犬猫はセロリを食べても大丈夫?鎮静効果や血行促進に期待!ただし猫は注意が必要

セロリは犬猫が食べても大丈夫?

セロリは独特の香りがあり、人の中でも好き嫌いが分かれる野菜です。

しかし、このセロリの独特な香りに含まれる成分に様々な健康効果が期待されています。

その他にもカリウムや食物繊維などを豊富に含むため、健康的メリットがある栄養の摂取が期待できる野菜です。

このセロリ、犬は生、加熱ともに食べても大丈夫と言われていますが、安易に猫が食べても大丈夫とは言えない野菜です。

犬に対してはセロリの栄養やその効果を、猫に対してはなぜおすすめできないのかを解説します。

猫は食べてはいけない?その理由を解説

シュウ酸カルシウム結石の原因に

猫にセロリを避ける原因は、猫が犬と比較して膀胱から尿道までの下部尿路に様々な病気や症状を引き起こしやすい動物であることが要因です。

その中でも一番有名な疾患といってもいい『尿路結石』があります。

この尿路結石の代表的な2つの原因成分は『ストルバイト』と『シュウ酸カルシウム』といわれています。

このうち『シュウ酸カルシウム』による尿路結石は、シュウ酸の摂取が多すぎると、便として排出できずに余ったシュウ酸は尿の中に出され、尿の中でカルシウムと結合すると石のような塊となり排尿が困難になってしまう事がひとつの原因とされています。

シュウ酸カルシウム結石は、結晶としてできたものを溶解する方法が無いため、外科手術による治療を行うようになります。

手術を行う事は猫の体に負担がかかるため、できれば避けたい治療ではないでしょうか。

セロリにはこのシュウ酸カルシウム結石の原因ともなるシュウ酸が含まれているため、日常的に与えてしまうと結石を繰り返してしまう可能性が高くなると考えられることから、セロリは猫が食べてはいけない野菜とされる事が多いようです。

少しなら食べても大丈夫?

セロリは猫が食べてはいけない野菜と言われることが多いですが、その成分に猫が中毒症状を引き起こす成分は入っていません

そのため、キッチンに置いてあったセロリを誤ってかじってしまった場合や、知らずに猫にセロリをほんの少し与えてしまったなどという一時的に少量摂取してしまった程度ですぐに健康被害を及ぼす野菜とは考えにくいでしょう。

明確なことはわかっていませんが、猫がセロリの香りでマタタビを嗅いだ時と同様な仕草を見せる事があるようです。

そのため、セロリが猫の手に届く場所にあると、その香りに誘引されてじゃれているうちにムシャムシャと葉っぱなどをかじって食べてしまう事もあります。

少量であればさほど問題はないと考えられますが、上記で解説したように、尿路結石を作りやすい猫にとって、ュウ酸を含む野菜を生のまま大量に食べる事は好ましくありませんので、セロリは猫の手の届かない場所に保管すると良いでしょう。

