に何かを保菌し抵抗力が低下したときに様々な症状が出てきます。

皮膚糸状菌症も免疫力が低下している個体に感染しやすい、症状が現れやすい病気です。

日ごろから免疫力を上げる効果がある食材を取り入れ、愛犬愛猫の体調を整えてあげる事で感染予防につながります。

免疫力アップが期待される食材
  • 赤ピーマン
  • ブロッコリー
  • パセリ
  • しいたけ
  • 納豆
  • うなぎ
  • レバー

上記はビタミンCやビタミンB2が豊富に含まれる食材の一部です。

食事の面から日常的に愛犬、愛猫の健康維持をサポートしてあげるとよいでしょう。

ビタミンC

強い抗酸化作用が期待できる栄養素です。

免疫力アップやコラーゲンの生成のサポートをしてくれるので皮膚病の強い味方となってくれるでしょう。

ビタミンB2

疲労回復や被毛、皮膚などの健康維持に役立つ栄養素です。

疲労の蓄積は免疫力低下に繋がるので、意識したい栄養素のひとつです。

まとめ

犬や猫の皮膚病でも珍しくない皮膚糸状菌症はカビ(真菌)が原因であり、犬猫のみならず他の動物や人にうつることがある皮膚病です。

子犬や子猫、シニア期、免疫力が低い時にかかりやすいといわれており、主な症状は脱毛やかゆみを伴う皮膚炎、フケやかさぶたなどです。

菌の付着した被毛やフケ、かさぶたなどが飛散し環境中を汚染することになるので人間や同居動物への感染、重症化や二次感染による長期罹患を考えると早期に適切な治療が必要であると考えます。

皮膚糸状菌症の治療期間は短くても2週間程度。範囲が広かったり、重症化していれば数か月もの時間を要する場合が多くあります。

日ごろから健康的な食事を意識して免疫力を上げる事や、毎日のスキンシップ時に皮膚や被毛に異常が無いか確認することで早期発見や重症化を防げるかもしれません。

異常があれば早めに動物病院で治療を始めましょう。

参考:犬・猫の皮膚糸状菌症に対する治療指針

参考:イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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