コーヒーの木は犬猫にとって危険な植物!カフェインだけでなくチョコレートに含まれる成分も

コーヒーの木は熱帯アフリカやマダガスカル島、マスカリン諸島に約100種が自生しているといわれています。

光沢のある豊かな葉は見ごたえがあり屋内でも育つことから、最近は日本でも人気のある観葉植物です。

コーヒーは犬や猫が飲んではいけない飲み物として広く知られていますが、観葉植物としてのコーヒーの木は犬猫にとって危険な植物なのでしょうか?

コーヒーノキの基本情報

学名:Coffea arabica
和名:アラビアコーヒー
科名 / 属名:アカネ科 / コーヒーノキ属
花言葉:「一緒に休みましょう」

参考:コーヒーノキの基本情報(みんなの趣味の園芸NHK出版)

コーヒーの木は犬猫にとって危険な植物!

コーヒーは犬猫にとって危険というのはご存じの方も多くいらっしゃるでしょうが、飲み物としてのコーヒーだけが危険と考えがちではないでしょうか。

コーヒー豆はコーヒーの木に生る実の中にある種の事を指します。

このコーヒーの原料となる実を生らせるのは比較的難しく、日本の気候で観葉植物として栽培するだけでは実が生るのは稀かもしれません。

そのため葉や花を観賞するだけなら犬猫に危険はないのでは?とも思えますが、コーヒーが危険とされる一番の理由であるカフェインは、コーヒーの木や葉にも含まれています

分析したさまざまな品種において、カフェインの蓄積はコーヒー豆の成熟期よりも葉で多く、アラビカ種よりもロブスタ種の方が多かった。 ~中略~ 若い葉に最も高濃度のカフェインが含まれています

~中略~ テオブロミンは、両方の種のカフェインよりも若い葉に蓄積されません。若い葉では、ロブスタ種はテオブロミンを 1.4 % (DW) 蓄積しますが、アラビカ種の蓄積量は 50 % 少なくなります。成熟葉におけるテオブロミンの減少は、両種、特にアラビカ種で特に顕著であり、成熟葉ではテオブロミンがまったく検出されなくなりました。

引用:Coffea arabica (アラビカ種) とCoffea canephora (ロブスタ種)におけるカフェイン代謝の異なる制御

上記の研究報告にあるように、実はコーヒー豆よりも葉や若い葉(新芽)に最も多くのカフェインが含まれることが報告されています。

更にはチョコレートの成分として知られ犬猫に危険とされるテオブロミンがコーヒーの木の若い葉に含まれることも記載されています。

これらのことから、コーヒーの木は犬猫にとって危険な植物であると考えられます。

カフェイン、テオブロミンの危険性

前述の通り、コーヒーの木や葉に含まれる犬猫のとっての主な毒性成分はカフェインとテオブロミンであると考えます。

カフェインとテオブロミンは仲間の物質で、これらの物質が作用する体の部位は中枢神経や心臓血管、腎臓、骨、筋肉といわれています。

特にテオブロミンは胃や腸、子宮、血管、気管、尿管などの中空器官の壁にある筋肉の弛緩作用や心臓刺激作用を示すとの報告があります。

カフェイン、テオブロミンを摂取した場合の症状例
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 興奮
  • パンティング(荒い呼吸)
  • ふらつき
  • 尿量増加
  • 排尿障害
  • 筋肉の震え
  • 昏睡

摂取した量や個体差によって、最悪の場合には命を落としてしまう事もある危険な成分です。

カフェインの存在も見逃せませんが、チョコレートと同様の成分を含むコーヒーの木、特に若い葉は絶対に犬猫が口にしないように気をつけなくてはいけません。

コーヒーの木を食べてしまったら

上記で解説したように、コーヒーの木に生る葉を犬猫が食べてしまった場合、最悪なケースでは命の危険が考えられます。

人間と違い犬や猫はテオブロミンの代謝、排泄に時間がかかり、そのため中毒が発生しやすくなっていると考えられています。

摂取後6時間以上経ってからその症状が現れるケースが多く、摂取後24時間程度は中毒が起こる危険性があると考えていいでしょう。

そのため、食べた直後や1,2時間経っても異変が無いからといって放置してはいけません

カフェイン、テオブロミンの危険性を理解し、もし犬猫がコーヒーの木の一部を誤食してしまった事が分かった場合、すぐに動物病院へ相談し獣医師の指示に従いましょう。

観葉植物のコーヒーの木に実が生ることは稀であると解説しましたが、花は比較的咲きやすく、実も条件が揃えば生る事もあります。

花や実にもカフェインの含有は考えられますので、葉だけではなく全草危険であると認識し、どの部分をどの程度誤食してしまったのか、時間の経過や症状の有無など注意観察を行いましょう。

まとめ

コーヒーの木、特に若い葉や新芽にはカフェインが多く含まれ、またテオブロミンの含有も確認されています。

カフェイン、特にテオブロミンは犬猫の命を脅かす危険な成分として認識されており、絶対に犬猫が口にしないように注意しなければなりません。

一番の予防策は犬猫の行動範囲内にコーヒーの木を配置しない事です。

コーヒーの木は観葉植物として人気がありますが、犬猫にとって安全な他の観葉植物を選び配置することで愛犬、愛猫の健康を守れます。

犬猫にとって危険な植物を知り、この記事が生活環境を整えるヒントとなれば幸いです。

参考:イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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