犬猫はシソを食べても大丈夫!ただし猫には与えないことを推奨
シソは大きく分けて青じそと赤しその2種類があります。
一般的に食用として流通しているシソは青じそであり、大葉とも呼ばれています。
すがすがしいその香りには古くから殺菌や防腐作用があることが知られており、食中毒の予防に刺身などの生ものに添えたり、薬味としても使われています。
他にもビタミンやミネラル等の栄養が豊富に含まれるシソは、犬が食べても大丈夫な食材です。
ただし、シソに含まれる香り成分にリモネンが含まれるため、猫には安易におすすめできない食材です。
犬猫にシソを与えるメリットや注意点を解説します。
シソの香り成分リモネンの影響について
シソの代表的な特徴である爽やかな香りには胃液の分泌を促す効果や、食欲増進効果が期待されています。
この香り成分には『ぺリルアルデヒド』『ピネン』そして『リモネン』が含まれています。
リモネンは猫に要注意!
リモネンは猫が分解できない成分で、健康被害を及ぼす危険性があると注意喚起がされています。
シソにこのリモネンが含まれている事実がある以上、当サイトとしては安易に猫がシソを食べても大丈夫とは言い難いのですが、現時点では猫がシソを食べて中毒症状を引き起こした等の健康被害報告はありません。
現状として健康被害報告がないとはいえ、中にはシソが大好きでたくさん食べようとしてしまう猫もいるかもしれませんので、家庭菜園などで育てている場合は、猫が大量に食べてしまわないように注意が必要です。
リモネンに関しては不明確な部分もありますので、当サイトでは明確に猫に与えて大丈夫とはいえないと考えています。
犬はリモネンに対してそれほど影響がないと言われる
犬は猫よりも影響を受けにくいと言われており、リモネン等が含まれる犬用の虫よけ製品も販売されている事もあるので、シソを食べる事に関して猫ほど注意する必要はないと考えられます。
シソにはソラレンが含まれる?
ソラレンとは様々な植物に含まれる成分で、犬や猫がこのソラレンを摂取すると中毒症状を引き起こすと言われています。
インターネット上には、シソ(大葉、青じそ)にもソラレンが含まれると記載されているものが複数みつかりますが、今のところそれに対して含有の有無や含有量を証明する文献や信頼のできる出典がされていないことがほとんどです。
人間に関しての美白に対する観点から研究されたものではありますが、様々な食材のソラレン含量を自分自身で実測したという駒沢女子大学の西山教授の発表した記事によると大葉(シソ)に関しては下記のような記載があります。
ソラレン類を含むという根拠資料が存在しない。
光毒性をもたないポリフェノールの一種であるクマリン類をフロクマリンと混同した可能性がある。
これらのことから、シソにソラレンが含まれるという情報は疑わしいと考えられ、犬猫に対するソラレン中毒を心配する必要はなさそうです。
ただし、猫に関しては前述したリモネンについての心配は残りますので、インターネット上では食べても大丈夫と記載があるサイトが多いですが、当サイトとしては明確に猫に与えてよいとはいえないと考えます。
シソに含まれる代表的な栄養素
しそ 葉 生 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 32kcal |
たんぱく質 | 3.1g |
食物繊維総量 | 7.3g |
カリウム | 500mg |
カルシウム | 230mg |
鉄 | 1.7mg |
β-カロテン当量 | 11000μg |
ビタミンE | 3.9mg |
ビタミンK | 690μg |
ビタミン | 26mg |
β‐カロテン
シソにはβ‐カロテンが豊富に含まれています。
β‐カロテン自体がもつ強い抗酸化作用は、免疫力を高める効果が期待されています。
また、シソにはビタミンCも含まれているため、相乗効果で風邪をひきにくく、回復力も高まる効果が期待されています。
犬は人と同様に、体内でβ‐カロテンからビタミンAへ変換され、目の健康に役立つ効果も期待されます。
カルシウム
シソにはカルシウムが多く含まれているので、骨や歯の健康維持に役立つと考えられます。
カルシウムが不足すれば骨密度の低下により骨や歯が脆くなってしまいます。
また、カルシウムは神経興奮の抑制などにも関わり、ストレスをやわらげる効果が期待されています。
犬にシソを与えるメリット
シソは他の野菜に比べ大量に使用するレシピは少なく、人間でも薬味として少量を使うことが多い野菜です。
犬の手作りごはんでも、あまり入れ過ぎてしまうとその香りの強さに驚いて食べてくれなくなってしまう事もあるかもしれません。
使用量を考えると一度に食べる量が少ないので栄養成分はあまり摂取されませんが、それでもシソには様々な有効成分が含まれています。
ここではシソの有効成分やメリットについて解説します。
アレルギー抑制効果『ロスマリン酸』『ルテオリン』
シソ、ローズマリー、レモンバームなど、シソ科植物に含まれるポリフェノールの一種であるロスマリン酸。
その成分には抗アレルギーや抗酸化作用に加え、認知症予防効果があると注目されています。
