舞茸の基本情報
鍋や炊き込みご飯の具として人気な舞茸。きのこの中でも独特な歯ごたえで好きな方も多いんじゃないでしょうか。
舞茸の旬は9~10月の秋頃ですが、これは北海道や東北地方でしか採れない天然物の舞茸の旬で、
現在はほとんどが人工栽培で一年中美味しく食べることが出来ます。
しいたけやしめじに比べて独特な形が特徴の舞茸ですが「舞茸」という名前の由来はその姿が蝶が舞っているように見えるためという説があるようです。
そんな舞茸ですが犬猫は食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫は舞茸を食べても大丈夫!
犬猫は舞茸を食べても大丈夫です。しかし好きなだけ与えていいかというとそうではありません。
舞茸を与える際の注意点を解説していきます。
生で食べても大丈夫?
通常、私たち人間も舞茸を生で食べる機会はないと思います。これにはちゃんと理由があるのです。
生の舞茸には有毒物質が含まれている
生の舞茸にはエリンギなどと同じように有毒物質のシアン化合物が含まれています。
シアン化合物を食べてしまうと腹痛や嘔吐を引き起こす可能性があります。食中毒になることもあるそうです。
プロアテーゼ
シアン化合物だけでなく、舞茸はプロアテーゼという酵素を持っています。
プロアテーゼはたんぱく質を壊す働きがあるので口の中の粘膜を破壊してしまいます。すると口の中がイガイガしたりのどが痛くなったりします。
舞茸を食べるときは加熱しよう
上記で説明したシアン化合物もプロアテーゼも加熱することで体への影響はなくなるので舞茸を食べるときは必ず加熱しましょう。
人体だと腹痛などで済んでも犬猫の体に入るともっと重症になるかもしれません。
どれぐらいの量食べても大丈夫?
舞茸は加熱したとしても与える量には注意してください。
食物繊維の量に気をつけて
舞茸には食物繊維がとても豊富に含まれています。食物繊維は適量摂取することで便通改善や腸内環境を整える効果があります。
しかし人間を含め雑食動物や肉食動物は植物を主食とする草食動物と違い食物繊維を消化吸収しエネルギーに変えることができません。
なのでたくさん摂取してしまうと消化不良を起こし逆に便秘になったり下痢になる原因になってしまいます。
普段のご飯が食べられる程度の量にしよう
どんな食べ物を与える場合もそうですが食べさせすぎて普段与えているドッグフードやキャットフードがお腹いっぱいで食べられないなんて事態になるのは避けましょう。
多くのペットフードは犬猫に栄養バランスを考えられて調合されています。おやつやその他食材の与えすぎは栄養失調や栄養の偏った食事の原因になりかねません。
舞茸に含まれる代表的な栄養素
生 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 22kcal |
たんぱく質 | 1.2g |
脂質 | 0.3g |
食物繊維総量 | 3.5g |
カリウム | 230mg |
ビタミンD | 4.9μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
カリウム
カリウムは犬や猫だけでなく多くの生物にとって欠かせないミネラルです。カリウムはナトリウムと共に体液の浸透圧の調整や細胞機能の維持をしています。
総合栄養食のペットフードを与えているとカリウムが不足する心配は基本的にはありませんが、体調不良や老化により食欲不振や嘔吐が続くとカリウム不足になり「低カリウム血症」を発症する恐れがあります。
低カリウム血症になると筋量低下や歩行不全などの症状が現れます。
ではカリウムはできるだけたくさん摂取した方が良いように思えますが例外があります。通常、摂取しすぎたカリウムは尿と共に体外へ排出されます。
しかし、老化などで腎機能が低下した犬猫はカリウムの排出が上手くできず「高カリウム血症」になってしまう恐れがあります。
人間の場合でも腎臓病患者はカリウム制限をしないといけません。高カリウム血症は最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。腎機能が低下している愛犬・愛猫には普段から気を配ってあげてください。
ビタミンD
舞茸はきのこのなかでもビタミンDの含有量がトップクラスです。
ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を助ける働きがあり、骨や関節の形成に必要なビタミンです。
ビタミンDが不足すると?
ビタミンDが不足すると強い骨が作れず関節に痛みが現れたり、顎が柔らかくなってご飯がうまく食べられなくなったりします。
具体的には骨粗しょう症・くる病・骨軟化症などの可能性があります。
ビタミンDの過剰摂取
骨を強くするために大切なビタミンDですが、ビタミンDは脂溶性ビタミンなので体内の脂質に溶けて蓄積されるので摂取しすぎると過剰症を引き起こします。
ビタミンDの過剰症には骨の石灰化・高カルシウム血症・高リン酸血症・動脈硬化・頻尿・血便などがあります。
過剰症は子犬や子猫に現れやすいようなので子犬や子猫を飼っている方は注意しましょう。
β-グルカン
β-グルカンは食物繊維の仲間で、免疫力アップの効果が期待されます。
β-グルカンは体の中に入ったときに体内の免疫細胞に害だと思われてしまい、退治しようと攻撃されてしまいます。
実際にはβ-グルカンは体内では悪いことはしません。なんだかかわいそうな話ですがβ-グルカンが攻撃されてくれるおかげで免疫細胞が活性化し免疫力がアップするのです。
犬猫に舞茸を与える際の注意点
細かく刻んでから与える
犬猫に舞茸を与えるときは加熱したものをよく刻んでから小さくしたものを与えましょう。
そうすることで消化にも良くなり、のどに詰まらせたりするリスクが減ります。
よく洗ってから調理する
舞茸などのきのこ類は栽培の過程でどうしても小さな虫や細菌がついてしまうことがあるようです。
これらは腹痛・下痢・食中毒などの原因になりかねないので舞茸を調理する前はよく水洗いをしておきましょう。
アレルギーに注意
犬猫は舞茸にアレルギーを持っている場合があります。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れ等が見られた場合すぐに与えるのを辞め、症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
犬や猫にあげる舞茸のレシピ
犬猫に舞茸を与える場合は普段与えているフードに少量混ぜてあげるのが良いと思います。
手順は以下の通りです。
①舞茸を愛犬・愛猫に合った適量用意する(初めての場合は少なめで)
②舞茸をよく水洗いする
③粗めに分けてよく火が通るまで茹でる
④茹であがったら水気を取りみじん切りもしくはフードプロセッサーでペースト状になるまで細かくする
⑥フードに混ぜるかトッピングして与える
【まとめ】犬猫は舞茸を食べても大丈夫
犬猫は舞茸を食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
・毒性のある成分を含んでいるのでよく火を通してから与える
・食物繊維やビタミンDの過剰摂取に注意
・アレルギーに注意
今回は舞茸について紹介しました。舞茸は注意点を守れば犬猫が食べても大丈夫な食材です。
ぜひ舞茸を使ったオリジナルレシピを考えてみてください。