犬猫はゼラチンを食べても大丈夫!
ゼリーなどに使われるゼラチンは、動物の骨や皮に含まれているコラーゲンというたんぱく質から作られています。
犬は雑食ではありますが、猫と同様、生物学的に食肉目に分類されており、動物性のたんぱく質で出来ているゼラチンは食べても大丈夫といえます。
ゼラチンは人用のお菓子だけではなく、ウェットタイプのドックフードやキャットフードにもとろみをつけるために使用されたり、薬のカプセルにも使われるなど、様々な形で使用されています。
人用のゼリーを食べちゃった!中毒症状を起こす食材を使った加工品には注意が必要
上記で解説したように、ゼラチン自体は食べても大丈夫と言えますが、人用に作られたゼラチン使用の加工品を犬猫に食べさせても大丈夫とは言えません。
ゼリーのようなゼラチン使用の人用のお菓子はとても種類が豊富で、香りが良いものが多くあります。
テーブルに置いてあるものを少し目を離した隙に犬猫が食べてしまった!というようなケースはよくあり、食べちゃったけど大丈夫!?と心配になって検索をした飼い主の方もいらっしゃるではないのでしょうか。
犬猫がゼラチン使用のゼリーのような加工品を舐めたり少量であれば食べてしまっても基本的に問題はないかと思いますが、ゼラチン以外に使われる多量の砂糖などの調味料の量を考えると日常的に食べる事や、一度に大量に食べてしまう事はNGです。
また、犬猫が食べる事で中毒症状を引き起こす可能性がある食材との組み合わせの商品もあります。
例えばブドウやコーヒー、ムースやババロアにはチョコレートを使うものもあり、テリーヌにはタマネギなどのネギ類が使われることも。
それらをを考えると、安易にゼラチン使用の人用加工品を犬猫が食べても大丈夫とは言えません。
ゼラチンの成分
ゼラチンは牛の骨や皮、豚の皮、魚の鱗、皮などから作られています。
主成分はたんぱく質で、80~90%近くを占めているといわれています。
それ以外は主に水分や灰分で出来ており、原料の違いによって多少前後しますが、豚を原料としたゼラチンは100gあたり347㎉です。
プリン型のゼリー1個分に使う粉ゼラチンの量は約2g程度なので、低カロリーな食材と言えます。
ゼラチンと寒天の違いとは?
ゼラチンに似たもので寒天があります。
寒天はゼラチンと同様にプルンとした食感に凝固させる性質があるので、同じものとして見られがちですが、寒天の原料は海藻で、ゼラチンの主成分がたんぱく質なのに対して寒天の主成分は食物繊維です。
同じ凝固剤として犬猫の食事に活用できるので、たんぱく質を重視する場合にはゼラチン、食物繊維を摂らせたい場合には寒天と使い分けてもいいかもしれません。
ゼラチンを与えるメリット
コラーゲンで皮膚の健康維持に活躍!
上記で解説の通り、ゼラチンの主成分は動物性たんぱく質であるコラーゲンです。
ゼラチンはほぼたんぱく質で出来ているので、栄養豊富とは言い難いですが、この動物性たんぱく質のコラーゲンは、人にも美肌効果がある事で注目されているのと同様に、犬猫の皮膚にもハリとツヤを与え、美しい被毛を保つ効果が期待されます。
また、コラーゲンには丈夫な骨の形成や、関節の動きを良くする効果、丈夫な腱や筋肉の健康維持に活躍することが期待されています。
低カロリーでダイエットの味方!水分補給にも役立ちます!
