大丈夫だが、日常的に飲ませるのはNG
人は熱中症や下痢、発熱、脱水症状などの場合、ポカリなどのスポーツ飲料や経口補水液を飲むことが多く、愛犬愛猫が同様の不調に有効的なのではと思う方もいるのではないでしょうか。
ポカリなどのスポーツ飲料や経口補水液は人間の体液に近い成分を人間に対して適切な濃度で含んだ電解質溶液で、体内に素早く吸収されるように作られています。
そのため、スポーツで大量に発汗した際や、お風呂上り、発熱時、脱水症状を起こした際に有効的な飲み物とされています。
犬猫が少量飲む分には有害となる成分は入っていないので、酷い下痢や熱中症で食事も水も飲まなくなり脱水症状を起こしている時や低血糖を起こした場合の応急処置の場合は飲んでも大丈夫と言えます。
しかし、あくまで人間に合わせて作られているので、犬猫にとっては濃度が濃く、健康な状態の犬猫に毎日のように飲ませてしまうとあらゆる疾患の要因になってしまいます。
日常的に飲ませるのはやめましょう。
犬猫にスポーツ飲料や経口補水液を与えるタイミング
熱中症の場合
夏の暑い時期に熱中症が疑われる場合。
熱中症の症状
- 呼吸がいつもより荒くなる
- 落ち着きがなくフラフラしている
- ぐったりして元気がない
- 自発的に水を飲まない、食事を摂らない
- 触ると体が熱く、うつろな状態
上記のように熱中症が疑われる場合には、水で希釈したポカリなどのスポーツ飲料や経口補水液を水分補給に飲ませるのは有効的と考えられます。
下痢、嘔吐を引き起こした場合
下痢や嘔吐で体内のものを出してしまっている場合には、脱水の心配が出てきます。
脱水症状が起きたときに水だけを飲むと、血中のナトリウム濃度が薄まり、ナトリウム濃度が必要以上に下がらないように水を飲む気持ちがなくなってしまうといわれています。
その際にはナトリウムを含むポカリや経口補水液は体内に吸収されやすく、脱水症状を緩和させる効果が期待できるます。
水分補給にポカリや経口補水液を希釈させたものを犬猫に飲ませるのは有効的と考えられます。
低血糖症を起こした場合
低血糖症とは、血中のブドウ糖が基準値を下回った場合に起こる症状で、命を落としてしまうケースもあるものです。
低血糖の症状
- 元気がなくぐったりしている
- けいれん
- 舌や肉球が白くなっている
- 体が冷たい
- 意識障害
神経機能が低下する事が多いので、立てなくなってふらついていたり、手足をぴくぴくと痙攣させている時には要注意です。
低血糖の応急処置としてガムシロップを口に入れてあげる事などがあげられるので、ポカリなどのスポーツ飲料のように砂糖やブドウ糖を含む飲み物を飲ませてあげるのも応急処置となります。
ポカリなどのスポーツ飲料と経口補水液の違いとしては、電解質濃度は経口補水液のほうが濃度が高く、糖濃度はスポーツ飲料のほうが高い事があげられます。
低血糖の場合は糖分を摂ることが大切になるので、ポカリなどのスポーツドリンクを与える方が向いているといえます。
いずれの場合も、重篤な場合には命に係わる症状です。
スポーツ飲料や経口補水液で応急処置を行うことはひとつの選択ではありますが、いつもと様子が違ったり、症状が酷い場合にはすぐに動物病院へ相談し、獣医師の指示に従い行動しましょう。
緊急時のスポーツ飲料や経口補水液の飲ませ方
熱中症や下痢、嘔吐、また低血糖を起こしている場合、犬猫は既にぐったりとして自発的にポカリなどのスポーツ飲料や経口補水液を飲んでくれない場合があります。
自発的に飲んでくれない場合は、スポイトやシリンジで少しづつ口に含ませてあげましょう。
一度に多く流し込んでしまうと、誤嚥してしまう危険があるので、ゆっくり少量づつ与えることが大切です。
与える際の注意点
糖分、塩分に要注意
ポカリなどのスポーツ飲料の主原料は砂糖やブドウ糖、食塩です。
人間の体に合わせて吸収しやすい濃度でこれらの原料が含まれているので、上記で解説したように犬猫にとっては非常に濃い濃度となっています。
犬猫も熱中症対策に水分と塩分を摂る事は大切ですが、過剰摂取はその糖分で肥満や糖尿病の原因や、塩分過剰摂取で塩中毒の危険があります。
犬猫に与える際にはそのまま飲ませるのではなく、必ず水で3~5倍程度に希釈してから飲ませるようにしましょう。
腎不全の犬猫には与えないで!そのほか投薬中の場合は要注意
腎不全を疾患している場合、ナトリウムの摂取制限があります。
ポカリなどのスポーツ飲料にはナトリウムを多く含むため、飲ませてはいけない飲み物と言えます。
ポカリスエット(ペットボトル)100mlあたり
含有量 | |
---|---|
食塩 | 0.12g |
ナトリウム | 49mg |
また、熱中症などの脱水時の応急処置に有効的ではある事を解説しましたが、熱中症とは別の腎不全による脱水症状を引き起こす可能性があります。
腎不全や急性腎不全を患っている場合、腎臓機能の低下で体に必要な水分を体内に残せず、尿として水分を失ってしまい脱水症状に陥ってしまうというケースがあります。
その際に水分補給としてポカリや経口補水液を飲ませてしまうと、含まれている砂糖や塩によって症状をさらに悪化させてしまう危険性があります。
腎臓病とわかっている場合には与えない事、腎臓疾患が疑われる犬猫に脱水症状がみられた場合には希釈したとしても自己判断で飲ませることは絶対に避け、かかりつけの動物病院へ相談し、獣医師の指示に従いましょう。
また、他の疾患で投薬中の犬猫に関しては飲み合わせや薬への影響がある場合もあります。
事前に熱中症や脱水症状がみられた場合にポカリを飲ませても大丈夫か、かかりつけの獣医師に相談して確認しておくといいでしょう。
まとめ
犬猫にポカリなどのスポーツ飲料や経口補水液を飲ませるのは、応急処置と考えられる場合に留めるのがおすすめです。
主な原料として砂糖と塩で構成されるポカリなどのスポーツ飲料を日常的に飲ませてしまうと、肥満や糖尿病、塩中毒などの健康被害の危険性があります。
緊急的に犬猫の様子を見てスポーツ飲料や経口補水液を飲ませる必要を感じた場合は、水で薄めたものを飲ませてあげた後にかかりつけの動物病院へ相談し、獣医師の指示に従いましょう。
現在は犬猫の体液に近いイオンバランスで作られた飲料やゼリーが市販されています。
人用の濃度が濃いものを与える事が不安と感じる飼い主さんは、夏の暑い時期や、万が一のために家庭にストックしておくのもいいかもしれません。
参考:ポカリスエット基本情報
参考:経口補水液OS-1
参考:熱中症からカラダを守ろう