犬猫はライチを食べても大丈夫?ライチ病とは?栄養や注意点を解説

犬猫はライチを食べても大丈夫

犬猫はライチを食べても大丈夫!

楊貴妃も愛したといわれるこのライチは美容果物といわれるほどビタミンが豊富に含まれ抗酸化作用が期待されるフルーツです。

美肌のビタミンCや血圧を下げるカリウム、血管を強くする銅、貧血予防の葉酸などがバランスよく含まれていて、老化予防や美容効果がとても高いといわれていて、人だけではなく犬猫にも健康的メリットがある食材です。

人も犬猫も年齢を重ねるごとに体に様々な不調を起こす老化現象。抗酸化作用の強い食材でエイジングケアをするのは大切なことです。

毎日の散歩で浴びる紫外線のケアにも役立つ栄養素が豊富に含まれています。

しかし与える際の注意点もありますので、ライチの栄養や与える際の注意点を解説します。

ライチの栄養

代表的な栄養素が近いラズベリーと比較しました。

可食部100g当たりの含有量

ライチラズベリー
ビタミンC36mg22mg
カリウム170mg150mg
0.14mg0.12mg
葉酸100μg38μg

参考資料:八訂 食品成分表 2022

ビタミンC

ライチに豊富に含まれるビタミンCは強い抗酸化作用が期待できる栄養素です。

また、免疫力アップやコラーゲンの生成のサポート、メラニン色素の過剰生成を抑制するなどの肌環境を整えてくれる効果もあります。

ほかにも鉄分の吸収促進、解毒やホルモン代謝を担う酵素のサポートの効果でアンチエイジングに期待ができます。

犬猫は体内でビタミンCを合成することができるので必要以上に摂取する必要はないといわれてきましたが、体調や年齢によって合成能力が衰えることもあったり、合成はできてもビタミンCはストレスなどによっても消費してしまいますので、近年では食事から摂取するのは健康維持に効果的といわれています。

カリウム

カリウムはミネラルの一種で、浸透圧の調整などの働きをします。

利尿作用が期待でき、ナトリウムを排出する事で塩分の摂り過ぎを調節する重要な役割を果たします。血圧を下げる効果も期待できます。

しかし腎臓病等の疾患がある犬猫は摂取量に注意してください。

過剰摂取は高カリウム血症の原因になる危険性があり、四肢のしびれや嘔吐、筋力低下、脈拍異常といった体調不良の原因につながります。

ミネラルの一種である銅は、鉄分と結びついて赤血球を構成するヘモグロビンを活性化させる作用があります。

ヘモグロビンが増えると、血中酸素濃度が高くなり、貧血防止、疲労回復や冷えの改善などに繋がります。

また、銅は酸素の量を増やす働きをするため、消化をサポートしたり新陳代謝を活発にしたりして、骨や被毛、皮膚などを健康に保つ働きもします。

葉酸

葉酸は細胞の生まれ変わりや成長をサポートするのに役立ちます。

造血のビタミン』とも呼ばれ、血液を構成する栄養なので貧血予防にも効果があるといわれており、循環器系や皮膚疾患のある犬への効果も期待ができます。

ロイコシアニジン

ライチに含まれるポリフェノールの一種であるロイコシアニジン。シミの原因になるメラニンの生成を抑制する作用があるといわれています。

毎日の散歩で紫外線をたっぷり浴びる愛犬の皮膚老化予防や改善に効果を期待します。

ロイコシアニジンには抗酸化作用もあるので老化防止、アンチエイジング、免疫力アップに効果的。

ライチを与えるメリット

アンチエイジングや免疫力アップに期待

ライチにはビタミンCとポリフェノールの一種であるロイコシアニジンという成分が含まれています。

どちらも強い抗酸化作用が期待され、免疫力の向上やエイジングケアに有効な食材といえます。

犬猫は体内でビタミンCを合成できますが、シニア犬、シニア猫や激しい運動をする犬猫は体内で合成されるビタミンCより消耗する量のが多い可能性もあるといわれています。

以前は体内で合成できるビタミンCをあえて摂取させる必要はないといわれてきましたが、運動やストレスによる消耗や老化によって分泌量が減る事を懸念して食事から摂取することは有効であるといわれてきています。

ビタミンCは抗酸化作用の他にもコラーゲンの生成をサポートするので、関節炎などのを患っている犬猫に補給することで改善も期待できる栄養素です。

貧血予防に効果的

葉酸はビタミンB群の一種で、赤血球の細胞の形成を助ける役割があります。

胎児の正常な発育をサポートする働きがありことから妊娠中の人が摂った方がいい栄養素として知られていますが、犬猫の場合も同様で、葉酸は胎児の細胞分裂や成熟に大きくかかわっているため、妊娠中の犬猫が摂取するメリットがあります。

もちろん妊娠中だけ必要な栄養ではありません。葉酸はビタミンB12とともに赤血球の産生にかかわるため『造血のビタミン』と呼ばれるほど貧血予防に効果的な栄養素です。

また、代謝にも関与しており、DNAやRNAなどの核酸やたんぱく質の生合成を促進し、細胞の生産や再生を助けることから、体の発育にも重要な役割を担います。不足しないように普段の食事から摂取して補うとよいでしょう。

