犬猫は馬肉を食べても大丈夫!馬刺しは食べても大丈夫?生食による食中毒に注意!

犬猫は馬肉を食べても大丈夫

馬肉は古くから重要なたんぱく源として日本で愛されてきました。

高たんぱく質、低脂質、低カロリーと、体にとって健康的メリットがある馬刺しは、犬猫にとって有害な成分は含まれていないので、食べても大丈夫な食材です。

馬刺しを食べさせても大丈夫?

馬肉といえば馬刺しとして食べる事が多いと思います。

馬肉を生で食べられるのは、馬の体温は牛や豚に比べて5~6℃高いので、寄生虫や病原菌が繁殖しにくく、遺伝子の違いから他の家畜よりも感染するウイルスが少ないのが理由です。

人用に生食用として馬刺しで食べられるものを少量であれば犬猫が食べても大丈夫でしょう。

ただし、生ものを大量に食べさせてしまうと消化不良を起こし下痢や嘔吐を引き起こす可能性があるので、食べさせ過ぎは危険です。

馬刺しは生食が可能とはいえ、寄生虫や病原菌が全く繁殖しないとは言い切れません。

人より小さな体の犬猫は影響を大きく受ける事もあるので、基本的に馬肉を食べさせる場合には加熱調理をしてから与えましょう。

また、生食用ではなく加熱調理用の馬肉を生で犬猫へ食べさせるのは絶対にやめましょう

加熱用として販売されている物を生で食べる危険性は人も犬猫も変わりません。

『ザルコシスティス・フェアリー』に要注意!

ここ数年、全国的に馬肉の刺身を食べた後に嘔吐や下痢の症状を発症する事が多くみられたことにより厚生労働省などが調査したところ、馬に寄生した『ザルコシスティス・フェアリー』が人に下痢症状等を引き起こすことがわかりました。

この『ザルコシスティス・フェアリー』は馬の他に犬に感染する事が知られています。猫への影響については確認ができていませんが、注意するに越したことはありません。

この『ザルコシスティス・フェアリー』による食中毒は、馬肉を冷凍することで防げることが分かっています

このことから、一度冷凍された馬刺しであれば、犬猫が食べても大丈夫といえます。

国内で流通する生食用の馬肉は、冷凍してから出荷するなどの対策が取られていますが、人と同様に犬猫に生で食べさせる際には必ず冷凍処理されたものか確認しましょう。

参考:食品衛生の窓

馬肉を与えるメリット

たんぱく質の含有量はトップクラス!

馬肉の特徴として高たんぱくであることが知られています。その含有量は牛、豚、鶏と比べても多く含まれています

※100gあたりのたんぱく質量

食材たんぱく質含有量
馬肉
20.1g
牛肉13.8g
豚肉17.1g
鶏肉16.6g

たんぱく質は犬猫の体を作るとても大切な栄養素です。血液や筋肉、内臓、皮膚などの体の土台となる主要な成分で、生命の維持に欠かせない酵素や、消化器官、脳神経の機能を調整するホルモン、免疫抗体を作るなど重要な働きをしています。

さらに馬肉は低脂肪、低カロリーなので健康的にたんぱく質をしっかり摂れる嬉しい食材といえます。

不飽和脂肪酸が豊富

牛の牛脂や豚のラード、またバターのような動物性の脂は飽和脂肪酸が多く含まれていますが、馬肉には植物や魚の脂に多く含まれている不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。

この不飽和脂肪酸は体内で作ることができないため、食材から摂取することが大切な必須脂肪酸と呼ばれています。

飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のどちらも必要なエネルギーですが、飽和脂肪酸はコレステロールを上げる脂質で、不飽和脂肪酸はコレステロールを下げる脂質であるという特徴の違いがあります。

体重管理が必要な犬猫に関しては、肉の中でも馬肉を選ぶ事で、コレステロールを下げる効果が期待できる不飽和脂肪酸を摂取できてダイエットに役立つ食材といえるでしょう。

また、不飽和脂肪酸にはアトピー性皮膚炎を改善する効果や血栓症を予防する効果が期待される健康的な脂として注目を集めています。

参考:不飽和脂肪酸(厚生労働省)

参考:脂肪酸(農林水産省)

アレルギーを起こしにくい馬肉

馬肉は一般的に食べられている牛肉、豚肉、鶏肉よりアレルギーを起こしにくい肉と言われています。

アレルギーを起こす強弱を表す食物抗原という1~5の数値があり、その数値が低いほどアレルギーを起こしにくい食材というもので、牛肉、豚肉、鶏肉は食物抗原度5であるのに対して馬肉は食物抗原度2とされています。

