鯖(さば)について
焼きさばはもちろん煮付けや揚げ物、鯖寿司など様々な調理方法で人気の青魚の代表「さば」。
さばは4~6月に産卵期を迎え痩せ細ってしまいます。そんな痩せたさばが再びエサを食べ脂肪を蓄える晩秋~2月頃が鯖の旬といわれています。
秋に獲れるさばを「秋鯖」、冬に獲れるさばを「寒鯖」といい、「秋さばは嫁に食わすな」という言葉もあります。
秋に獲れたさばはとても美味しいから嫁に食わすのはもったいないという意味のようです。
なんだかひどい話ですがそれほど旬のさばは美味しいということですね。
昔から日本で愛されてきたさばですが犬猫は食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫は鯖(さば)を食べても大丈夫!
犬猫はさばを食べても大丈夫です。さばには犬猫にとっても嬉しい成分が含まれています。
しかし与える量や食べさせ方には注意が必要なので解説していきます。
さば缶は食べても大丈夫?
人間用のさば缶は犬猫にとっては塩分が少し多めに含まれていますので犬猫に人間用のさば缶を与える場合は水やお湯で塩抜きしてから与えるか、
少し多めの水でスープにして何日かに分けて与えるといいでしょう。(一気に与えると薄めた意味がありません)
最近は猫用のさば缶なども売られているので塩分が気になる方はそちらを与えるのが無難でしょう。
生で食べても大丈夫?
さばはお刺身でも食べられる魚なのですが、鮮度が落ちやすく食中毒のリスクがあるためなかなか生食の機会が無い魚です。
犬猫に与える際にも生のまま与えるのはやめましょう。生食のリスクは大きく2点あります。
アニサキス
皆様は「アニサキス」という寄生虫をご存じでしょうか。主に魚介類に寄生している長さ2~3cmほどの白い糸のような寄生虫です。
魚介類に寄生しているアニサキスを食べてしまうことによって「アニサキス症」が発症します。症状に関しては以下をご覧ください。
アニサキスによる食中毒(アニサキス症)の症状は?
◆ 急性胃アニサキス症
食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。
◆ 急性腸アニサキス症
食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じます。※ 多くが急性胃アニサキス症です。
※ 激しい腹痛があり、アニサキスによる食中毒が疑われる際は速やかに医療機関を受診してください。
アニサキスは2~3cmほどの大きさがあるので目視で取り除くことも可能ですが、冷凍もしくは加熱処理で死滅させることができます。
通常魚の内臓に寄生しており、寄生している魚類が死亡すると身の方へ移動するのでさばを丸ごと一匹購入した場合はできるだけ早く内臓は取り除いてしまいましょう。
チアミン欠乏症
生のさばには「チアミナーゼ」という酵素が含まれています。このチアミナーゼは体内のチアミン(ビタミンB1)を分解してしまう酵素です。
もしも体内のチアミンが不足し「チアミン欠乏症」という病気になってしまうと歩行障害や筋力低下など人間の「脚気(かっけ)」のような症状が現れます。
チアミン欠乏症は最悪の場合死に至る恐ろしい病気ですので十分注意しましょう。
ヒスタミン中毒に注意
さばなどの青魚には「ヒスタミン中毒」という食中毒の危険性もあります。
ヒスタミンとは「ヒスチジン」というアミノ酸の一種の含有量が多いさばやまぐろなどの食材を常温で放置するなどして「ヒスタミン産生菌」という酵素が作用し生成されます。
ヒスタミン中毒の症状は吐き気・頭痛・蕁麻疹などがあり重症化することはあまりないといわれていますが、稀に重症化することもあるので注意しましょう。
ヒスタミンは熱に強く、加熱調理しても除去できません。そのため適切に保存されていなかったさばや鮮度が落ちたさばを食べるのは非常に危険です。
鮮度が落ちた鯖は犬猫に与えないと同時に飼い主様も食べないようにしてください。
鯖(さば)に含まれる代表的な栄養素
まさば 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 211kcal |
たんぱく質 | 17.8g |
炭水化物 | 6.2g |
脂質 | 12.8g |
ビタミンD | 5.1μg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
