牡丹はボタン科ボタン属の植物で、高貴な美しさや豪華でエレガントさを感じる花を咲かせる植物です。
見た目に華やかで人気なので、生け花や花瓶に挿して楽しまれる他にもお庭で栽培され楽しまれています。
しかし、この牡丹には、犬猫にとって有害な毒性成分を含むため危険な植物です。
牡丹(ボタン)に含まれる有毒成分
牡丹にはペオノールと呼ばれるフェノール性成分が含まれています。
このペオノールは根に多く含まれるといわれており、犬猫にとって有毒と考えられ、それを口にした場合、中毒症状を引き起こすといわれています。
牡丹による中毒症状例
- 嘔吐
- 下痢
- 胃腸障害
- 血液低下
ペオノールは現代医療分野で医薬品としての特性があり、伝統的な漢方薬にも使用されていますが、人間であっても牡丹の根皮をそのまま食べると中毒を発症します。
犬猫の場合は少量の摂取であっても上記のような症状を引き起こし、多量に摂取すると下痢や嘔吐、酷くなれば脱水症状になることや、胃腸障害が重篤になる可能性があります。
また牡丹から出る乳液に触れると皮膚のかぶれが生じるので、根に多く含まれるペオノール以外にも、切った枝や葉などを放置しないように注意が必要です。
牡丹(ボタン)を誤食してしまったら
犬猫にとって有毒成分であるペオノールは根に多く含まれていることが知られていますが、花や葉、枝など全草に含まれていると考えておいた方がよいでしょう。
もし犬猫が牡丹を誤食したことが分かった場合、植物のどの部分をどの程度食べたのか確認しましょう。
誤食後の様子を注意深く観察し、行動の変化や嘔吐、下痢などの症状がみられれば速やかに動物病院へ相談し、獣医師の指示に従いましょう。
シャクヤクも牡丹(ボタン)の仲間!同じ有毒成分をもつ植物
牡丹の主な有毒成分であるペオノールはボタン科の他の植物にも含まれています。
そのため牡丹と同様に犬猫が誤食しないように注意が必要なので確認しておきましょう。
- シャクヤク(芍薬)
- ヤマシャクヤク(ノシャクヤク)
- スメラギクサ
- ヤマタチバナ
「立てばシャクヤク座れば牡丹」という言葉が昔からあるように、牡丹と並べてゴージャスで美しい様を謳われるシャクヤク(芍薬)もボタン科の植物で、上記で解説した内容と同じ危険性があるので注意してください。
どちらも観賞用に古くから好まれ、切り花としても手に入りやすく栽培も楽しまれる花木なので身近な植物なので十分に注意しましょう。
牡丹蔓(ボタンヅル)はボタンの仲間?
牡丹の毒性を調べると、『牡丹蔓』という名前の植物の情報を目にします。
名前に『牡丹』と入っていますが、ボタンヅルはキンポウゲ科の植物です。
ボタン科ではないから安心かといえばそうではなく、キンポウゲ科の植物は、毒性の非常に強いものが多いのでこちらも十分に注意が必要です。
牡丹蔓は本州から九州にかけて山野や草地に生息するツル植物の一種で、誤食してしまうと過度な流涎や嘔吐、下痢など消化器に深刻な症状を示す場合があります。
万が一誤食が起きた場合には速やかに動物病院へ相談しましょう。
牡丹(ボタン)の誤食を防ぐ
見た目に華やかで人気の植物なので、ご自身で買う以外にも花束で頂くこともあるでしょう。
上記で解説したように軽度から中度、摂取量によっては重篤な症状を起こす可能性がある牡丹なので、配置には十分に検討が必要です。
犬や猫は好奇心旺盛で、飾ってあるものに飛びついたりかじっておもちゃにしてしまうことは安易に想像ができます。
犬猫の行動範囲内には飾らない、確実に届かない場所を確保する、犬猫の側を離れる、留守にする場合には犬猫の入らない部屋や棚の中に仕舞うなど工夫が必要です。
庭木として栽培される場合には、牡丹の周りをフェンスや柵などで囲うなどして安易に近づけないように工夫をしておくといいでしょう。
まとめ
牡丹は華やかで人気があり古くから親しまれている植物ですが、犬猫が中毒症状を引き起こす有毒成分が含まれているので誤食しないように注意が必要です。
有毒成分は根に多く含まれますが、花や葉、枝にも少量含まれていると考えられるので全草において注意が必要です。
また、切り口などから出る乳液で皮膚のかぶれが生じるので、切り花や手入れをされた時に出る葉や枝などに触れさせないように気をつけましょう。
また、同じボタン科で有名な植物シャクヤク(芍薬)にも同様の有毒成分が含まれるので注意しましょう。
身近な植物なので、手にも入りやすく花束で贈られる事などもありますが、犬猫の行動範囲には置かないように配置には十分に注意する必要があるでしょう。
参考:ASPCA
参考:イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科