犬猫は麦茶を飲んでも大丈夫?腎不全になるって本当?栄養や注意点を解説

麦茶は犬猫が飲んでも大丈夫

香ばしく甘い味わいの麦茶は子供から大人まで飲みやすく、夏に限らず冷蔵庫に常備している家庭も多いのではないでしょうか。

麦茶の入ったコップをテーブルに置いておいたら犬猫が舐めてしまった!なんてことも少なくないと思います。

麦茶にはカフェインや犬猫にとって有害な成分は入っていないので飲ませても大丈夫!

子犬猫、シニア犬猫にも特に負担になるような成分は入っていないので飲ませても大丈夫でしょう。

ただし、『お茶は大丈夫』と一括りに覚えてはいけません。

麦茶が大丈夫だからといっても、他の種類のお茶を飲ませたときに犬猫に健康被害を与えてしまう場合もあります。

麦茶の栄養やメリットとともに飲ませてはいけない種類のお茶についても解説します。

腎臓病や尿路結石の犬猫は注意

麦茶の特徴のひとつとしてミネラルが豊富に含まれていることがあげられ、中でもリンは腎臓病の症状を進行をさせてしまう可能性がある栄養素といわれています。

ミネラルの過剰摂取は腎臓病の悪化以外にも尿路結石を引き起こしやすくなるといわれているので、麦茶を飲ませると腎不全などになるのでは?と心配される方も多くいると思います。

麦茶100gあたりのミネラル量

浸出法:麦茶50g湯1500ml、沸騰後5分放置(人用に抽出したもの)
栄養素含有量
ナトリウム1mg
カリウム6mg
カルシウム2mg
リン1mg
亜鉛0.1mg

参考資料:八訂 食品成分表 2022

この数値からみると、麦茶を人用の濃さのまま毎日のように多量を飲ませるのはミネラルの過剰摂取になってしまう恐れがありますが、さらに水で薄めたものを時々少量与える程度では腎不全や尿路結石になるとは言い難いでしょう。

冒頭で解説したように腎臓病を患っていたり、尿路結石の心配がある犬猫には悪化をさせてしまう可能性はあるので十分に注意してください。

犬猫に麦茶を与えるメリット

胃に優しい麦茶

麦茶には胃の粘膜を保護し、炎症を抑えてくれる効果が期待されています。

犬猫もストレスや食べ過ぎなどで胃が荒れたり、夏バテで胃の調子が悪くなる時がありますので、犬猫の食欲が落ちているなと感じた時や、夏の暑い日の散歩の後などに飲ませてあげるのもいいかもしれません。

参考:麦茶に胃粘膜保護作用、共同研究で発見

口内ケア・虫歯予防に期待

少し意外ですが、麦茶は虫歯の原因菌であるミュータンス菌の生成やバクテリアなどの微生物の固着を防いでくれる作用があるといわれています。

なので虫歯になりにくい口内環境を作るのに役立ち、食事中や食後に麦茶を飲むのは虫歯ケアにおすすめです。

ただ、麦茶を飲めば虫歯にならないというわけではないので、普段の口内ケアは怠らないようにしてください。

参考:麦茶の栄養と効能

抗酸化作用でアンチエイジング

麦茶にはポリフェノールが含まれているので、抗酸化作用が期待できます。

年齢と共に体の酸化が進み様々な病気の要因となるので食べ物や飲み物で補えると嬉しい栄養素です。

麦茶で水分補給しながら抗酸化作用でアンチエイジング効果に期待ができます。

血液サラサラに

麦茶には『アルキルピラジン』という成分が含まれており、血液をサラサラにして高血圧や血栓を予防する効果があるといわれています。

汗をかきやすい時期に水分不足になると、血栓や脳梗塞などのリスクが高まるのは人も犬猫も一緒です。

麦茶で水分補給することで血栓などのリスクを下げ、更に『アルキルピラジン』の効果で血液の流れを良くして健康ケアができることが期待されます。

腸内環境改善

麦茶には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランス良く含まれています。

食物繊維は血糖上昇をゆるやかにして糖尿病を予防したり、胃腸の働きを活発化させ、腸内細菌のエサとなって腸内環境を改善したり、便通を促してくれます。

便秘が解消し腸の調子が良くなれば免疫力アップも期待できます。

参考:からだにいいこといっぱい、麦茶のススメ

麦茶の栄養

ポリフェノール

麦茶には『カテコール』や『ゲンチシン酸』という2種類のポリフェノールが多く含まれています。

上記のメリットで解説したように強い抗酸化作用が期待されます。

アルキルピラジン

麦茶の香り成分である『アルキルピラジン』はそば茶、ピーマン、トマトなどにも含まれている成分で、上記のメリットで解説したように血流を改善する効果が報告されています。

