ヒヤシンスは犬猫にとって危険な植物!匂いをかぐのもNG?ユリ科に似た強い毒性に注意

ヒヤシンスはチューリップやスイセンなどと並び、春の訪れを知らせてくれる球根植物です。

強い香りやその均整の取れたボリュームのある草姿が人気で、古くから好まれ観賞されています。

しかしヒヤシンスは犬猫にとって危険な植物である事が知られており、絶対に食べてはいけない植物のひとつです。

この記事では、そのリスクや対処方法について詳しく説明します。

ヒヤシンスについて

ヒヤシンスはユリ科?キジカクシ科?

ヒヤシンスについて調べてみると、ユリ科と記載されているものやキジカクシ科と記載されている情報があります。

現在のヒヤシンスの分類についてはキジカクシ科とするのが最も妥当とされています。

ヒヤシンスの基本情報

学名:Hyacinthus orientalis

和名:ヒアシンス(風信子)

その他の名前:ヒアシンス、夜香蘭、ダッチヒアシンス

科名 / 属名:キジカクシ科(クサスギカズラ科) / ヒアシンス属

ユリ科の植物が犬猫にとって危険であることは有名な話ですが、キジカクシ科はあまり聞きなれません。

ヒヤシンスはユリ科じゃないなら安全?と思われてしまいそうですが、そうではありません。

ヒヤシンスは元々ユリ科に分類されていた植物です。

ユリ科の分類が雑多であり非常に多くの属・種を含むグループであったため、学者間での議論の末にユリ科の中の植物は大きくグループを変えたので、ヒヤシンスはユリ科からキジカクシ科へ移行したという経緯があるのです。

このことから分かるように、元々ユリ科であったヒヤシンスはキジカクシ科に分類されたとしても、その特性や毒性はユリ科と類似しており、実際に犬猫にとって危険な毒性成分を含む植物であるといえます。

参考:ヒアシンス(ヒヤシンス)の基本情報

犬猫がヒヤシンスを食べてしまった場合の危険性

犬や猫がヒヤシンスを食べてしまった場合、いくつかの危険を伴います。

上記でも解説したようにヒヤシンスには毒性成分が含まれているため、それによって中毒症状を引き起こし、最悪の場合死に至るケースもあります。

ヒヤシンスの毒性成分は『リコリン』と『シュウ酸カルシウム』

ヒヤシンスに含まれる主な毒性成分は、アルカロイドの一種であるリコリンであるといわれています。

このリコリンはヒガンバナやスイセンにも含まれていて、人間が摂取した場合2~3gで中毒症状が現れ、10gが致死量であるとの報告があるほど強い毒性を持っています

リコリンによる中毒発症報告は多数あり、その多くが同じリコリンを含有するスイセンの葉の誤認・誤食による事例です。

スイセンの葉がニラに酷似していることから毎年誤食事例が報告されていますが、これはヒヤシンスにも言える事で、ヒヤシンスの葉もニラに酷似しています。

犬猫はもちろん、人間が誤食しないように注意が必要です。

またリコリン以外にもヒヤシンスはシュウ酸カルシウムを多量に含むことが知られています。

このシュウ酸カルシウムは、口にすると非常に強いえぐみや痛みを感じ、皮膚に付着すると炎症反応が起こります。

これも人間が誤食した場合、嘔吐や下痢、皮膚に付着すれば皮膚炎を起こすほどの強さです。

参考:岡山県環境保健センター

ヒヤシンスを誤食した場合の中毒症状例

ヒヤシンスを犬猫が食べてしまった場合、上記で解説したリコリンやシュウ酸カルシウムによって様々な中毒症状を引き起こします。

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 炎症反応
  • 流涎
  • 発汗
  • 沈うつ
  • 手足のしびれ
  • 呼吸困難
  • 腎不全
  • 昏睡

ヒヤシンスの毒性は非常に強く、少量をかじっただけでも中毒症状が現れるといわれています。

また、人間に対して致死量がわかっているほどのリコリンの影響は、人間より個体として小さく解毒機能も弱いといわれている犬猫が摂取した場合、人間より少ない量の摂取で致死量となる可能性は非常に高くあるでしょう

猫がヒヤシンスを誤食してしまった場合の対処方法

ヒヤシンスが犬猫にとって危険な植物であることは十分に理解していただけたと思います。

実際にヒヤシンスを誤食してしまったことに気づいたら、冷静に犬猫が誤食した部位や量、時間の経過などを確認し、犬猫の症状や挙動の変化を注意深く観察することが重要です。

その上で速やかに動物病院へ連絡し、獣医師の指示に従いましょう

もしまだ口にヒヤシンスが残っているようであれば、口を開け取り出してあげる事も大切ですが、飲み込んでしまっていた場合に素人が行う催吐処置は大変危険なのでやめましょう。

ヒヤシンスは全草危険!球根は特に注意!

ヒヤシンスは、花・茎・球根や根、花粉まで全てに毒性成分が含まれています

ヒヤシンスに興味を持ち匂いをかいだ際に顔に花粉がついてしまうことや、鼻から体内に吸引したり舐めてしまう可能性があるため、匂いを嗅ぐ行為に注意する必要があると考えます。

ヒヤシンスの中でも球根は特に危険度が高いので、ガーデニングや水栽培をされる方は球根の保管も十分に注意が必要です。

犬や猫を飼われている方は、室内にヒヤシンスを置かない事が一番の予防策かもしれません。

屋外であっても、犬猫の行動範囲内の置いてしまうと、目を離した隙におもちゃにして遊んでしまったり、かじってしまうなどの危険があるので、置く場所は十分に検討が必要です。

また、ヒヤシンスはとてもポピュラーな植物なので、普段散歩コースとして使っている道路わきや花壇などに植えられていることもあるでしょう。

球根植物は花が終わった後もそのまま球根を植えっぱなしにすることもあるので、散歩中に土を掘り返すような動作をしていたら注意してあげましょう

まとめ

ヒヤシンスは栽培がしやすく古くから親しまれ馴染み深い植物ですが、犬や猫がヒヤシンスを食べてしまうと中毒症状を引き起こし、最悪の場合死に至るケースもあります。

犬や猫の健康と安全を守るには知識と予防策が非常に重要です。

ヒヤシンスに触れたり、誤食が合った場合、飼い主様は冷静に状況を確認し、動物病院への連絡がすぐにできるように対処しましょう。

人間にとって馴染み深く安全な植物であっても、犬猫にとっては危険を伴う植物はたくさんあります。

正しい知識を持ち、行動範囲内に危険な植物を置かないように配置には十分考慮し、また屋外でも誤食が無いように十分に注意してあげましょう。

参考:ASPCA

スギさん@マッサンペットフーズ

株式会社ヒューマル マッサンペットフーズの公式WEBサイト「マッサンのペットフードの学校」の開設時から運営に参画しています。6年間の学びを生かしてペットレシピ.jpにも執筆しています。

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