まっすぐと伸びた茎に咲かせる紫色の花が特徴的なアヤメ。
花札の5月の花として描かれており、日本で古くから美しい花として愛されてきました。
そんなアヤメは犬猫がいる環境でも安心して育てることができるのでしょうか。
アヤメは犬猫にとって危険な植物!
アヤメには毒性のある成分が含まれており、犬猫が誤って食べてしまうと悪い影響を与える可能性があります。
今回はアヤメに含まれる成分や似ている花・食べてしまったときの対処法などについて解説していきたいと思います。
アヤメの基本情報
学名
Iris sanguinea
科・属
アヤメ科・アヤメ属
原産地
日本・朝鮮半島・台湾・中国
開花時期
5月~7月
別名
ハナアヤメ
花言葉
良い便り・強い希望・純粋・優しさ
アヤメに含まれる毒性成分
アヤメには「イリジェニン」「イリジン」「テクトリジン」という毒性のある成分が含まれています。
これらの成分は根から花まで全ての部位に含まれているためどこを食べても中毒症状を引き起こす可能性があります。
症状は口内の炎症・下痢・嘔吐・胃腸炎などがあり、さらに犬猫がアヤメに触れると皮膚炎を引き起こす可能性もあります。
他のアヤメ科の植物にも注意!
アヤメだけでなく、クロッカスやフリージアといった他のアヤメ科の植物にも同様に有毒成分が含まれています。
犬猫がいる環境で花を育てようと考えている方は犬猫に無害な花か一度調べるようにしましょう。
アヤメに似ている花
アヤメには似ている花があるので合わせてご紹介します。
カキツバタ
2つのものがどちらも優れていてよく似ていることから優劣付けがたいことを表す言葉で「何れ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)」と言うものがあります。
それほどアヤメとカキツバタは似ている花だと日本では昔から認識されていました。
この二つの違いは花の模様ぐらいで、花に網目状の模様があればアヤメ、白い筋があればカキツバタという違いがあります。
カキツバタもアヤメと同じくアヤメ科の植物のため、「イリジェニン」「イリジン」「テクトリジン」といったアヤメと同じ毒性成分が含まれています。
ショウブ
似ている花として挙げた「ショウブ」ですが、実は花の見た目は似ていません。
ではアヤメとショウブにはなんの関係があるのでしょうか?
どちらも「菖蒲」
アヤメとショウブはどちらも漢字で書くと「菖蒲」と書きます。
別の花なのに同じ字を書く理由は2つの花の歴史が関係しています。
現在のアヤメがまだ見つかっていないときに、もともと「アヤメ」と呼ばれていたのはショウブでした。
あるとき葉がそっくりなのに全く異なる花を咲かせる植物(現在のアヤメ)が見つかりました。
これがきっかけで区別のために現在のアヤメは「花アヤメ」、ショウブは「アヤメ草」と当時は呼ばれていました。
さらに一般的に「アヤメ」というと花が地味なアヤメ草より華やかな花アヤメのことを指すようになりました。
こうして現在でもアヤメと呼ばれるようになり、ショウブには新しい名前が付けられたそうです。
ハナショウブ
さらにややこしい「ハナショウブ」という花があります。
見た目はアヤメやカキツバタに似ていますがハナショウブという名前が付けられています。
ショウブはショウブ科でアヤメとは全く別の植物なのですが、ハナショウブはアヤメ科なのでアヤメの仲間です。
非常にややこしいですがハナショウブも犬猫が食べてはいけない植物なので覚えておきましょう。
犬猫がアヤメを食べてしまわないために
アヤメは基本的に屋外で育てるのを推奨されているのでおうちで育てる場合はお庭やベランダでの管理になるかと思います。
なので、室内飼いの場合は普段は心配ありませんがお散歩のタイミングや犬猫が外に出てしまったときにアヤメに近づかないように注意しましょう。
もしも食べてしまったら
万が一犬猫がアヤメを食べていたらすぐに止めましょう。
そして口を開けて見える範囲にアヤメが残っていれば取り出してあげましょう。
食べた量にもよりますが口唇炎や胃腸炎の可能性もあるので、すぐに獣医師へ相談することをおすすめします。
また、食塩などを飲ませて飲み込んでしまったものを無理矢理吐き出させようとするのはNGです。
犬猫の臓器や消化器官に負担をかけてしまいます。吐き出させる必要があるのなら動物病院で正しい催吐処置を受けましょう。
【まとめ】アヤメは犬猫にとって危険な植物
アヤメは犬猫が誤って食べてしまうと危険な植物です。成分や危険性についておさらいしましょう。
- 「イリジェニン」「イリジン」「テクトリジン」という毒性のある成分が含まれている
- 見た目がそっくりなカキツバタとハナショウブにも有毒成分が含まれているので注意
- もしも食べてしまったら無理矢理吐き出させようとせず獣医師へ相談するのがおすすめ
今回は犬猫に対するアヤメの危険性についてご紹介しました。
アヤメは食べてすぐに死んでしまうほど毒性の強いものではありません。
万が一食べてしまったとしても冷静に対処しましょう。