犬も人と同様に老化に関連して認知機能の低下による様々な症状があらわれてくることがありますが、このような成分を摂取することで様々な疾患や症状を予防することが期待できるでしょう。
また、シソにはフラボノイドの一種であるルテオリンと呼ばれる成分が含まれています。
このルテオリンにはロスマリン酸と同様に、抗アレルギー効果として花粉症やアトピーなどのアレルギーの原因となる物質に対する抑制作用があり、アレルギー症状を軽減する効果が期待されています。
ルテオリンは様々な研究で抗肥満、抗糖尿病、抗炎症作用のみならず抗がん作用をもつことが報告されています。
参考:フラボノイド「ルテオリン」による生活習慣病予防・改善作用の分子機構
ぺリルアルデヒド
シソがもつ特有の香り成分のひとつであるぺリルアルデヒドは食欲増進や胃液の分泌を促し消化のサポートに役立つほかにも、発汗や鎮咳、防腐作用などがあるといわれています。
このシソの香気成分であるペリルアルデヒドには腸炎を回復させる新機能があることを明らかにしたとの研究報告もあり、腸内環境の改善に大きく貢献する成分であることが期待されています。
参考:シソの香りによる腸炎の緩和~シソを食することで腸内環境を改善~(東京理科大学)
シソ油に豊富に含まれるα‐リノレン酸の健康効果
健康効果が期待されることで有名なえごま油は多くの方が知っていると思いますが、実はこの原料となるえごまは、シソと同じシソ科の植物です。
シソの種子にはえごまと同様にα‐リノレン酸が豊富に含まれることで知られており、シソ油として商品化もされています。
α‐リノレン酸は上記で解説したロスマリン酸やルテオリンと同様に、アレルギー症状を軽減する効果が期待されています。
また、血中中性脂肪を下げる効果や、血栓防止、高血圧予防にも効果がある事で知られています。
『赤しそ』特有のアントシアニン
一般的に一年中流通している青じそや大葉と呼ばれる青い葉のシソとは違い、5~6月頃にだけ出回る赤しそ。
この赤しそに含まれる栄養素は、青じそよりβ‐カロテンがやや少ないとされるも、上記で解説したものとほぼ同一ですが、赤しそには青じそに含まれていないアントシアニン色素のシソニンが含まれています。
アントシアニンには視覚機能改善効果、眼病予防、生活習慣病の予防やアレルギー症状の緩和作用が期待されています。
赤しそは漢方で蘇葉と呼ばれ生薬として使われており、栄養は青じそ、薬効には赤しそといわれることもあるようです。
犬にシソを与える際の注意点
与えすぎはNG!シソは少量を細かく刻んでから与えましょう
シソはやわらかい葉なのでそのまま与えてもよさそうに感じますが、食物繊維はしっかり含まれています。
また犬は丸飲みしてしまう習慣があるため、刻まないまま与えたり大量に食べてしまうと、下痢や嘔吐などの消化不良を起こしてしまう可能性があります。
総合栄養食へのトッピングへも手作りごはんに使用する際にも、少量を細かく刻んでから使用することで消化吸収のサポートができます。
嫌がる犬に無理に与える必要はない
シソには特有の強い香りがあり、これを好む犬もいれば苦手とする犬もいます。
犬は雑食ではありますが元をたどれば肉食よりの動物であるといえますので、嫌がる犬に無理をしてでも摂らせなければいけない食材ではありません。
シソを初めて与える際には少量にし、嫌がる場合は与えるのをやめましょう。
食物アレルギーの観点からも初めての食材はごく少量から始めて、食後の様子に異変がないか注意すべきです。
人間用のシソを使った加工品は与えない
シソは日本人にとてもなじみ深い食材で、様々な料理や加工品に使われています。
人間用の食事や加工品は、人間が美味しく食べられるように塩分や糖分、脂質など多く含まれることが多く、それを犬に食べさせてしまうと健康被害を及ぼします。
また、犬猫が中毒症状を引き起こすネギ類などの使用の危険性もあるため、基本的に人間用の食べ物を犬猫に与えないように注意喚起がされています。
ゆかりご飯について
インターネットでは犬や猫とゆかりご飯についてもよく調べられています。
シソの香りが好きな犬猫は食卓に置かれた「ゆかり」をかけたゆかりご飯や、シソを使用した料理に誘引されて食べてしまう事があるかもしれません。ゆかりは塩蔵シソを原料にしているので、犬猫が食べるには塩分が強すぎる食品です。そのため、犬猫が食べても大丈夫とはいえませんので、食べさせないように保管や管理には十分注意しましょう。
まとめ
犬はシソを食べても大丈夫ですが、猫にはリモネンの懸念がありますので与えないことがおすすめです。
爽やかな香りが特徴であるシソには、食欲増進作用、アレルギー症状を軽減させる抗アレルギー作用、殺菌作用などがあります。
しかしシソの香り成分にはリモネンが含まれています。リモネンは猫が分解できない成分で、中毒症状を引き起こしやすいといわれています。
現時点ではシソで猫が中毒症状を引き起こした等の報告は見られないため、当サイトでは明確なことは申し上げられませんが、基本的には猫にシソを食べさせるかどうかは飼い主の判断に委ねられます。
犬に対しては、総合栄養食であるドライフードへのトッピングや、手作りごはんへのアクセントに使うなど、適量を上手に活用して健康維持に役立てたいですね。