たんぱく質
さばには100gあたり17.8gと、たんぱく質がとても豊富に含まれています。
たんぱく質は骨・皮膚・内臓・血液・被毛などからだのありとあらゆるものを作る材料になる栄養素です。
また、肉食動物の猫や肉食に近い雑食動物の犬にとってたんぱく質はエネルギー源にもなるとても重要な栄養素なんです。
DHA・EPA
DHAとEPAは主に魚脂に含まれる多価不飽和脂肪酸の一種です。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は脳や神経の発達や健康維持に役立つ栄養素で、認知機能の発達に効果があると言われています。
EPA(エイコサペンタエン酸)には炎症をやわらげる働きや血液凝固を抑える働きがあります。関節炎や動脈硬化に効果があると言われています。
ビタミンD
ビタミンDはカルシウムやリンを吸収するために必要な栄養素のひとつです。
ビタミンDが欠乏すると、骨粗しょう症やくる病、腎障害などの病気になる可能性があります。
くる病になると骨の成長に異常が見られ、骨が曲がったり関節が膨らんだりします。もしも愛犬や愛猫の足首のあたりの骨が膨らんでいたら動物病院への相談をおすすめします。
ビタミンDは人間や犬の場合、日光を浴びることによって体内で生成することができます。しかし猫の体にはその機能がないので食事からの摂取が必要です。
犬や猫に鯖(さば)をあげる際の注意点
犬猫にさばを与える際の注意点を紹介します。
しめさばは食べられる?
さばをお酢でしめた「しめさば」ですが、しめさばは犬猫に与えないでください。
しめさばは調理の際にお酢だけでなく、塩や砂糖も多量に使われるので犬猫に与えると塩分過多や糖分過多になるリスクがあります。
塩分過多は腎臓病や心臓病、糖分過多は糖尿病や肥満の原因にもなります。
犬猫はお酢の匂いを嫌いますので進んで食べることはあまりないかもしれませんがもしかすると食べてしまうかもしてないので注意しましょう。
黄色脂肪症(イエローファット)について
黄色脂肪症(イエローファット)とは?
この病気は昔、猫がよく発症していた病気です。
症状は、体内の脂肪が酸化・変質してしこりになったり炎症を起こしたりします。
発症の原因は?
脂肪が酸化することによって起こる黄色脂肪症ですが、先述しているDHAやEPAなどの脂肪酸は非常に酸化しやすいという特徴があります。
体の中の抗酸化成分が不足している状態で魚の脂を多量に食べると魚の脂が酸化して発症してしまうのです。
じゃあ結局魚は食べさせない方がいい?
猫がよく黄色脂肪症になっていたのはまだ猫のために調整されたいわゆる「総合栄養食」のキャットフードのようなものが無く、
猫に煮干しと白米を与えたり、漁師が釣った魚を丸ごと与えたりしていた時代の話です。
今ちゃんとした環境で育てられている猫はビタミンEなどの抗酸化作用のある成分が不足しにくい状態ですので滅多になることはありません。
おやつの与えすぎによる偏った食事や手作り食で極端に魚ばかり与えることによって猫に必要な栄養が摂れなくなってしまわないように注意してください。
アレルギーは大丈夫?
犬猫の中にはさばなどの魚にアレルギーを持っている可能性があります。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れ等が見られた場合すぐに与えるのを辞め、症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
犬や猫にあげるさばのレシピ
鯖の水煮缶は鯖を骨ごと使用しているので、余すことなく栄養も旨味も出ていてお手軽で嬉しい食材です。
さばと抗酸化作用のあるトマトや不溶性食物繊維豊富なオクラを合わせたレシピ。
マカロニの原料は小麦粉ですのでグレインフリーが希望の方は除きましょう。
【まとめ】犬猫は鯖(さば)を食べても大丈夫
犬猫はさばを食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
- さばは鮮度が落ちやすいので生で与えない
- 今は黄色脂肪症の心配はあまりないが栄養の偏りには注意
- アレルギーに注意
今回はさばについて紹介しました。さばのような魚を使ったレシピは猫も喜んで食べてくれると思います。
紹介した注意点を守って手作りレシピに使用してみてください。