愛犬・愛猫に与えるカニについて
冬になるとスーパーなどで見かけるようになるカニ。カニの種類にもよりますが旬は11月~翌年3月ごろと言われています。
ご家族でカニ鍋やカニしゃぶを召し上がる機会もあるのではないでしょうか。せっかくみんなでカニを食べるなら家族の一員である愛犬や愛猫にも一緒にカニを楽しんでほしいですよね。
今回は「犬猫はカニを食べて大丈夫なのか?与える際の注意点」などについて解説していきます。
犬や猫はカニを食べても大丈夫!
犬猫はカニを食べても大丈夫です。愛犬や愛猫と一緒にカニを楽しむことはできます。
ですがカニのには犬猫に与える際に注意しなければいけないポイントがあります。
生で食べても大丈夫?
人間の場合、「カニ刺し」などで生のカニを食べることもあるかと思います。
ですが犬猫に生のカニは絶対に与えないでください。
カニには「チアミナーゼ」という酵素が含まれています。チアミナーゼは犬や猫にとって大切なビタミンB1を破壊してしまう酵素です。
もしチアミナーゼにビタミンB1を破壊され「ビタミンB1欠乏症」になってしまうと筋肉の衰えや歩行障害などの症状が現れ、最悪の場合死に至ることもあります。
ビタミンB1は食事からしか摂取ができない栄養なので、カニを生で与えることによって欠乏しては大変です。
チアミナーゼは加熱することで死滅するので、カニを犬猫に与える際には必ず火を通してから与えるようにしましょう。
アレルギーは大丈夫?
犬や猫にも人間と同じように甲殻類アレルギーを持っている場合があります。初めて与える場合はごく少量にして様子を見ましょう。
犬や猫のアレルギー反応は人間のアナフィラキシーショックのように大きな反応では無く、皮膚や口周りの赤みやかゆみ・腫れなどの症状がほとんどです。
よく注意して観察してあげましょう。もしも症状がひどくなる場合は動物病院へ行きましょう。
かにみそは食べても大丈夫?
かにの可食部といえば身の他にかにみそがありますよね。お酒のあてなんかにも人気で好んで食べる方も多いと思います。
ですがかにみそは犬猫に与えないでください。理由はかにみそに含まれる「カドミウム」という成分にあります。
カドミウムは実は人間にとっても有害な成分です。以下は厚生労働省HPの『食品に含まれるカドミウムに関するQ&A』の記載内容です。
カドミウムはどのような物質ですか?どのような害があるのですか?
カドミウムは、鉱物中や土壌中などに天然に存在する重金属で、鉛・銅・亜鉛などの金属とともに存在することから、日本においては1千年以上前から鉱山開発などにより、地中から掘り出されてきました。
自然環境中のカドミウムが農畜水産物に蓄積し、それらを食品として摂取することで、カドミウムの一部が体内に吸収され、主に腎臓に蓄積します。カドミウム濃度の高い食品を長年にわたり摂取すると、近位尿細管の再吸収機能障害により腎機能障害を引き起こす可能性があります。また、鉄欠乏の状態では、カドミウム吸収が増加する報告があります。
なお、カドミウム中毒の事例としてイタイイタイ病がありますが、これは、高濃度のカドミウムの長期にわたる摂取に加えて、様々な要因(妊娠、授乳、老化、栄養不足等)が誘因となって生じたものと考えられています。
どうしてお米などの食品にカドミウムが含まれているのですか?
