少量であれば犬猫が牛乳を飲んでも大丈夫。乳糖不耐症には要注意
牛乳は骨や歯、筋肉や神経に深くかかわるカルシウムが多く含まれ、ほかにも様々な栄養素を含む優れた飲み物です。
犬猫にとっても有害な成分は含まれておらず飲んでも大丈夫なのですが、愛犬愛猫に牛乳を与えたら下痢をしまった、なんて話もよく耳にしますよね。
犬猫は牛乳に含まれる『乳糖(ラクトース)』という成分を分解する消化酵素『ラクターゼ』の分泌が非常に少なく、下痢や消化不良といった乳糖不耐症を引き起こしてしまう事があるのです。
どうしても犬猫が水を飲まずに牛乳なら好んで飲むということであれば、少量の牛乳を水で薄めたり、温めてから与えることで乳糖を分解する消化酵素のラクターゼが働きやすくなります。
バランスよく栄養を含んだ牛乳は少量であれば犬猫にとって嬉しい効果が期待できますので、工夫して与えてみましょう。
低脂肪乳やヤギミルクは?
低脂肪乳についても少量であれば問題はありませんが、乳糖の量が増えるという報告もありますので、初めて与える場合にはごく少量から試した方が安全です。
最近注目されているヤギミルクは成分的には牛乳とほとんどかわりませんが、犬猫の消化不良の原因となるラクトース(乳糖)が少なく、乳糖不耐症を起こしにくいといわれています。
牛乳を与えるメリット
人間が飲む牛乳にはたんぱく質・脂質・炭水化物・メチルスルフォニルメタンやカルシウムなどのミネラルが程よく含まれており、栄養バランスを整える優れた飲み物です。
それは犬猫にも有効的で、牛乳を与えることで栄養を効率よく摂取することが期待できます。
特に夏の暑い時期に夏バテを起こして食欲が落ちてしまってる犬猫に少量でも牛乳を与えることで水分補給と栄養補給ができます。
カルシウム
カルシウムは骨や歯を形成するだけでなく、筋肉が正常に収縮するのを保つ・神経を安定させる・血液を固めて止血する・ホルモンを分泌させる・細胞分裂を促す・胃液の分泌を調節する・鉄の代謝を補助するなど実に多様な働きをしています。
カゼイン
リンを含むたんぱく質の一種で、牛乳の場合たんぱく質の約80%を占めます。
小腸でのカルシウムの吸収を助け、神経の興奮を鎮める、消化機能の安定、免疫力の強化などの効能が期待できます。
メチルスルフォニルメタン
体内に存在するミネラルのひとつ『有機イオウ』の一種。
軟骨・皮膚・爪・毛などを健やかに保つために必要な栄養素です。
近年では関節軟骨の修復を促し、炎症や痛みを抑える効果もあると注目されています。
牛乳を与えるデメリット
乳糖不耐症
前述したように犬猫は牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する消化酵素「ラクターゼ」の保有量が少なく、牛乳を飲むと下痢などを引き起こす場合があり、この疾患を乳糖不耐症といいます。
高カロリー
牛乳には豊富な栄養素が含まれているので効率よく栄養吸収ができますが、普段から総合栄養食のドッグフードをしっかり食べている犬猫にとっては栄養過多になってしまう事も。
牛乳には脂質が多く、カロリーも高いので飲ませ過ぎは肥満の要因となることがあります。
犬猫に牛乳を与える場合は、普段の食事とのバランスを考えて与えすぎないように注意が必要です。
アレルギー
牛乳にはたんぱく質が含まれていて、このたんぱく質に犬猫の免疫機能が過剰反応することでアレルギーを起こす場合があります。
主な症状としては、嘔吐、発疹等の体調不良が挙げられます。初めて牛乳を与えるときはごく少量から始めて、体調に変化がないかよく観察してください。
もし牛乳を与えた後に普段と様子が違ったり、上記のような症状があればかかりつけの獣医師に相談しましょう。
牛乳が含まれる食品
ヨーグルトは与えても大丈夫
牛乳から作られるヨーグルトにも乳糖は含まれていますが、ヨーグルトは作られる発酵過程で乳糖が分解されるので、犬猫も安心して食べられます。
基本的に犬猫がヨーグルトを食べても下痢をすることはほとんどありませんが、乳糖がまったくないわけではないので大量に食べさせるのは控えましょう。
また加糖タイプのヨーグルトはその糖分で犬猫に健康被害を及ぼす可能性があり、フルーツが入ったタイプも砂糖や犬猫が食べてはいけないぶどう(レーズン)などの食材にも気をつけなければいけません。
犬猫に与える場合は必ず無糖のプレーンヨーグルトを選びましょう。
チーズは少量であれば大丈夫だが、塩分が多いのでおすすめしません
チーズには犬猫にとって有害な成分は含まれていないので犬猫がチーズを食べること自体は問題ありません。
ただし、種類にもよりますがチーズには多くの塩分が含まれるので犬猫がたくさん食べてしまうと塩分過多で高血圧の原因になり、心臓や腎臓に負担をかけてしまう可能性があります。
また、脂質も多く高カロリーなため、食べ過ぎは肥満やそれに付随する病気の要因となりかねません。
栄養豊富なチーズなので食べる事でのメリットもありますが、デメリット部分に気をつけて、与える場合は少量にしておくといいでしょう。
牛乳を使った人用のお菓子や料理は与えない
牛乳を使った料理や生クリームを使ったお菓子はたくさんあります。
料理で言えばシチューやグラタン、お菓子はケーキやアイスクリームなどおいしいものがたくさんありますが、犬猫にとって健康被害や中毒症状を引き起こす食材との組み合わせが少なくありません。
シチューやグラタンには玉ねぎが入ることも多く、調味料も気をつけなければいけません。
また、お菓子には多量の砂糖のほかレーズン、チョコレートなど犬猫にとって有害となる食材が含まれることもあります。
牛乳を含む含まないだけではなく、砂糖や塩、調味料などが犬猫にとって負担が大きいという認識を持ち、基本的には人用に加工された食品は与えないようにしてください。
まとめ
バランスよく栄養を含んだ牛乳は少量であれば犬猫にとって嬉しい効果が期待できます。
牛乳が好きな犬猫も多いので水で薄めて与えたり、手作りのご飯に少し加えたりと上手に与えれば健康の強い味方となってくれます。
ただし、乳糖不耐症やアレルギー等には十分に注意し、下痢や体調不良がないか観察をすることが大切です。
犬猫に合わないようであれば無理に与える必要はありませんので、飼い主の判断で犬猫の健康を守ってあげましょう。