シラーとは
シラーは青紫色をした星形や釣鐘状の小花が、房や穂の形状に咲く植物です。
ユーラシア大陸や南アフリカ、熱帯アフリカに100種以上の原種があるといわれ、その中でもシラー・ペルビアナやシラー・シベリカなどの原種が園芸品種としてよく知られています。
球根植物で、春の開花後も掘り上げずそのままで数年は咲くので花壇やコンテナでよく栽培されることや、切り花としても人気のある植物です。
しかし、このシラーは有毒植物なので犬や猫にとっては危険な植物です。
シラーの基本情報
学名:Scilla
科名 / 属名:キジカクシ科(クサスギカズラ科) / ツルボ属(シラー属)
花言葉:「寂しさ」「哀れ」「変わらない愛」「辛抱強い」「我慢強さ」
一部ではヒアシンス科、ユリ科に分類されることもあります。
シラーの主な毒性成分
シラーには全草に強心配糖体(きょうしんはいとうたい)を含むと考えられています。
強心配糖体は、植物(ジギタリスなど)や動物に含まれる、心臓の収縮力を高める薬物の総称で、心臓への影響や消化器症状を現す事が知られています。
有毒部位は全草であると考えられていますが、特に球根には多く含まれているといわれているので十分に注意しましょう。
シラーによる中毒症状例
- 口腔の痛み
- 吐き気
- よだれの増加
- 嘔吐
- 下痢
- けいれん
- 心拍の低下
シラーの誤食では、一般的に消化器系の症状が多くみられます。
人間にとってその毒性はあまり強くないと考えられているようですが、犬や猫(特に猫)は人間よりも解毒作用能力が低く、その影響を強く受けてしまう可能性があります。
そのため、摂取量や個体差によっては心臓へ悪影響を及ぼし、命の危険も考えられる可能性があるので、たとえ少量の誤食であっても軽視しない方がいいでしょう。
犬や猫がシラーを食べてしまった時の対処法
シラーは全草有毒ですが、特に球根の誤食は大変危険です。犬や猫がシラーを誤食してしまった場合、まずは冷静に状況を確認しましょう。
すぐに口の中に植物がないか確認し、もし残っているようであれば気をつけながら取り除いてあげましょう。
また、下記の項目をチェックし、記録しておくことも大切です。
- 誤食してしまった部位
- 摂取量
- 時間の経過
- 中毒症状の有無
これらの項目は、動物病院で診療のヒントとなります。シラーの毒性の影響は個体差によるところが多く、犬や猫に対する明確な致死量はわかっていません。
そのため、症状が軽度であっても動物病院へ相談することをお勧めします。
また、大量に食べた可能性がある場合は、症状が出ていなくても獣医師に相談しましょう。
まとめ
シラーは比較的育てやすく、花壇やコンテナなどで栽培を楽しまれたり、切り花としても人気がある植物ですが、有毒植物なので犬や猫にとっては危険な植物なので取り扱いに注意が必要です。
有毒部位は全草、特に球根が危険とされていますので、育てたいと考えて球根を用意している場合は、犬や猫の手が届く場所に放置しないように気をつけましょう。
また、庭や鉢植えに植えてある場合にも、好奇心旺盛な犬猫は掘り返したりおもちゃにしてしまう事もあるので、犬や猫が居る環境下では配置に十分気をつけましょう。
誤食が確認された場合は、自己判断での経過観察ではなく、獣医師に相談することをお勧めします。
参考:North Carolina Extension Gardener Plant Toolbox
参考:Scilla