犬はセロリを食べても大丈夫!栄養や効果を解説

上記で猫にセロリはおすすめできないと解説しましたが、犬に関しては猫ほど注意が必要な野菜ではありません。

基本的に犬は生でも加熱したものでも食べても大丈夫です。

ここでは犬にセロリを与えるメリットや注意点を解説します。

犬にセロリを与えるメリット

セロリには食べる事の栄養効果と独特な香りによる健康作用が期待されています。

今では野菜として認識されていますが、古くは古代ローマ時代には整腸や強壮作用がある薬草として扱われていたと言われています。

また、漢方では旱芹(かんきん)と呼ばれ、熱を冷ます作用や風邪による悪寒を取り去る効果などが期待されています。

薬草として扱われるほどのセロリの健康効果は犬にとってもメリットがあると考えられています。

アピイン

セロリの特徴といえる独特な香りには、ポリフェノールのアピインが含まれています。

このアピインは不安やイライラを鎮める効果や食欲増進、安眠作用がある事で知られています。

これらの鎮静効果の他にも、毛細血管保護や抗アレルギー、利尿、発汗など多くの作用が期待されています。

ピラジン

セロリの中でも葉の部分に含まれる香り成分のピラジンには、血液をサラサラにし、血行促進や動脈硬化を予防する働きがあります。

血液の汚れは新陳代謝を滞らせ、疲れやすくなったり、免疫力の低下などにも繋がります。

血液の滞りを解消することは様々な疾患の予防や、全身の健康維持に繋がると考えらます。

食物繊維

セロリは食物繊維が比較的多い野菜です。

食物繊維はコレステロールの排出や便のカサをまして便通を善くすることが知られています。

老廃物や有害物質の排出にも活躍し、腸内環境が改善されることから、大腸がんの予防も期待されています。

カリウム

セロリにはカリウムが豊富に含まれています。

カリウムは細胞内のナトリウム量を調整し、過剰な塩分を排泄する作用があります。

血圧を下げる効果や利尿作用も期待されています。

ただし、腎臓病の疾患等がある場合には、カリウムの摂取制限がある場合があるので、過剰摂取には気をつけましょう。

ダイエットの味方!低カロリーで食物繊維豊富なセロリ

セロリはエネルギーが可食部100gあたり15㎉と低カロリーであるため、肥満で食事制限をしている場合にごはんのカサ増し活躍します。

水分も多く、満腹感を与えてくれることや、食物繊維のコレステロール排出作用などもダイエット効果に役立つでしょう。

また、食事の制限によりストレスを感じている場合にも、セロリの香りによる鎮静効果でイライラや不安も解消させる作用が期待できます。

犬にセロリを与える際の注意点

硬いスジは必ず取ろう!消化不良に要注意!

セロリには硬いスジがあります。人が食べるときにもこのスジは邪魔に感じるほど硬く食べ辛いものです。

犬は咀嚼せずに丸飲みしてしまう事が多い傾向にあるので、セロリ自体の硬さや、この硬いスジがついたままのものを与えてしまうと消化不良を起こして下痢や嘔吐の原因になる事があります。

セロリのスジ取りは非常に簡単です。

セロリの表面に見える硬いスジにピーラーを当てて、皮を剥くように縦に刃を引けばOK

ピーラーがなければ包丁を根元の切り口にあてて、スジを親指で押さえながら持ち上げるように引っ張るとスジが取れますので試してみてください。

また、消化の観点から大き目なカットは犬に与えるのに向いていません。

繊維を断ち切るようにスライスたり、細かく切ったものを用意すれば、噛まずに丸飲みされても消化にあまり負担がかからなくなるでしょう。

子犬やシニア犬は胃腸の機能が弱い事もあるので、みじん切りまたはミキサー等でペースト状にすることで更にサポートできるでしょう。

セロリに含まれる『シュウ酸』は犬にも注意が必要

上記で猫にセロリをおすすめできない理由として、セロリに含まれるシュウ酸が起因となる『シュウ酸カルシウム結石』について解説しました。結石症は猫の方が発症率が高いとは言われていますが、犬にも起こりうる疾患であるので、注意が必要です。

シュウ酸カルシウム結石症の好発犬種として、ミニチュアシュナウザー、ミニチュアプードル、ヨークシャーテリア、ラサアプソ、ビションフリーゼ、シーズーなどが挙げられています。

シュウ酸カルシウム結石になりやすい犬や、現在患っている犬に関してはセロリは与えないという選択をするのも飼い主の判断に委ねられます。

現在シュウ酸カルシウム結石を患っていない場合でも、過剰摂取は決して良いとは言えませんので、一度に大量に与えないように注意しましょう。また、シュウ酸は茹でる事で減少させることができるので、茹でたものを与えるのも良いでしょう。

