犬猫はアサリを食べても大丈夫!どのぐらいの量食べられる?生食はNG!

犬猫とアサリ

お味噌汁の具やパスタの「ボンゴレ・ビアンコ」等の料理に欠かせないアサリ。

比較的小さな貝ですが旨味がたっぷり詰まっています。

そんなアサリは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。

犬や猫はアサリを食べても大丈夫!

犬や猫はアサリを食べても大丈夫です。アサリの旨味は犬猫の食欲をそそるでしょう。

ただし与える際にいくつか注意点があるので紹介していきます。

どのぐらいの量食べられる?

アサリは与える量に注意が必要です。

アサリは犬猫にとって消化しにくいことがあるので初めて与える際は3つ程度にして様子を見ましょう。

その後下痢や便秘になっている場合は消化不良を起こしているかもしれないのでそれ以上は与えないようにしましょう。

アサリを与えた後も元気で快便な場合は犬猫の体調や便の様子を見つつ量を調整してあげてください。

ただし喜んで食べてくれるからといってアサリばかり与えているとお腹いっぱいになり主食のペットフードが食べられず栄養不足になる可能性もあるので注意しましょう。

生食はNG!

犬猫に生のアサリを与えるのはNGです。

生のアサリには「チアミナーゼ(アノイリナーゼ)」というチアミンを破壊してしまう酵素が含まれています。

チアミンというのはビタミンB1のことで、体内で炭水化物代謝や脂質代謝など様々な代謝に関わっているとても重要な栄養素です。

チアミンが不足し「チアミン欠乏症」になると初期症状には食欲低下・唾液分泌過多などが見られ、

その後運動機能障害・痙攣・不全麻痺などの症状が現れさらにこのまま治療を行わなければ昏睡状態から死に至る危険性もあります。

現在では市販のペットフードにはチアミンが十分量含まれているので犬猫のチアミン欠乏症はほとんどありませんが

チアミナーゼを含む食材の長期摂取や偏食などには注意する必要があるといえます。

チアミナーゼは加熱することにより活性を失うので犬猫にアサリを与える際は必ず加熱しましょう。

参考:ペット栄養学会誌「禁忌食(その4)-魚介類(チアミナーゼ)」

猫が貝を食べると耳が落ちる?

「猫が貝を食べると耳が落ちる」というのを聞いたことがある方もいらっしゃると思います。

こう言われるのには理由があり、貝類の中には犬猫が食べてはいけないものがあります。

犬猫が食べてはいけない貝類

アワビ・サザエ・トリガイ・トコブシなどは犬猫が食べてはいけない貝類です。

これらの貝には「ピロフェオホルバイドα」という成分が含まれており、この成分が影響して光線過敏症という病気になることがあります。

光線過敏症

光線過敏症になると犬猫の皮膚が日光に反応して腫れやかゆみが生じるようになります。

毛が薄い部分に症状が現れやすく、とくに多いのが耳です。

耳に腫れやかゆみが現れた猫は自分で掻きむしってしまい、場合によっては耳がボロボロになってしまいます

これが「猫が貝を食べると耳が落ちる」と言われるようになった要因です。

もちろん猫だけでなく犬も光線過敏症になる可能性があるので注意しましょう。

アサリ以外に大丈夫な貝は?

アサリは犬猫が食べても大丈夫な貝類ですが、他に犬猫が食べてもいい貝類として有名なものにホタテの貝柱があります。

ホタテに関しては以下の記事も参考にしてみてください。

  • 犬猫はホタテを食べても大丈夫!生で食べられる?耳が落ちる?注意点を解説

アサリに含まれる代表的な栄養素

生 可食部100gあたり

栄養素含有量
エネルギー27kcal
たんぱく質4.6g
脂質0.1g
炭水化物2.0g
カルシウム66mg
3.8mg
亜鉛1.0mg
ビタミンB1252.0μg

参考資料:八訂 食品成分表 2022

タウリン

アサリは魚介類の中でもタウリンの含有量がトップクラスに多い食材です。

タウリンとは?

タウリンはアミノ酸の一種で体内でも合成されますが猫はタウリンの合成能力が低い割に必要量が多いです。

そのため猫のみ必須アミノ酸(食事から摂取する必要があるアミノ酸)に指定されています。

タウリンの働き

タウリンは心筋の収縮に欠かせない栄養素で、心臓の働きには必要不可欠です。

他にも肝臓で胆汁を生成するためにも必要で、抗酸化作用もありシニア・妊娠期・授乳期などの犬猫には嬉しい栄養素です。

タウリンが不足すると心筋症・免疫機能不全・繁殖機能低下などの病気につながる恐れがあります。

ビタミンB12

ビタミンB12は分子中に「コバルト」というミネラルを含んでおり、骨髄の造血作用やたんぱく質の合成に欠かせません。

ビタミンB12はたんぱく質と強く結合しているため動物性の食べ物が主食の犬猫はほとんど不足する心配はありませんが不足すると悪性貧血・成長抑制・神経障害などの原因となるので注意しましょう。

犬や猫にアサリを与える際の注意点

犬猫にアサリを与える際の注意点を紹介します。

細かくするのがおすすめ

アサリはそのままでも十分小さいですが食べ物をほぼ丸呑みしてしまう犬猫にとっては大きく、のどに詰まらせてしまう可能性もあります。

細かい方が消化もしやすく胃にも優しいので犬猫にアサリを与える際には細かく刻んでから与えることをおすすめします。

アレルギーに気をつけて

犬猫は貝類にアレルギーを持っている可能性があります。

初めてアサリを与える際には少量に抑え、食べた後の様子をよく観察しましょう。

皮膚の赤み・かゆみ・目の充血・嘔吐などの症状が見られた場合はそれ以上与えるのをやめ症状が酷くなる場合には獣医師に相談しましょう。

犬や猫へのアサリの与え方

まずは人間が食べるときと同じように砂抜きをしましょう

手順は以下の通りです。

  1. 塩分濃度約3%の塩水を用意します
  2. アサリ同士が重ならないように平らな容器(バットなど)に入れ1の塩水に浸します
  3. 新聞紙などをかぶせ3時間ほど冷暗所で放置します

砂抜きが完了したらアサリ同士をこすり合わせるようにして洗います。
ちなみにアサリを洗うのは砂抜きの前でも構いません。

次はアサリが吸っている余分な塩水を吐き出させる塩抜きの作業です。

  1. 洗ったアサリをザルにあげる(平らなザル付きバットや水切りバットがあればそれがよい)
  2. 新聞紙をかぶせ冷暗所で30分ほど放置

塩抜き作業はこれだけです。

下処理が完了したアサリは沸騰したお湯に入れるのではなく水から茹でましょう

中火で火にかけアサリの口が開いてきたら追加で1分ほど茹でて完成です。

アサリから出た出汁もとても美味しく、犬猫も喜んで食べるかと思いますが分が少し多いので量には注意しましょう

【まとめ】犬猫はアサリを食べても大丈夫

犬猫はアサリを食べても大丈夫です。注意点をおさらいしましょう。

  • チアミナーゼが含まれているので生食はNG
  • 消化不良になるかもしれないので与える量には注意
  • 正しく処理をしてから与える

今回はアサリについて紹介しました。
ぜひアサリを使った手作りご飯を考えてみてください。

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鈴木 利奈RINA SUZUKI - PET FOOD ADVISER

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ペットレシピ.jpの記事を執筆・監修しています。

キャットフード勉強会・ドッグフード勉強会を運営している鈴木です。大好きな犬猫とペットフードについて深く学ぶため、講師を呼んで勉強会を開いています。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)等の資格を取得。

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