犬猫と春菊
春菊の旬は11月~2月ごろでこの時期によくスーパーなどで見かけます。
お鍋の具材として人気ですがサラダなどでも美味しくいただくことが出来ます。
独特な風味があるので苦手な方も多いかと思いますが犬猫に与えても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫は少量なら春菊を食べても大丈夫!
ビタミンやミネラルを豊富に含み、私たちの健康にも一役買ってくれる春菊は、少量であれば犬猫は春菊を食べても大丈夫です。
食べたら必ず中毒を起こしてしまうという食材ではありませんが、心配もあるので積極的に与える必要はありません。
懸念点などを確認し、納得した上で少量を与えるようにしましょう。
なんで少量にした方がいいの?
キク科の植物に属している
キク科の植物を食べると下痢や嘔吐、多量のよだれ、さらに運動失調などをきたすことがあると言われています。
また接触皮膚炎を引き起こす原因物質のセスキテルペンラクトンという物質を含んでいて、触れただけでも皮膚に炎症を起こすことがあります。
手作りごはんなどで犬猫に春菊を与えている家庭も多く一概にNG食材とは言えませんが、大量に与えるのはやめておきましょう。
シュウ酸
シュウ酸をたくさん摂取してしまうと「シュウ酸カルシウム結石」という尿路結石になる可能性があるので注意しましょう。
野菜類の中でもシュウ酸の含有量がトップクラスに多いほうれん草に比べると、春菊のシュウ酸含有量はかなり少ないですが食べ過ぎには注意が必要です。
ほうれん草については以下の記事も参考にしてみてください。
生で食べても大丈夫?
私が過去に視聴した動画で生の春菊を猫がむしゃむしゃと食べているのを見たことがあります。
猫が食べる植物と言えば猫草がありますが肉食動物の猫が植物を好んで食べる理由ははっきり分かっていません。
しかし春菊を生で与えるのはやめておいた方がいいでしょう。
さきほど紹介したシュウ酸は水溶性なので茹でるとお湯に流れ出ていくので茹でることによって犬猫が摂取するシュウ酸の量を減らすことが出来ます。
なので犬猫に春菊を与える際は生より茹でたものを与えた方がいいでしょう。
春菊に含まれる代表的な栄養素
葉 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 20kcal |
たんぱく質 | 1.9g |
炭水化物 | 1.3g |
脂質 | 0.1g |
βカロテン当量 | 4500μg |
ビタミンC | 19mg |
ビタミンK | 250μg |
カルシウム | 120mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
β-カロテン
春菊にはβ-カロテンがとても豊富に含まれています。
犬や人間はβ-カロテンを摂取したとき酵素が作用して体内でビタミンAに変換されます。しかし猫はこの酵素を持たないため体内でビタミンAを作ることができません。
β-カロテンをビタミンAにすることはできませんがビタミンAには視力や免疫機能の維持など重要な役割があるので猫も摂取しなければならない栄養素です。
総合栄養食のキャットフードを食べていれば必要量は摂取できているので安心してください。
ビタミンC
ビタミンCには抗酸化作用があり、老化や関節炎の予防・治療に役立ちます。
また、ビタミンCは同じく抗酸化作用のあるビタミンEの働きを助けるため相互作用で強力な抗酸化成分として働きます。
カルシウム
カルシウムは丈夫で健康的な骨を作る上で欠かせない栄養素です。
体内のカルシウムのほとんどは骨や歯に存在していますがカルシウムの役割は他にもあり
細胞間の情報伝達・筋肉収縮・神経興奮の抑制・血液凝固作用の促進などとても多く、重要な役割があるのです。
カルシウムが不足すると骨粗しょう症になることは有名ですが、これらの重要な役割のためのカルシウムが足りなくなり
骨や歯に存在しているカルシウムが消費され骨粗しょう症などにつながってしまうというメカニズムです。
ただ、カルシウムは過剰に摂取しても骨格異常などのリスクがあるので注意しましょう。
犬や猫に春菊をあげる際の注意点
犬猫に春菊を与える際の注意点を紹介します。
与えすぎに注意
先述したとおり春菊はキク科の植物なので下痢や嘔吐などを引き起こす可能性があると言われています。
シュウ酸については茹でると減少しますが完全に無くなるわけではありません。
茹でた後の春菊にもシュウ酸は残っているのでくれぐれも大量にが与えず少量に留めておきましょう。
シュウ酸カルシウム結石になりやすい品種
下記のような品種の犬猫はシュウ酸カルシウム結石の好発種と言われています。
犬
- ミニチュア・シュナウザー
- シー・ズー
- ビション・フリーゼ
- ミニチュア・プードル
- ヨークシャー・テリア
- ラサ・アプソ
など
猫
- ヒマラヤン
- アメリカン・ショートヘア
- スコティッシュ・フォールド
など
もちろん上記以外の品種の犬猫もシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性はあります。
特に猫は体質上、結石ができやすい動物なので猫と暮らしている方はおしっこがちゃんと出ているか、血尿が出ていないかなど注意して見てあげましょう。
参考:麻布大学附属動物病院における猫の尿管結石の好発品種に関する検討
アレルギーに気をつけて
どんな食べ物でもアレルギー反応を示す可能性はあるので注意しましょう。
とくに春菊やよもぎなど、キク科の食物はアレルゲン物質物質を含んでいます。
初めて与える際は少量に抑え、皮膚の赤み・かゆみ・フケや目の充血などが起こっていないかよく観察しましょう。
もし症状が確認できたらそれ以上与えるのをやめ症状が悪化するようであれば獣医師に相談しましょう。
犬や猫にあげる春菊のレシピ
小松菜とミニトマトの卵とじごはん
下記の小松菜のレシピの代用として春菊を使ってみてください。
小松菜のシュウ酸含有量が100gあたり50mgなのに対して春菊のシュウ酸含有量は30mgと小松菜より少ないので、上記の注意点を守れば春菊を使ってみるのもよいでしょう。
ただし春菊は小松菜より味のクセが強いので犬猫が好むかどうかは分かりません。
【まとめ】犬猫は少量であれば春菊を食べても大丈夫
犬猫は少量であれば春菊を食べても大丈夫ですが、以下の点には注意しましょう。
- キク科の植物の危険性を理解しておく
- シュウ酸が多いので与えるのは少量に
- 生で食べるよりも茹でて与えた方がシュウ酸の量を減らせます
- β-カロテンが豊富に含まれていますが猫はβ-カロテンを有効活用できない
- キク科のアレルギーに注意
今回は春菊について紹介しました。
味にクセのある野菜なので犬猫が好んでくれるか分かりませんが、もし好んでくれる場合は注意点を理解した上で手作りごはんに取り入れてみてください。