上記で少し解説しましたが、ゼラチンは比較的低カロリーな食材と言えます。
100gあたり347㎉で、一般的なプリンカップ1個あたりに使われるゼラチン量は約2g。2gのゼラチンのカロリーは6.94㎉となります。※豚由来のゼラチンのカロリーを参考にしています
体重管理が必要で、カロリーを考えながら手作りのご飯を用意している場合に活用すれば、カロリーにあまり影響を与えずにゼラチンで固められる水分と食べ応えで満足感を与えられる事が期待できます。
また、夏バテで食事も水もあまり摂らないような場合には、ゼラチンを使ったおやつやごはんを用意するのもおすすめです。
ゼラチンの固まる性質で与えやすく、エネルギーと水分の補給が叶うので上手に使ってあげると良いでしょう。
ゼラチンを与える際の注意点
ゼラチンによるアレルギー
アレルギーの症状を引き起こすことが明らかになった食品のうち、食物アレルギー特定原材料に比べると症例数が少ないものを『特定原材料に準ずるもの』として表示することを推奨されてた食材21品目のうちにゼラチンは含まれています。
ゼラチンの主成分はたんぱく質だと解説しましたが、たんぱく質は体を作る重要な存在である反面、食物アレルギーの原因成分としても有名です。
そのため、人と同様に犬猫もゼラチンでアレルギー症状を引き起こす可能性はあります。
たんぱく質アレルギーがわかっている犬猫に関しては、犬猫のフードに使用されていたりすることも多々あるので、初めて食べさせる物の原材料の確認は怠らないようにしましょう。
また、初めてゼラチンを使ったものを食べさせる場合には、他の食材と同様に少量から始め、食後の様子に注意しましょう。
主なアレルギー症状としては、口周辺のかゆみや、発疹等で、稀にアナフィラキシー反応の例が報告されています。
食後に上記のような症状や下痢や嘔吐などの体調不良を起こしたら、食べたものをメモし、速やかに獣医師へ相談しましょう。
ゼラチンのアレルギー反応に関しては、犬のワクチン接種後、ワクチン中に含まれるFCS、ゼラチン、およびカゼインがワクチン接種後アレルギー反応の原因アレルゲンとなっていることが明らかとなったとの報告があります。(引用:東京大学学術機関リポジトリ)
参考:ゼラチンアレルギー概説
腎臓の疾患を持つ犬猫は要注意!
腎不全などの腎臓疾患がある場合、たんぱく質の摂取制限をしなくてはいけない場合があります。
その場合、たんぱく質が主成分であるゼラチンを使用した食事を増やしてしまうとたんぱく質の過剰摂取となってしまう可能性があります。
ただし、猫の場合には腎不全であってもたんぱく質の制限が要、不要かはまだ議論されており、制限のない場合もあります。
上記を踏まえて、手作りのごはんにゼラチンを使用したいときや、ゼラチンを使用した犬猫用のごはんを与えたいと考える場合には事前にかかりつけの獣医師に相談するか、もしくはゼラチンと同様に凝固剤として使える寒天は主成分が食物繊維なので、そちらを使用してもいいかもしれません。
ただし、寒天は食物繊維が豊富なので過剰摂取は便秘や消化不良の原因となります。摂取量には気をつけましょう。
おすすめレシピ
ヨーグルトゼリー
①ゼラチン5gにお湯大さじ2杯を加えてふやかしておきます。
②プレーンヨーグルト250gを耐熱容器に入れ、電子レンジで1分(600w)程度温め、ふやかしておいたゼラチンを加えてよく混ぜます。
③バットなどの容器に注ぎ、冷蔵庫で3~4時間程度冷やし固めて完成です。※この時間で固まっていなければ様子を見て冷やす時間を増やしてください。
ヨーグルトは発酵の過程で乳糖不耐症を起こしにくい乳製品となるので、犬猫が食べても大丈夫な食材です。
ヨーグルトが好きな犬猫は多いので、食欲があまりない時などでも興味をそそり、夏バテの時などに活躍してくれそうです。
ゼラチンのコラーゲンとヨーグルトの乳酸菌で皮膚の健康維持と腸内環境改善に役立ちます。
刻んだフルーツを混ぜて固めれば、水分と共にすぐにエネルギーとなってくれる果糖も摂取できるので、暑い時期や運動した後のおやつに最適です。
まとめ
ゼラチンは犬猫にとって有害な成分は含まれていないので、食べても大丈夫な食材です。
低カロリーである面や、主成分であるコラーゲンは犬猫の皮膚の健康や美しい被毛の維持に役立つメリットの他にも、骨や腱、筋肉の健康維持効果も期待できます。
ただし、人用の加工品には犬猫にとって中毒症状を引き起こす食材が入っている危険性や、多量な糖分や塩分による健康被害の危険性を考えると十分に注意が必要です。