犬猫と味噌
日本で1000年以上前から食べられて来ている味噌は、スーパーやコンビニではほぼ必ず取り扱っており日本人と共に歩んできた調味料と言えるかも知れません。
定番の味噌汁のほか、少量をそのままご飯やお酒のお供にしたり、炒め物や煮物などその用途は数え始めたらキリが無いほどです。
そんな味噌はまだペットフードが普及していない頃は犬猫にも与えられていて、人間用の味噌汁をご飯にかける「猫まんま」などがそれにあたります。
しかし昔食べさせていたからといって、現代の犬猫に安易に味噌を食べさせるのはよくありません。
犬猫は味噌を食べても大丈夫?
犬猫は味噌を食べても大丈夫ですが、非常に少量にすべきです。
こちらの記事では
- 犬猫と味噌の塩分について
- 味噌を犬猫に食べさせるメリットや注意点
- 味噌の適量・味噌を使った手作りフードレシピ
について解説していきます。
犬猫が味噌汁を少し舐めてしまった!大丈夫?
みなさんがご存知の通り味噌は塩分量が非常に多いので、人間用に味付けされた料理を食べた場合は大丈夫とは言いがたいです。
また人間用の味噌汁にはネギやたまねぎなど犬猫にとって危険な食材が入っていることが多いので、塩分以外にも危険があります。
誤って口にした場合の対処方法は後ほどお話します。
犬猫と味噌の塩分について考える
はじめに犬猫と塩分の関係、そして味噌の塩分について考えてみましょう。
犬猫と塩分
犬猫に塩分は絶対NGで危険なものというイメージを持っている方も居るかも知れませんが、それは誤りです。
多少の塩分は犬猫にも必要で、身体の中で様々な役割をもっています。
過剰摂取は食塩中毒や高血圧の危険がありますが、全く摂取しない場合も
- 情動不安
- 心拍数の増加
- 飲水量が減り、尿量は増加
などの悪影響が考えられます。
味噌の塩分
100gあたりの塩分量 | 大さじ1杯(約18g)の塩分量 | 小さじ1杯(約6g)の塩分量 | |
---|---|---|---|
甘みそ | 6.1g | 約1.09g | 約0.36g |
淡色辛みそ | 12.4g | 約2.23g | 約0.74g |
だし入りみそ | 11.9g | 約2.14g | 約0.71g |
だし入りみそ(減塩) | 9.7g | 約1.74g | 約0.58g |
麦みそ | 10.7g | 約1.92g | 約0.64g |
豆みそ | 10.9g | 約1.96g | 約0.65g |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
犬猫の1日の塩分摂取量目安は体重5kgの犬で0.18g、猫は0.33gと考えられています。
人間用の味噌汁は1人前あたり大さじ一杯弱の味噌が使われていますので、そのまま食べさせたり猫まんまに使うと簡単に1日の目安量を超えてしまうことがわかるかと思います。
しかし草食動物は塩分を体内にため込んでしまうことに対し、元々が肉食動物である犬猫は健康なら多少の過剰塩分は尿から排出できることがわかっています。
したがって、ごく少量の味噌であれば与えられると言えます。
参考
環境省「ペットフードについて考えよう」
産経新聞「ペットの健康講座 塩分はペットの身体に悪い?」
犬猫の手作り料理に味噌を使うメリット
味噌を摂取させることで考えられるメリットを一部お話します。
風味付け
犬猫に与えられる味噌は本当に少しなので、一番のメリットは香りと言えるかもしれません。
人間より嗅覚が発達している犬猫はごく少量の味噌でもその良い匂いを感じ取りますので、食欲の刺激が期待できます。
ナトリウム
前述していますが少量の塩分は犬猫にも必要です。
エネルギーを代謝させる・神経伝達・水分バランスや血圧の調整などの役割を持っています。
カリウム
カリウムは塩分と共に体内で水分調整の役割を持っています。
また、体内で増えすぎたナトリウムの排出を促す働きもあります。