血流の低下は血圧上昇や血栓などの原因となるので意識的に摂りたい栄養素のひとつです。

カリウム

麦茶には200ml(コップ1杯)あたりおよそ12mgのカリウムが含まれています。

カリウムには利尿効果があり、ナトリウムの排出を促す作用があります。血圧を下げる働きも期待されています。

カルシウム

一般的な麦茶には200ml(コップ1杯)あたりおよそ4mgのカルシウムが含まれています。

カルシウムは体を支える骨格の強化に活躍する働きがあり骨や歯の構成に重要な栄養素です。また、鎮静効果もあるので、ストレスを和らげる効果も期待できます。

リン

リンは骨や歯の形成、神経や筋肉を正常に保ったりする働きをしています。

過剰に接種すると結石の可能性や、腎臓病の犬猫では腎臓病を悪化させてしまう事もあるので摂取量に注意が必要です。

与える際の注意点

人が飲む濃度より水で薄めて与えましょう

人が通常飲む濃度では犬猫にとっては濃すぎるため、水で2、3倍以上に薄めてから与えましょう。

水でしっかり薄めて与えることは濃度の問題の他にも水との違和感を少なく与えられる可能性や、麦茶ばかり飲んで水を飲まなくなってしまうという事も防げます。

また、薄める水はネラルウォーターではなく水道水がおすすめです。

ミネラルウォーターにはカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が含まれています。

麦茶自体にもミネラルは豊富に含まれているので、更にミネラルウォーターを加えると犬猫の尿結石症を引き起こす要因になることがあります。

常温で与えましょう

冷蔵庫でキンキンに冷えた麦茶を飲ませると必要以上に体や胃腸を冷やし、下痢や嘔吐、腹痛などを引き起こす可能性があるので注意が必要です。

犬猫に与える飲食物は常温が基本です。

冷蔵庫で冷えている麦茶をそのまま与えるのではなく、水で薄めるとともに温度も常温にしてから与えると良いでしょう。

与えすぎに要注意

麦茶には火照った体を体の中から冷やしてくれる効果があり散歩や運動の後、夏の暑い時期には最適ですが、飲み過ぎは体を冷やし過ぎてしまいます。

また、麦茶に限った事ではありませんが、水分の過剰摂取は下痢を引き起こす要因となります。

麦茶には人用にミネラル添加をしているものも存在しますので、より安全に麦茶を与えたい場合は犬猫用麦茶を選んであげてもよいでしょう。

基本的に犬猫にとって一番いいのは水ですので、麦茶を与えすぎて水を飲まなくなってしまわないよう日常的には水を与えて、体調やタイミングを見て工夫して与えるのが効果的と考えられます。

麦茶の茶葉パック誤飲に注意

麦茶の茶葉パックごと与えることはあまりないかと思いますが、麦茶が好きな犬猫は匂いに誘われてキッチンに置いてある麦茶パックを誤飲してしまう可能性があります。

麦茶のパックは体内で消化することができないので胃や腸の閉塞を引き起こす危険性がありますので、キッチン内での使用前後の麦茶パックの保管や処分には十分に気をつけてください。

誤飲が分かった場合にはすぐにかかりつけの動物病院へ相談し、獣医師の指示に従ってください。

アレルギー

麦茶は麦を使用しているので、愛犬愛猫が麦アレルギーを持っているとアレルギー症状を引き起こす可能性があります。

麦茶を与えた後に下痢、嘔吐、発疹などの症状がみられた場合にはかかりつけの動物病院へ相談し、獣医師の指示に従ってください。

また、初めて麦茶を与える場合には水で薄めたものを少量から与え、飲んだ後の体調に注意観察しましょう。

犬猫に飲ませてはいけないお茶の種類

犬猫に与える飲み物で注意したいのがカフェインです。

犬猫はカフェインで中毒症状を引き起こし、早ければ飲んでから1〜2時間程度で下痢、嘔吐、ふらつきなどのカフェイン中毒の症状が見られることがあります

重篤な症状では痙攣や不整脈、呼吸困難のような状態にもなりますので注意が必要です。

  • 緑茶
  • 玉露
  • ほうじ茶
  • 玄米茶
  • ウーロン茶
  • 紅茶
  • ジャスミンティー

上記以外にもカフェインが含まれているものはたくさんありますので、犬猫に与える前に必ず調べてから与えてください。

また、お茶ではありませんがコーヒー、ココアもカフェインやカカオの成分が入っていて中毒症状を引き起こす可能性があるので与えてはいけません。

まとめ

犬猫は麦茶を飲んでも大丈夫!

麦茶にはカフェインや犬猫にとって有害な成分は入っていないので飲ませても大丈夫ですが、ミネラル豊富なので腎臓病や尿路結石の心配がある場合は与えるのを控え、健康な犬猫でも人用の麦茶を3倍程度に薄めて、あくまで少量を与えるようにしましょう。

麦茶は大丈夫でも他のお茶には中毒症状を引き起こすカフェインが含まれているものがありますので、与える前にはしっかり成分を確認して安全に活用しましょう。

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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