オトギリソウとは
オトギリソウは、古くから薬草として用いられてきた多年草の植物で、主にヨーロッパやアジアに自生しています。
夏になると鮮やかな黄色い花を咲かせるので、その美しさからガーデンハーブとしても楽しまれています。
ハーブティーやサプリメントとしても使用されていますが、薬効成分が期待される一方で、光毒性成分が含まれているので犬や猫にとっては危険な植物です。
オトギリソウ(ヒペリカム)の仲間の基本情報
学名:Hypericum
科名 / 属名:オトギリソウ科 / オトギリソウ属(ヒペリカム属)
別名:青薬(アオクスリ)、鷹の傷薬、盆花(ボンバナ)
花言葉:「恨み」「敵意」「迷信」「秘密」「移りゆく日々」「 追憶」
オトギリソウの主な毒性成分
オトギリソウの主な毒性成分は光毒性のヒぺリシンです。
オトギリソウを多量に摂取した後に紫外線を浴びると、皮膚が敏感になり、発赤やかゆみ、炎症などを引き起こすことがあります。
特に、光に敏感な体質であったり、長時間日光を浴びる場合には注意が必要です。
有毒部位は植物全体なので、葉や茎、花、根に至るまで全て誤食がないように注意しましょう。
オトギリソウによる中毒症状例
- 日光に当たると発赤や炎症を起こす
- 吐き気
- 嘔吐
- 下痢
オトギリソウは光毒性によって皮膚が紫外線に過敏になってしまう事が特徴的ですが、下痢や嘔吐を引き起こすこともあります。
また、大量に摂取した場合には神経系への影響もあると考えられており、震えや過剰なよだれ、混乱が起こる可能性もあるようです。
オトギリソウのハーブティーやサプリメントは大丈夫?
オトギリソウは抗うつ作用・不安の緩和・睡眠の質の向上・抗炎症作用・抗菌・抗ウイルス作用などが期待され、伝統的に薬草やサプリメントとして利用されてきました。
薬効が高い一方で、副作用や薬物相互作用のリスクがある事も知られているため、人用のハーブティやサプリは犬猫に与えるのは控えた方がよいでしょう。
犬猫向けに加工された製品であれば危険は少ないかと思いますが、犬猫が積極的に摂取していいハーブとは言い難い面もあります。
犬猫向けの製品でも、薬効だけを期待して頻繁に摂取させることや、一度に多量に摂取させることはやめましょう。
光毒性の他にも、抗うつ薬、抗凝固薬、経口避妊薬、免疫抑制剤などの効果に影響を及ぼす可能性があるので、人間であっても無条件に摂っていいハーブではありません。
犬や猫がオトギリソウを食べてしまったら
犬や猫がオトギリソウを食べてしまった場合、中毒症状を引き起こす可能性があるため、速やかに適切な対応を摂る事が重要です。
摂取量を確認する
オトギリソウは摂取量が多いほど中毒のリスクが高まります。植物のどの部分をどれだけ食べたのか確認しましょう。
また、時間の経過も診察する際には重要な情報となりますので、誤食した時間を記録しておきましょう。
動物病院へ連絡する
オトギリソウの誤食が分かったら、できるだけ早く動物病院へ連絡しましょう。
その際に、上記で確認した摂取量や時間の経過、そして症状の有無といった状況を伝え、獣医師の指示に従うようにしましょう。
自宅で出来る事
誤食が分かった際、口の中にまだ植物が残っているようであれば慎重に取り除きましょう。
ただし、飲み込んでしまったものを無理に吐かせる行為は大変危険なので、獣医師の指示なく自己判断で行う事はやめましょう。
ごく少量の摂取で重篤な症状を引き起こす可能性は低いと考えられますが、自己判断での様子見はおすすめできません。
少しでも不安があるようであれば、症状の有無に関係なく早めに動物病院で相談するといいでしょう。
病院を受診する場合、オトギリソウには光毒性があるので、紫外線を避けるようUV加工の服や日傘などで保護してあげましょう。
まとめ
オトギリソウは薬効が期待されるハーブの一種で、きれいな花を咲かせるの人気のガーデンハーブですが、犬猫にとっては危険な植物です。
薬効がある一方、光毒性成分を含むため、多量に摂取してしまうと紫外線の影響を受けやすくなり、皮膚疾患や消化器系の症状を引き起こすことが分かっています。
ハーブそのものの誤食はもちろんのこと、犬猫向けに加工された製品でも多量摂取に注意しましょう。
参考:オトギリソウの基本情報(みんなの趣味の園芸 NHK出版)
参考:オトギリソウ(熊本大学薬学部薬用植物園 植物データベース)
参考:ASPCA
参考:肝性光線過敏症
参考:セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)St. John’s Wor(厚生労働省eJIM)
参考:人もペットも気をつけたい 園芸有毒植物図鑑 著者: 土橋豊