正月料理に欠かせない野菜の一つ「くわい」。
12月になると勢いよく芽が出ることから単に「芽が出る」という意味であったり「芽出たい(めでたい)」などの意味があり縁起の良い食材とされています。
そんなくわいは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はくわいを食べても大丈夫!
犬や猫はくわいを食べても大丈夫です。
くわいには薬膳としての効能もあり犬猫のからだのためにもなります。
今回は犬猫にくわいを与える際の注意点や与え方をご紹介します。
くわいについて
日本で古くから食べられているくわいですが漢字では「慈姑」と書きます。
くわいを大きく分けると青くわい・白くわい・吹田くわいの3種類あります。
日本で栽培されているくわいのほとんどは青くわいで肉質が柔らかくホクホクして甘味があるのが特徴です。
白くわいは中国で生産されている品種で青くわいよりも楕円形に近く、少し固めでシャキシャキした食感が特徴です。
吹田くわいは大阪府の吹田(すいた)という地域で古くから栽培されてきた品種で口当たりが良く最も味が良いとされています。
犬猫にくわいを与える注意点
生食はNG
くわいは生のまま食べるとアクが強く美味しくないので犬猫に与える際にもしっかりアク抜きをしてから与えましょう。
また、生のくわいは固いので犬猫がのどを詰まらせてしまう可能性もあるので必ず加熱して柔らかくなったものを与えましょう。
与えすぎに注意
くわいには100g中24.2gと、さつまいもとほぼ同じ量の炭水化物が含まれています。
エネルギーは100gで128kcalあるため犬猫の手作りご飯に使用する場合はカロリーオーバーにならないように注意しましょう。
普段与えているペッドフードと手作りご飯のバランスが大切です。
薬膳としてのくわいの効能とは
くわいは薬膳として知られており、病気の予防に効果的とされています。
薬膳とは?
薬膳とは中国医学に基づいた考え方で、体調や体質に合わせて食材や調理法を選び病気の治療・予防を行う食事方法のことです。
身近なことでいうと風邪を引いたときに生姜湯を飲んだり、体を暖めるために辛いものを食べたりするのも薬膳です。
よく薬膳と比較されるものに「漢方」がありますが、漢方は植物などの「生薬」と呼ばれるものを用いて人間が本来持っている自然治癒力を引き出すものです。
体調に合わせて食材を選ぶ薬膳とは少し違う考え方になります。
くわいの効能
くわいには以下のような効能があると言われています。
- 血の巡りをよくする
- 便通を改善する
- 肺に潤いを与えて咳を止める
- 体や血の余分な熱を取る
上記の他にもくわいには解毒作用があるとされており、中国では「毒ヘビに噛まれた傷を治す」とも言われるほどです。
これはさすがに大げさな表現ですが、実際にはニキビ・できもの・夏バテ・尿路結石などに効果があると言われています。
くわいに含まれる代表的な栄養素
くわい 塊茎 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 128kcal |
たんぱく質 | 6.3g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 24.2g |
カリウム | 600mg |
銅 | 0.71mg |
ビタミンE | 3.0mg |
葉酸 | 140μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
カリウム
カリウムの働きとは?
カリウムはあらゆる生き物が生きていく上で欠かすことのできないミネラルです。
カリウムには細胞を正常に機能させるという役割があり、ナトリウムと共に体液の浸透圧の調整などを行っています。
ナトリウムは細胞のエネルギー代謝など重要な役割があるミネラルですが過剰摂取は心臓や腎臓に負担がかかってしまいます。
そこで塩分過多などでナトリウムを摂取しすぎた場合、体外に排出するのもカリウムの役割です。
カリウム不足になると・・・
カリウムはもちろん犬猫にとっても大切な栄養素のため多くのペットフードには必要量のカリウムが含まれているため基本的にカリウム不足の心配はありません。
しかし、老化や体調不良が原因でなかなかご飯が食べられなくなってしまった犬猫はカリウムをはじめとする様々な栄養素が不足する可能性があるので注意しましょう。
カリウムが著しく不足すると「低カリウム血症」を発症する可能性があり、症状としては筋力低下・歩行不全・食欲不振などがあります。
症状の一つの筋力低下は首の筋肉にも現れ、頭を上げられなくなるため低カリウムの犬猫は常に下を向いているような状態になりやすいです。
低カリウムはカリウム注射や点滴によって回復しやすいのでもし患ってしまったら症状に早く気づいてあげられるようにしましょう。
たくさん摂取したほうがいい?
カリウムはたくさん摂取したとしても不要な分は尿と一緒に排出されるようになっています。
なので基本的にたくさん摂取しても大丈夫な栄養素ですが例外があり、犬猫の腎機能が衰えている場合は過剰摂取に注意です。
尿と一緒にカリウムの排出が上手くできなくなると血液中のカリウム濃度が上がり「高カリウム血症」になってしまう可能性があります。
高カリウム血症の症状には筋力低下・四肢のしびれ・不整脈などがあり、最悪の場合死に至る可能性がある恐ろしい病気です。
尿閉塞などの腎不全は高カリウム血症など様々な病気の危険性があるので少しでも異常が見られた場合は獣医師に相談しましょう。
銅
銅は生体内にごく微量しか存在しませんが、ヘモグロビンの合成や細胞の呼吸を促進する働きがある栄養素です。
他にも被毛の色素であるメラニンの合成に必要で、綺麗な被毛のためには欠かせません。
葉酸
葉酸は水溶性ビタミンの一種で貧血を予防する効果があるほかにDNAの合成に大きく関与しています。
そのため胎児形成に大量の葉酸を必要とするため妊娠中の犬猫に特に重要な栄養素です。
犬猫へのくわいの与え方
犬猫へのくわいの与え方をご紹介します。
下処理をしっかり行う
くわいにはポリフェノールが含まれており、それが強いアクの原因となるためしっかりと下処理を行うのが大切です。
下処理は以下の手順を参考にしてください。
- くわいの芽の先を少し切り落とし皮を剥く。芽の周りの皮も1枚剥く。
※皮が付いたまま調理する方法もありますが皮を剥いた方がアクがよく抜けるのでおすすめです。 - ボウルにたっぷりの水を用意し、30~60分ほど浸しておく。
- 水に浸しておいたくわいをざるにあげ、水気を切る。
- 鍋にくわいが浸るほどの米のとぎ汁を入れて中火にかける。
- 沸騰したらくわいを入れて弱火で10分ほど茹でる。
- ざるに揚げて流水で軽く洗う。
以上で下処理は完了です。
皆様が食べる時はここから煮汁で煮たり油で揚げるなどして食べてください。
犬猫に与える場合は細かく切って以下のようなスープに入れてあげるといいでしょう。
そして鱈の豊富なアミノ酸が魅力的なレシピです。
グルタミン酸と鱈の香りで食欲を刺激します。
【まとめ】犬猫はくわいを食べても大丈夫
犬猫はくわいを食べても大丈夫です。注意点をおさらいしましょう。
- 薬膳としても知られていて様々な効果が期待できる
- 与えすぎによるカロリーオーバーに注意
- しっかりと下処理をしてから与える
今回は犬や猫に与えるくわいについてご紹介しました。
犬や猫の健康を考える上で、正しい与え方を守り、バランスの良い食事を提供することが大切です。