アレルギーに注意

セロリはアレルギーを起こしやすい食品には含まれていませんが、稀にセロリでアレルギーを引き起こすことがあると言われています。

また、キク科(ヨモギ等)花粉はセリ科の野菜であるセロリやパセリ、ニンジン等と交差反応しやすいと言われています。

『セロリ-ニンジン-ヨモギ-スパイス症候群』と呼ばれる症候群もあり、セロリに対するアレルギーが確認されている犬は、セロリと同じセリ科の野菜やシラカバ、シラカバと近縁の植物(バラ科の植物やヘーゼルナッツ等)でも交差反応を起こすとの報告もあるようです。

どの食材にも言えますが、初めての食材を犬に食べさせる際には、必ず少量から始め、食後の様子に異変がないか注意深く観察しましょう。

もし、食後に下痢や嘔吐、発疹など異常があればできるだけ早く動物病院へ相談しましょう。

参考:セロリ-ニンジン-ヨモギ-スパイス症候群

残留農薬は大丈夫?

セロリに含まれる有効成分は茎よりも葉先の部分に多いので、葉も積極的に摂るとよいと言われています。

しかし、葉の部分には栽培の際に使用した農薬が残りやすいとも言われているので、犬に与える際には少し不安がある方も多いと思いますが、セロリは適切に洗えば農薬の大半は除去できると考えられています。

流水で茎を手でこするように1分程度しっかりと洗って表面についた汚れや表皮に残った農薬を流しましょう

それでも心配に思う方は、スジをとったものを斜めにスライスし、その後酢水に5分ほどさらすと良いと言われています。

犬は酢の匂いが苦手な事が多いので、酢水にさらしたものをザっと洗ってから調理してあげると良いでしょう。

農薬が残りやすいと言われている葉の部分に関しては、流水でしっかり洗った後に、さらに茹でこぼしてから調理することで残留農薬の軽減に繋がると言われています。

大前提として、残留農薬については厚生労働省より

食品中に残留する農薬などが、人の健康に害を及ぼすことのないよう、厚生労働省は、全ての農薬、飼料添加物、動物用医薬品について、残留基準を設定しています。
残留基準は、食品安全委員会が人が摂取しても安全と評価した量の範囲で、食品ごとに設定されています。農薬などが、基準値を超えて残留する食品の販売、輸入などは、食品衛生法により、禁止されています(いわゆる「ポジティブリスト制度」)。
農薬が基準を超えて残留することのないよう、農林水産省が、残留基準に沿って、農薬取締法により使用基準を設定しています。また、食品の輸入時には、検疫所において、残留農薬の検査等を行っています。

参考:食中の残留農薬等(厚生労働省)

このように、食べても問題ないとされる使用基準が決まっている他にも、検査などで管理されています。

まとめ

セロリは犬であれば生、加熱ともに食べても大丈夫な野菜です。

猫に関しては、猫がかかりやすい疾患のひとつである『シュウ酸カルシウム結石』の原因のひとつになる場合があるので、安易に食べても大丈夫とは言えない食材です。また、犬に関してもシュウ酸カルシウム結石を患いやすい犬種もいますので、飼い主はセロリを与えないという選択や、予防策として茹でたものを与えるなどの判断が必要です。

ただしセロリ自体に犬猫が中毒症状を引き起こす成分は入っていないため、猫が少量かじってしまった場合でも、慌てずに食後の様子に異変がないかを注意観察しましょう。

尿路結石だけではなく、稀ではありますがセロリアレルギーを引き起こす犬猫は少なからず存在しますので、セロリを食べた後に何か異変を感じるようであれば、動物病院で受診しましょう。

セロリの特徴である香り成分には鎮静効果、血行促進の効果があり、食べる事で食物繊維、カリウム、ビタミンなどが摂取できるので健康的メリットがある野菜と言えます。

低カロリーで水分を豊富に含むセロリは、肥満予防やカロリー制限中の犬のごはんのカサ増しにも活躍しますので、上手に活用して頂きたい野菜のひとつです。

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

関連記事