その点からみると馬肉はアレルギーを起こしにくい肉と言えます

昨今では馬肉がアレルギーを起こしにくいという点が注目され、ペットフードや犬猫用の馬肉ジャーキーなどのおやつに使用される事も増えました。

ただしどのような食材にも言える事ですが、アレルギーを絶対に起こさない絶対に大丈夫とは言えません。

初めて食べさせる時には少量から始めて、食後の体調はしっかりと観察しましょう。下痢や嘔吐などの体調不良を起こした場合には、速やかに動物病院へ相談をしましょう。

参考:東京医大式食物抗原強弱表

馬肉の栄養

たんぱく質

上記で解説しましたが、馬肉に含まれるたんぱく質量は他の肉に比べてトップクラスです。たんぱく質は体を作るうえで欠かせない三大栄養素のひとつです。

αリノレン酸

馬肉には不飽和脂肪酸であるαリノレン酸が豊富に含まれています。

不飽和脂肪酸は必須脂肪酸とも呼ばれ、人と同様に犬猫にとっても必要不可欠な脂質です。細胞膜の構成成分になります。

アミノ酸

馬肉には約20種類のアミノ酸が豊富に含まれています

その中には体内で合成できない必須アミノ酸も含まれているので、馬肉を食べて摂取することは健康維持に役立つと考えられます。

アミノ酸は皮膚や臓器、筋肉、血液などの材料になります。また、全身に酸素を運ぶなどの働きをしてくれます。

カルシウム

馬肉に含まれるカルシウム量は他の肉に比べてとても多く含まれています。

※可食部100gあたり

食材カルシウム含有量
馬肉
11mg
ラム肉10mg
牛肉3mg
豚肉4mg
鶏肉5mg
猪肉4mg

カルシウムは体を支える骨格の強化に活躍するほかにも、神経興奮の抑制にも役立ちます。

馬肉を与える際の注意点

小さめにカットして与えましょう

犬や猫はよく噛まずに丸飲みしてしまう習性が多くみられます。

大きい塊で食べさせてしまうと、丸のみによって喉に詰まらせてしまう危険性があります。

大きいままでは消化にも負担がかかり、消化不良を起こす可能性もあります。

細かく刻んでから総合栄養食のペットフードのトッピングや手作りご飯に使用すれば、馴染みも良くペットフードや他の食材とを避けて馬肉だけを食べてしまう事も防げます。

味付けや薬味に注意!中毒症状の危険

馬肉の刺身にはニンニクやネギなどの薬味が付き物です。このニンニクやネギには犬猫が中毒症状を引き起こす成分が含まれています。

重篤な場合には死に至る場合もあるので十分に気をつけてください。

また、醤油や塩などの調味料も犬猫にとっては健康被害をもたらす可能性があるので味付けは不要です。

馬刺しを取り分けてあげようと考える場合には薬味が付着していない事や、醤油や塩など味付けを加えてないものを食べさせてあげましょう。

与えすぎはNG

馬肉は高たんぱく、低脂質、低カロリーと犬猫にとって健康的メリットのある食材といえます。

ただし、総合栄養食のペットフードをしっかり食べている場合は犬猫はそれだけで必要な栄養を十分にとれています。

馬肉を与えすぎると、その嗜好性から総合栄養食のペットフードを食べなくなってしまう事もあります。

その場合、馬肉だけでバランスの良い栄養をとれるとは考えられないので、逆に健康を損なってしまう可能性があります。

馬肉を食べさせたいと考える場合には、トッピングやおやつ程度に控えると健康的に必要な栄養を摂取できるでしょう。

おすすめレシピ

馬肉シチュー

①馬肉を犬猫の食べやすいサイズに細かくカット。じゃがいも、にんじん、だいこんを1㎝程度の角切りにします。

②鍋に少量(数滴で十分)のオリーブオイル、カットした食材を入れて軽く炒めます。

③具材が浸る程度の水とローズマリーを入れ、野菜が柔らかくなるまで煮たら完成です。

馬肉の旨味が広がるスープと共に、柔らかく消化の良い野菜が一緒に食べさせられます。

馬肉とオリーブオイルで不飽和脂肪酸が摂れ、たんぱく質を摂るとともにコレステロールの上昇も抑えられます。

ローズマリーには肉の臭みけしと抗菌効果が期待できます。

まとめ

犬猫は馬肉を食べても大丈夫!

馬肉は他の肉に比べてたんぱく質が豊富に含まれ、さらに低カロリーなので犬猫にとって有益な食材といえます。

動物性食品には珍しく、健康的効果が注目される不飽和脂肪酸が豊富に含まれる面も馬肉の特徴です。

ただし、与えすぎは毎日の食事のバランスを崩してしまう可能性もあるので、トッピングやおやつ、手作りご飯に少し使用して与える程度に控えましょう。

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スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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