犬猫はムール貝を食べても大丈夫?ビタミンB12など栄養豊富。与えるなら市販品を

黒い貝殻にオレンジがかった身が特徴のムール貝。

頻繁に食卓に上がる食材ではないと思いますが、白ワイン蒸し・パスタ・アクアパッツァ・パエリアなどの料理で食べると美味しいですよね。

犬猫はムール貝を食べても大丈夫

いくつかの注意点はありますが、ムール貝は犬猫に食べさせることができます。

一部のメーカーからはムール貝を使った犬猫用のフードも販売されています

本記事では、

  • ムール貝ってどんな貝?
  • ムール貝の持つ栄養素やそのメリット
  • 犬猫にムール貝を食べさせる時の注意点
  • 愛犬愛猫用のムール貝を使った手作りフードのレシピ

などをお話していきます。

ムール貝の酒蒸しは犬猫が食べても大丈夫?

アルコールが微量に残っており中毒になる可能性があるため、食べさせてはいけません。

アルコールを含むものを加熱調理する時に「アルコールを飛ばす」と表現しますが、全てのアルコールが一気になくなる訳ではありません。

中毒症状の発症は個体差によるものが大きく、ほんの少量の摂取でも犬猫に危険が及ぶ可能性があります。

中毒になると下痢や嘔吐、意識障害、心肺機能の低下といった症状が現れます。

アルコールの危険性についてはこちらの記事でお話しています。

犬猫にアルコール飲料は絶対にNG!人間とは違う?アルコール摂取のリスクとは

ムール貝ってどんな貝?

ムール貝はイガイ科のムラサキ貝です。

殻長は6~8cmほどで、冒頭で述べました様に黒い貝殻にオレンジがかった身をしています。

原産地は地中海沿岸ですが、貨物船などに付着することで日本に持ち込まれ、現在では日本沿岸の比較的浅い海域に広く生息しています。

ほどよい甘さとクリーミーさ、そしてコクを持ち、イタリア料理・フランス料理・スペイン料理などによく用いられています。

ムール貝に含まれる代表的な栄養素

生 100g当たり

含有量
エネルギー63kcal
たんぱく質7.5g
脂質0.8g
カリウム230mg
マグネシウム73mg
リン160mg
3.5mg
ヨウ素65μg
セレン37μg
ビタミンE1.1mg
ビタミンB20.37mg
ビタミンB1210.0μg

参考資料:八訂 食品成分表 2022

ムール貝を犬猫に食べさせた時に考えられるメリット

ムール貝には様々な栄養素が含まれていますが、特に豊富に含まれているのはビタミンB12とビタミンB2です。

ビタミンB12は「神経のビタミン」とも呼ばれ、アミノ酸や脂質の代謝を促進し、神経の働きを正常に保つ効能があります。

ビタミンB2は「発育ビタミン」とも呼ばれ、脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、毛、爪などの細胞の再生に役立ちます。

また、ムール貝に多く含まれるタウリンは猫の必須アミノ酸で、肝臓の働きの促進・高血圧や動脈硬化の予防・便秘解消などの効果が期待できます。

その他の主な栄養素と考えられる健康効果も以下に簡単にまとめます。

  • カリウム:ナトリウムと一緒になって、細胞内のpHや浸透圧を維持する働きがあります。過剰な塩分を排出するので高血圧予防にも。
  • マグネシウム:骨の成分となり、血圧を調整します。酵素の活性化を促し、抗ストレスにも有効です。
  • リン:カルシウムと同じく、骨や歯を作るために欠かせないミネラルです。神経伝達を補助する役割も。
  • 鉄:ヘモグロビンの構成物質となり、貧血を予防します。不足すると疲れやすくなったり、免疫力が低下したりします。
  • ヨウ素:甲状腺ホルモンの原料となります。甲状腺ホルモンには、エネルギー生産や脳の働きを助け、基礎代謝を促すなどの働きがあります。
  • セレン:抗酸化作用があり、老化やがんを予防する効果に期待できます。
  • ビタミンE:強い抗酸化作用を持ち、セレンと同様に化やがんを予防する効果に期待できます。また、血行をよくする働きも持っています。

犬猫にムール貝を食べさせる時の注意点

天然のムール貝は毒を持っている可能性

日本各地の沿岸で天然のムール貝を見かけることがありますが、これらを犬猫に食べさせてはいけません。

天然のものは「麻痺性貝毒」や「下痢性貝毒」という自然毒を持っていることがあり、口にすると文字通り麻痺や下痢などの症状を引き起こします。

ムール貝自体に毒はないのですが、毒を持つプランクトンを食することで有毒化してしまうのです。

この毒は加熱処理をしたとしても、容易に失活しません。

有毒化したものの販売は禁止されているので、スーパーなどで見かける市販のムール貝であれば自然毒の心配はありません

必ず加熱し、細かく刻んだものを与えるように

生のムール貝にはビタミンB1を分解してしまう酵素「チアミナーゼ」が含まれています。

ビタミンB1が少なくなるとチアミン欠乏症となり、体力や食欲がなくなる・痙攣を引き起こすといった症状が現れます。

加熱処理を行うことで「チアミナーゼ」はその効果を失いますので必ず加熱処理をしてから与えましょう。

また貝類は犬猫にとって消化のしづらい食材です。

与える時は包丁やフードプロセッサーで細かくし、消化しやすくしてあげましょう。

ワインなどでの酒蒸しはNG

既にお話していますが、ワインなどで酒蒸ししたムール貝を犬猫に食べさせるのはNGです。

加熱処理を行うことでアルコール分は減少していますが、微量には残っているので犬猫に中毒を引き起こす可能性があります。

愛犬愛猫用のムール貝を使った手作りレシピ

ムール貝のトマトスープ

【材料】

  • ムール貝
  • じゃがいも
  • しめじ
  • トマト缶
  • オリーブオイル

【作り方】

  1. じゃがいもとしめじを愛犬愛猫に合わせた小さいサイズに切り、ごく少量のオリーブオイルで炒めます。
  2. 火が通ったら、トマト缶・水・ムール貝を鍋に入れよく煮込みます。
  3. 粗熱が取れたらムール貝を殻から外し、身を細かくきざんでスープに戻したら完成。

ムール貝とトマトを合わせた旨味たっぷりのスープです。

実際に食べさせる量は愛犬愛猫に合わせて調整してください。

余った分には塩胡椒などで味付けすることで、私達も美味しく食べることができます。

【まとめ】犬猫はムール貝を食べても大丈夫

犬猫はムール貝を食べても大丈夫です。

ビタミンB12やタウリンが豊富な食材であり、神経の働きを正常に保つ効果や肝臓の働き促進効果などに期待が持てます。

注意点を3つ紹介します。

  1. 天然のムール貝は自然毒を持っている可能性があります。犬猫に与える場合は市販のものを選びましょう。
  2. 食べさせる時は必ず加熱し、細かくきざみましょう。
  3. ワインなどでの酒蒸しはアルコールが微量に残っているため、犬猫にはNGです。

扱いやすいながらしっかりと存在感のあるムール貝。

本記事で紹介した注意点に気を配りながら、愛犬愛猫の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考:広島市「食品衛生に関すること 貝毒 1.麻痺性貝毒と下痢性貝毒

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鈴木 利奈RINA SUZUKI - PET FOOD ADVISER

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ペットレシピ.jpの記事を執筆・監修しています。

キャットフード勉強会・ドッグフード勉強会を運営している鈴木です。大好きな犬猫とペットフードについて深く学ぶため、講師を呼んで勉強会を開いています。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)等の資格を取得。

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