たんぱく質
大豆から作られる味噌にはたんぱく質が豊富に含まれています。
たんぱく質は身体作りに必須で、血液や筋肉の元になったり、成長促進や免疫力向上などの働きをしています。
味噌を与える時の注意点
ごく少量に抑え、たくさん与えない
犬猫の塩分摂取に関しましては以下のように考えられています。
- 中毒症状が現れる量:犬猫ともに体重1kgあたり2~3g前後
- 摂取による致死量:犬猫ともに体重1kgあたり4g前後
人間用に味噌が使われた料理は塩分過剰となる恐れがあります。絶対に与えないでください。
過剰に塩分を摂取すると、
- 食塩中毒
- 高血圧
- 腎不全
- 心不全
などの症状が考えられ、ひどい場合は死に至る可能性もあります。
腎臓や心臓に問題のある犬猫には食べさせない
犬猫は多少の過剰塩分であれば尿とともに排出できると前述していますが、それは健康な場合の話です。
腎臓に問題のある場合は排出がうまくできず、体内に塩分をため込んでしまいます。
また、心臓に問題のある場合はほんの少しの塩分でも負担となることがあります。
腎臓や心臓に異常のある犬猫には、味噌をはじめ塩分の多いものは特に気を付けるようにしましょう。
味噌や味噌を使用した料理を誤食した場合
新鮮な水を飲ませる
まず新鮮な水を飲ませてあげましょう。口の中の塩分を薄めると同時に、尿を促し塩分の排出を狙います。
このとき無理矢理飲ませることはないように。
味噌汁などの料理の時は具材の確認を
味噌汁を口にしたときはどの具材が入っていたのかも確認しましょう。
定番の具材である
- ねぎ
- たまねぎ
- にら
などのネギ属は少量でも犬猫にとって重い中毒を引き起こします。
具材を直接食べた時はもちろんですが、汁にもこれらの成分が溶け出しているので同様に危険です。
病院へ連絡をする
たくさん口にしてしまった場合は症状の有無にかかわらず動物病院へ連絡を取り指示を仰ぎましょう。
この時、以下のことが分かっていると診断がスムーズになります。
- どの種類の味噌をどの程度食べたのか
- 他に一緒に食べたものはないか
- 今の犬猫の様子は
犬猫へ与えられる味噌の量の目安
体重5kg以下の犬猫:小さじ5分の1程度
体重10kg以下の犬猫:小さじ4分の1程度
体重20kg以下の犬猫:小さじ3分の1程度
あくまで目安ですので、愛犬愛猫の体質や飼育環境に合わせて増減させてください。
毎日与えるようなことはせず、週に1度程度に抑えてましょう。
犬猫用の味噌を使った手作りレシピ
鮭のちゃんちゃん焼き風
用意するもの
- 鮭の切り身
- キャベツ
- もやし
- にんじん
- 水
- 味噌
- ごま油
作り方
- 味噌以外の材料を愛犬愛猫が食べやすいサイズに細かく切ります。
- フライパンに小さじ半分程度のごま油を薄くのばし火に掛けます。
- 鮭を両面しっかりと焼き小皿に取ります。その後野菜を軽く炒めます。
- 全体がひたひたになる程度に水を入れ、味噌を溶かしたら鮭をフライパンに戻し10分程度煮込めば完成。
鮭と味噌の風味が犬猫の食欲をそそります。
味噌の量は愛犬愛猫の体格に合わせた少量にしてください。
【まとめ】
健康な犬猫は少しであれば味噌を食べさせることができます。
香りが食欲をそそり、食いつきに期待が持てます。
少しの塩分は犬猫にも必要ですが、味噌の塩分量はやはり多いので、
体重5kg以下の犬猫:小さじ5分の1程度
体重10kg以下の犬猫:小さじ4分の1程度
体重20kg以下の犬猫:小さじ3分の1程度
この量を目安としたほんの少しに留め、既に腎臓や心臓が弱っている犬猫には与えないように。
誤食の際は以下の対応を行いましょう。
- 新鮮な水を飲ませる
- 一緒に危険なものを摂取していないか確認する
- 異常の有無に関わらず動物病院へ連絡する
注意点に気を付けながら、愛犬愛猫の手作りごはんに味噌を取り入れてみましょう。