イヌサフランは犬猫にとって危険な植物!人間でも死亡例のあるほど危険性が高い

小さな見た目ながらピンクや紫の綺麗で立派な花を咲かせるイヌサフラン。

花が咲くときには葉を付けず、花が枯れたあとに20~30cmほどの大きな葉を付ける少し変わった植物です。

そんなイヌサフランは犬猫にとって安全な植物なのでしょうか。

イヌサフランは非常に危険な植物!

イヌサフランには猛毒成分が含まれているため犬猫が食べてしまうと常に危険な植物です。

さらに人間でも厚生労働省から誤食のリスクが警告されているほどです。

今回はイヌサフランに含まれる有毒な成分・誤食した場合の対処法・名前の由来などをご紹介したいと思います。

イヌサフランの基本情報

学名

Colchicum autumnale

科・属

イヌサフラン科・イヌサフラン属

原産地

ヨーロッパ中南部~北アフリカ

開花時期

9月~10月

別名

コルチカム・ノサフラン・マキバノサフラン

花言葉

私の最良の日々は過ぎ去った・危険な美しさ

イヌサフランに含まれている有毒な成分

イヌサフランにはアルカロイドの一種である「コルヒチン」という成分が含まれています。

コルヒチンは鎮痛剤に使用される成分ですが、多量に摂取したり素人が生薬として使用すると大変危険な成分です。

2014年や2015年にはイヌサフランの誤食による人間の死亡例もあります。

人間にとっても危険な植物なので、犬猫が食べてしまわないように十分注意しましょう。

サフランとの違いは?

香辛料の一種であるサフランはパエリアなどのスペイン料理などに使用されます。

イヌサフランは花がサフランに似ていることからこのような名前が付けられています。

しかし、イヌサフランはイヌサフラン科の植物なのに対して、サフランはアヤメ科なので全く別の植物です。

名前に「イヌ」が付く理由

イヌサフランは漢字で「犬サフラン」と表記することがあるようですが、名前に付く「イヌ」は犬とは無関係です。

前述したようにイヌサフランはサフランに似ていることからその名前が付けられました。

しかし、サフランのように料理に使用出来ないことから、サフランとは別の物という意味で「イヌ」が付けられました。

「イヌ」は否定を意味する日本語の「否(いな)」からきていると言われています。

イヌサフラン誤食のリスク

イヌサフランの誤食は他の食べ物と間違えて食べてしまった場合が多いようです。

実際の症例を見てみましょう。

(症例1)
2013 年 6 月 3 日、石川県白山市内で女性( 71 )が自宅横の畑でイヌサフランを採取し、ジャガイモと似ていることから食用にできると思い,球 根をスライスして、ゆでて食べたところ、おう吐の症状が出た。近所の知人女性( 77 )も一切れ食べて軽症となった。

( 症例 2 厚生労働省発表 統計資料外 )
2013 年 6 月 23 日、札幌市内で女性( 60 代)が姉の自宅の庭に生えていたイヌサフランの球根を、ミョウガと間違えてゆでて食べ、腹痛や嘔吐など食中毒の症状を訴えて病院に搬送された。一緒に食べた姉はすぐに吐き出したため、体調に異常はなかった。食べた残りを北海道立衛生研究所が鑑定し、イヌサフランと確認。

(症例3)
2015年6月21日、北海道札幌市内で男性が家庭菜園で採取したイヌサフランの球根を茹でて食べたところ、下痢、嘔吐及び多臓器不全等の症状を呈し、その後死亡した。

(症例4)
2015年9月22日、山形県山形市内で女性が自宅の庭に生えていたイヌサフランの地上部をもぎ取り、そのままの状態で食べた後、下痢、嘔気、嘔吐の症状を呈し、その後死亡した。

参照:厚生労働省「自然毒のリスクプロファイル:高等植物:イヌサフラン」

上記の症例の他にも「ギョウジャニンニク」というニンニクの一種と葉を出している姿が似ているため誤食しないように注意喚起されています。

ギョウジャニンニクとイヌサフランは葉を付ける時期や匂いで違いを判断できるようです。

参考:東京健康安全研究センター「ギョウジャニンニクとイヌサフラン」

症状

症例にもあるように下痢・嘔吐・腹痛などが初期症状として表れます。

その後症状が悪化すると皮膚の知覚減退や呼吸困難等の症状が現れ、最悪の場合死に至る可能性があります。

犬猫・飼い主ともに誤食には注意

イヌサフランは犬猫・人間どちらに対しても非常に毒性の強い植物なので誤食のないように注意しましょう。

万が一、犬猫がイヌサフランを食べてしまったらすぐに動物病院へ連れて行き、然るべき治療を受けましょう。

【まとめ】イヌサフランは非常に危険な植物

イヌサフランは非常に強い毒性を持つため犬猫だけでなく人間も誤って食べてしまうと危険な植物です。

含まれる成分や危険性についておさらいしましょう。

  • 「コルヒチン」という多量に摂取すると命に関わる可能性のある成分が含まれている
  • 人間でも死亡例のあるほど毒性が強い成分のため誤食には注意が必要
  • 犬猫・人間ともに誤って食べてしまったらすぐに病院へ行く

今回はイヌサフランの危険性についてご紹介しました。

犬猫だけでなく人間に対しても非常に強い毒性を持つため、ご家族も注意してください。

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鈴木 利奈RINA SUZUKI - PET FOOD ADVISER

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ペットレシピ.jpの記事を執筆・監修しています。

キャットフード勉強会・ドッグフード勉強会を運営している鈴木です。大好きな犬猫とペットフードについて深く学ぶため、講師を呼んで勉強会を開いています。ペットフード販売士、ペット栄養管理士、愛玩動物飼養管理士2級、化粧品検定1級(コスメコンシェルジュ)等の資格を取得。

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