前述のとおり、カドミウムは、鉱物中や土壌中など、天然に広く存在する重金属です。加えて日本には、全国各地に鉛・銅・亜鉛の鉱山や鉱床が多数あり、このような鉱山や鉱床に高濃度に含まれるカドミウムが、鉱山開発や精錬などの人の活動によって環境中へ排出されるなど、いろいろな原因により一部の地域の水田などの土壌に蓄積されてきました。
お米などの作物に含まれるカドミウムは、作物を栽培している間に、水田などの土壌に含まれているカドミウムが吸収され蓄積されたものです。
また、カドミウムは海水や海の底質中にも含まれており、貝類、イカやタコなどの軟体動物や、エビやカニなどの甲殻類の内臓に蓄積されやすいことがわかっています。
厚生労働省医薬食品局食品安全部 平成22年7月改訂
厚生労働省の発表にもあるとおり、カドミウムは天然に存在する重金属で腎臓に影響します。
犬や猫の場合は体が小さい分、この影響を人間よりも受けやすいので犬猫にかにみそを与えるのはやめておきましょう。
カニに含まれる代表的な栄養素
ズワイガニ 生 可食部100g当たり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 59kcal |
たんぱく質 | 10.6g |
脂質 | 0.2g |
炭水化物 | 3.6g |
カリウム | 310mg |
ナトリウム | 310mg |
リン | 170mg |
ビタミンB1 | 0.24mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
たんぱく質
カニには100gあたり10.6gのたんぱく質が含まれています。お肉や魚と比べると少し少ないですがとても優秀な含有量です。
たんぱく質は皮膚・内臓・骨・被毛など犬猫の体をつくるうえで欠かせない栄養素です。しかし、過剰に摂取すると肥満の原因にもなりますので注意しましょう。
カリウム
カリウムは犬や猫だけでなく多くの生物にとって欠かせないミネラルです。
カリウムは多すぎると「高カリウム血症」、少なすぎると「低カリウム血症」という病気のリスクがあり、バランス良く与えないと犬猫の体に悪い影響を与えます。
カリウムの働き
カリウムは同じミネラルであるナトリウムと共に体液の浸透圧の調整や細胞機能の維持をしています。
また、ナトリウムが増えすぎた場合に体外へ排出するのもカリウムの役割です。
高カリウム血症
通常、摂取しすぎたカリウムは尿と共に体外へ排出されます。しかし、老化などで腎機能が低下した犬猫は尿によるカリウムの排出が上手くできません。
そうなると血中のカリウムの濃度が上がってしまい、高カリウム血症になります。主な症状は筋力低下・吐き気・不整脈・四肢のしびれなどがあり、最悪の場合死に至ることも。
症状が軽い場合には、ほとんど無症状にみえることから発見しづらく、悪化しやすいのが特徴です。
高カリウム血症は最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。腎機能が低下している愛犬・愛猫には普段から気を配ってあげてください。
低カリウム血症
カリウムが不足しすぎると低カリウム血症になり、高カリウム血症と似たような症状が現れます。
総合栄養食のペットフードを与えているとカリウムが不足する心配は基本的にはありませんが、体調不良や老化により食欲不振や嘔吐が続くとカリウム不足になり「低カリウム血症」を発症する恐れがあります。
アスタキサンチン
アスタキサンチンとは「カロテノイド」と呼ばれる天然色素の一種です。鮭の身が赤色をしているのもこのアスタキサンチンの影響です。
アスタキサンチンは眼・肌・筋肉などの健康維持に役立ち、肥満防止にもなると言われています。
当サイトおすすめのキャットフードとドッグフードです。アスタキサンチンが豊富な南極オキアミが使われています。
ビタミンB12
ビタミンB12は動物性食品にのみに含まれるビタミンです。
ビタミンB12はたんぱく質の合成や赤血球の形成に重要な成分で、体を若々しく保つために大切な成分といわれています。
犬や猫にカニをあげる際の注意点
カニは犬や猫が食べても大丈夫な食材ですが、カニを与える際にはいくつかの注意点があります。
かにかまはNG
ご存じの方も多いかもしれませんがかにかまにカニは入っていません。すけとうだらというタラの一種のすり身で作られています。
かにかま犬猫に与えるのにおすすめできません。その理由は人間用に作られたものなので塩分や糖分の含有量が犬猫にとって多いためです。
塩分過多や糖分過多はよくありません。かにかまを食べさせるのはやめておきましょう。
甲羅や脚に注意
カニの甲羅や脚などの硬い部分を犬猫が食べてしまうと口の中を怪我したり消化不良を起こす可能性があります。
カニを与える際には柔らかい身だけを与え、殻が混ざってしまっていないかチェックしましょう。
犬や猫にあげるカニのレシピ
ドライフードのトッピング
カニをきちんと火が通るようにしっかり茹で、小さくほぐして普段のフードの上にトッピングしてあげましょう。
食いつきが良くないようであれば無理して食べさせないようにしましょう。
【まとめ】犬猫はカニを食べても大丈夫
犬猫はカニを食べても大丈夫ですが以下の点には注意しましょう。
・生では与えない
・アレルギーに注意
・かにみそ・かにかまはNG
今回はカニについて紹介しました。カニは注意点を守れば犬猫が食べても大丈夫な食材です。
普段のフードにちょい足しで与えてみてください。