与える際の注意点

ライチ病?未熟なライチや種は絶対に与えないで。天然有機化合物の一つ『ヒポグリシン』に注意

ライチに含まれている『ヒポグリシン』という成分で低血糖を引き起こす危険性があるという報告があります。

この『ヒポグリシン』は未熟なライチに特に多く含まれているといわれており、ライチ(特に未熟なライチ)やその種には毒性があるといわれています。

この天然有機化合物の一つであるヒポグリシンという成分は摂取した場合毒性を示すといわれています。

いわゆる『ライチ病』といわれる、ヒポグリシンの過剰摂取でグルコースの合成は著しく阻害されることで低血糖症になったという事例が報告されています。

これは空腹を満たすために一日の大半をライチを食べて過ごし続けた海外の子どもたちが夕食を取らずに就寝し、夜間に体内の血糖値が低下したという被害報告です。

ライチだけが原因とはいわれていませんが、危険性については十分に認識しておきたい内容です。

参考:ライチ由来の毒素が影響、脳炎で子ども47人死亡 インド CNN.co.jp

犬猫に毎日のように過剰に摂取させることは考えにくいのですが、空腹時は通常時より血糖値が低くなっているので空腹時に与えない事と一度に大量に与えないように十分に気をつけてください。

また、家庭菜園でライチの木を栽培している場合は、未熟果を犬猫が誤食してしまったり、気づかないうちに大量に食べてしまったということがないように適切に管理してください。

ライチの果皮と種は必ず取り除いてから与えましょう

前述の通り、未熟果だけではなく種にも天然有機化合物の一つであるヒポグリシンという成分が含まれるといわれています。

また種の毒性だけではなく、果皮と同様種は硬く消化不良を引き起こし下痢や嘔吐をしてしまう可能性があります。

また犬は噛まずに丸飲みしてしまう習性があるので、種がついたまま丸ごと与えるのは毒性はもとより喉や消化器官に詰まる危険性があります。

このようなリスクを回避するためにライチは必ず果皮を剥き、種子を取り除いてから小さめに切って与えるようにしましょう。

アレルギー

どの食材にも同じことが言えますが、すべての犬猫にとってライチが絶対に安全ということはありません。

中にはアレルギーを持つ犬猫もいるので、初めてライチを与える際には少量から始めて、食後の様子を十分に注意観察しましょう。

ライチを食べた後に下痢や嘔吐、発疹などの症状がみられた場合はかかりつけの動物病院へ相談し、獣医師の指示に従いましょう。

覚えておきたいおいしいライチの見分け方

フレッシュなライチは販売されているのをあまりみかけないので、身近なフルーツとは少しいいにくと思います。

また「ライチは枝を離れるや1日で色が変わり、2日にして香りが失せ、3日後には色も香りも味わいもことごとく尽きてしまう」と伝えられるほど保存がきかない果物です。

食べごろといわれるおいしいライチの見分け方をお伝えします。

果皮に張りがありみずみずしいものを選びましょう

ライチは果皮に張りがあり、果実がふっくらとみずみずしいものを選びます。新鮮なものはうろこ状の表皮の突起がピンととがっています。

果皮がきれいな赤またはピンク色である

ライチは品種によって果皮の色の濃さが違いますが、国産のライチは赤やピンク色のものが多いです。未熟果は緑色の果皮をしています。

ただし、完熟した状態で緑色の果皮の種類もあります。

台湾等から輸入される「妃子笑(ひししょう)」という品種はグリーンライチとも呼ばれ、果皮が黄緑色または緑と赤のまだらになったものもあります。

また「玉荷包(ぎょっかほう)」という品種も果皮が赤色~黄緑色をしています。

緑色の果皮でも完熟している品種もありますので覚えておくといいかもしれません。

枝付きで売られている場合は、カラカラに枯れたものよりも枝が元気でなるべく水分を感じるものを選ぶようにします。

傷やシワがないか

果皮が黒ずんでいたりシワシワになったものは鮮度が低下している可能性があるので避けましょう。

傷があるものも中身が傷んでいる可能性があります。また、持ったときに重みがしっかりとあるほうが水分も多くみずみすしいといえます。

軽いものは乾燥して食味が落ちていることがあるので気をつけましょう。

冷凍品はしっかり解凍してから与えましょう

市販のライチは冷凍のものも多くみかけます。冷凍の果物も十分美味しく入手しやすい事からフレッシュなものより多く利用されています。

犬猫に冷凍ライチを与える時には、凍ったままだとお腹を冷やし下痢や腹痛の原因となってしまう可能性があるので、しっかり解凍された状態で与えるようにしてください。

冷凍ライチは完全解凍してしまうと皮を剥きにくくなるので半解凍で果皮をむくのがおすすめです。

おすすめレシピ

ライチヨーグルト

ライチは皮を剥いて種を取り出し小さめに切ります。切ったライチをプレーンヨーグルトに混ぜて完成です。

ライチの美容効果と抗酸化作用にヨーグルトの乳酸菌で体の中からキレイになるレシピです。

お散歩や運動の後、紫外線を浴びたり疲労回復にも役立て水分補給にもなるおやつレシピ。切って混ぜるだけのお手軽感も重宝します。

【まとめ】犬猫はライチを食べても大丈夫(注意点あり)

犬猫はライチを食べても大丈夫。

しかし未熟果と種には毒が含まれているので食べさせないように注意。種はそのままぱくっと食べてしまいがちなので注意しましょう。

アンチエイジングや免疫力アップも期待できるのでおやつ程度に楽しんでみてはどうでしょうか。

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

関連記事