愛犬・愛猫に与える栗について
食料として古くから栽培され愛される栗。9月~10月が熟期で、秋になると栗や栗を使った加工品をよく見かけるようになりますね。
栗ご飯、栗きんとん、栗ようかん、モンブランなど、栗を使ったお料理やお菓子が沢山あり、SNSでも数多く投稿されています。
私達の身近にあるニホングリ、天津甘栗に使われるシナグリ、洋菓子などに使われるヨーロッパグリ、日本では余り見かけないアメリカグリと、栗は大きく4つに分類され、日本では各産地でブランド化も盛んです。
この記事では私達が1番手にする機会の多いニホングリを中心に、犬猫が栗を食べても大丈夫か、どのような特徴があるのかなど解説していきたいと思います。
犬や猫は栗を食べても大丈夫です!
犬猫は栗を食べても大丈夫です。ただし皮付きのままや生の栗は消化不良になったり胃腸に詰まってしまう可能性も。必ず柔らかくなるまで加熱し、小さく刻んだり潰したものを与えてください。
また栗は犬猫に嬉しい栄養素が豊富ですが、炭水化物も多くカロリーが高めです。犬猫が食べても大丈夫だからといって与えすぎないようにしましょう。
栗の鬼皮と渋皮は食べられる?
栗には「鬼皮(外側の固い皮)」と「渋皮(内側の柔らかい皮)」がありますが、犬猫に鬼皮はNGです。渋皮は食べても大丈夫ですが基本的には与えなくてよいでしょう。
犬猫は皮をうまく噛めず丸飲みし、消化不良や腸閉塞を起こす可能性もあります。犬猫に栗を与えるときは鬼皮をしっかり取り除き、渋皮もなるべく与えず、どうしても渋皮を与えたい場合はやわらかく煮たり細かく刻み、少量にしましょう。
落ちている栗を犬猫が食べてしまったら?
秋になるとお散歩コースやお庭に栗が落ちているなんて事もありますよね。
栗に犬猫が食べて直ちに中毒になってしまう成分は含まれていませんが、前述の通り生の栗は堅い皮もあり腸閉塞などの危険があります。
愛犬愛猫の身体の大きさや食べてしまった栗のサイズなどにもよりますが、もし丸飲みしてしまった場合は獣医師に相談しましょう。
検索すると出てくる「猫 栗粒性皮膚炎(正しくは 粟粒性皮膚炎)」って?
ネットで(猫 栗)と検索すると栗粒性皮膚炎という言葉が出てきて、まさか栗を食べることで皮膚炎に?と心配してしまいますが正しくは栗ではなく粟(あわ)という字で粟粒性皮膚炎といいます。
栗や粟を食べることで発症する病気ではなく、粟(あわ)のように非常に小さな粒状の丘疹が出来てしまう皮膚炎です。栗とは無関係なので安心してくださいね。
栗(ニホングリ・ゆで)に含まれる代表的な栄養素
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 167kcal |
たんぱく質 | 3.5g |
脂質 | 0.6g |
炭水化物 | 0.8g |
カリウム | 460mg |
βカロテン | 37μg |
葉酸 | 76μg |
ビタミンC | 26mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
カリウム
カリウムはミネラルの一種です。細胞内液の浸透圧の調整や、ナトリウムを身体の外に出しやすくして塩分の摂り過ぎを調節する働きがあります。
タンニン
栗の渋皮にはポリフェノールの一種、タンニンが豊富に含まれており、抗酸化作用やガンの予防効果が期待できます。
渋皮は消化しづらくあまりおすすめできませんが、やわらかく煮て細かくするなど工夫して与えてみるのは良いかもしれません。
食物繊維
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、栗にはこの両方が含まれています。
さつまいもなども食物繊維が豊富とされておりますが、栗の方が更に豊富です。
栗を食べることで腸内環境の改善や便秘解消が期待できます。
食品 | g/100g |
---|---|
栗 生 | 4.2 |
さつまいも 塊根 皮つき 生 | 2.8 |
栗のビタミンCは加熱に強い
意外とビタミンCが豊富な栗ですが、栗のビタミンCはデンプン質に包まれていて加熱しても壊れにくいと言われています。
健康な犬猫はビタミンCを体内で生成できるので過剰に取る必要はありませんが補助的な役割として活用できそうです。
犬や猫に栗をあげる際の注意点
犬や猫に栗をあげる際には、いくつかの注意点があります。
与えすぎ(カロリー)
栗(ニホングリ・ゆで)100gに含まれるエネルギーは約167kcalとされており一般的なドライフードの半分程度のカロリーがあります。
与えすぎは肥満や病気の原因になりますので、あくまでも少量にとどめるようにしましょう。
カリウムの過剰摂取
カリウムは犬猫にとってなくてはならない重要な成分ですが、過剰に摂取することで心臓に負担をかけてしまうと言われています。
高カリウム血症の恐れもありますので、必ず愛犬・愛猫に合った量を与え、過剰摂取は避けるようにしましょう。
食べ過ぎによる便秘
栗には便通を整える食物繊維が含まれていますが、不溶性が多いので食べ過ぎると便が増えて排便しにくくなり、便秘が悪化してしまう可能性もあります。お腹のために・・と与えすぎないようにしましょう。
栗アレルギー
一般的に栗はアレルギーを起こしにくいと言われていますが、栗もアレルゲンになりますので絶対という事はありません。
初めて与える場合は少量にして犬猫の様子をしっかり観察しましょう。
変わった例で人の場合だと、ラテックス(天然ゴム)でアレルギーがあると、交差反応としてバナナやキウイ、栗やアボカドなどでもアレルギーが出る場合があります。
犬猫に人用の加工食品はNG
犬は甘みを感じるので栗が好きな子は多いですし、猫も意外と栗が好きで「うちの子は天津甘栗や栗きんとんを食べていると寄ってくる」なんて話を耳にします。
原材料欄に栗以外の食材が記載されていない場合は与えても良いですが、人用に加工された食品は砂糖を大量に使用しているので危険です。目を離した隙に食べられないように気をつけましょう。
犬や猫にあげる栗レシピ
犬猫に栗を与える場合は茹でたり焼くなど必ず加熱して与えましょう。
ペースト状にしたり細かく刻んでトッピングにもおすすめです。
栗ペースト
栗を茹でて潰し、豆乳で伸ばしてペースト状に。そのまま舐めさせたりドライフードにのせてあげてもいいでしょう。投薬補助としても使えますよ。
栗と米粉のクッキー
茹でた栗と米粉でクッキーに。手軽に与えられるので犬猫とのコミュニケーションにも使えます。
【まとめ】犬猫は栗を食べても大丈夫
犬猫は栗を食べても大丈夫!消化不良などの原因になる皮は取り除き、加熱して与えましょう。
水溶性と不溶性の食物繊維が含まれ腸内環境改善が期待できますが、不溶性のほうが多いので食べ過ぎると便が増えて排便しにくくなる可能性も。あくまでも適量を心がけましょう。