さくらんぼについて
さくらんぼとはバラ科サクラ属の桜の木になる実のことで、山形県の佐藤錦などが有名です。
5月~7月の初夏ごろが旬で、市場でよく見かけるようになります。
小ぶりでかわいらしい見た目から、パフェ・プリンアラモード・メロンソーダなどにちょこんと乗っているだけでなく
ピアスなどのアクセサリーのデザインとして利用されることも多いです。
そんなさくらんぼは犬猫が食べても大丈夫なのでしょうか。
犬や猫はさくらんぼを食べても大丈夫!
犬や猫はさくらんぼを食べても大丈夫です。
しかしさくらんぼを与える際には気をつけておきたいポイントがあるので解説します。
種や茎に注意!
犬猫はさくらんぼの種や茎を食べてはいけません。さくらんぼの種や茎には「アミグダリン」というシアン化化合物が含まれています。
猛毒として有名な「青酸カリ」もシアン化化合物の1つで、それと同じような成分が含まれているのです。
アミグダリンはかつて「ビタミンB17」と呼ばれ人体に良いものとされていましたが
現在は体に悪い影響を与えることが判明しビタミンからは外されアミグダリンと呼ばれています。
シアン化化合物は体内で分解され、「シアン化水素」と言うものを発生させます。
シアン化水素は体液や血液に拡散していき細胞内のミトコンドリアに致命的なダメージを負わせます。
犬猫にさくらんぼの種は与えないようにし、飼い主様も間違えて飲み込んでしまわないようにしましょう。
何個まで与えても大丈夫?
種や茎を取り除いたからといって犬猫にさくらんぼをいくつも与えるのはよくありません。
さくらんぼにはソルビトールという成分が含まれています。ソルビトールというのは糖アルコールの一種で飴やガムの甘味料としても利用されています。
ソルビトールは腸を刺激し、消化にも悪いため下痢・消化不良などの原因となります。
また、さくらんぼには果糖が多く含まれているので食べ過ぎると肥満の原因になってしまいます。
猫の場合は1日1~2粒、犬の場合は2~3粒程度にしておくのがよいでしょう。
さくらんぼに含まれる代表的な栄養素
国産 生 可食部100gあたり
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー | 64kcal |
たんぱく質 | 0.8g |
炭水化物 | 14.2g |
カリウム | 210mg |
ビタミンC | 10mg |
ビタミンE | 0.5mg |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
カリウム
カリウムの働き
カリウムは同じミネラルであるナトリウムと共に体液の浸透圧の調整や細胞機能の維持をしています。
また、ナトリウムが増えすぎた場合に体外へ排出するのもカリウムの役割です。
カリウムが不足するとどうなる?
総合栄養食のペットフードを与えているとカリウムが不足する心配は基本的にはありませんが、体調不良や老化により食欲不振や嘔吐が続くとカリウム不足になり「低カリウム血症」を発症する恐れがあります。
低カリウム血症になると筋量低下や歩行不全などの症状が現れます。
たくさん摂取しても大丈夫?
通常、摂取しすぎたカリウムは尿と共に体外へ排出されます。しかし、老化などで腎機能が低下した犬猫はカリウムの排出が上手くできず「高カリウム血症」になってしまうかもしれません。
高カリウム血症は最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。腎機能が低下している愛犬・愛猫には普段から気を配ってあげてください。
ビタミンC
ビタミンCには抗酸化作用があるので人間だけでなく犬や猫にも必要なビタミンです。
しかし犬や猫は人間と違ってビタミンCを体内で生成することができます。それではわざわざ外から摂取する必要がなさそうに思えますがそうでもありません。
ビタミンCは犬や猫の肝臓で生成されます。犬や猫が老化すると当然内臓の機能が衰えてきますので肝臓がビタミンCを生成する能力も衰えるわけです。
特にシニアの犬や猫は積極的に摂取した方がいいといえます。
ビタミンE
ビタミンEにも抗酸化作用があります。細胞の酸化を進める「活性酸素」や「過酸化物」に対して有効なビタミンですが
これらの成分と闘ったあとは「ビタミンEラジカル」という犬猫にとって悪い成分に変化してしまいます。
このビタミンEラジカルを正常なビタミンEに戻してくれるのがビタミンCなのでビタミンCとビタミンEがどちらも含まれているさくらんぼには高い抗酸化作用が期待できます。
ポリフェノール
ポリフェノールとは植物の苦みや色素の元となる成分で自然界に約5000種類ほどあるといわれています。
ポリフェノールにもビタミンCやビタミンEと同じように抗酸化作用があります。
アントシアニン
ブルーベリーに含まれているイメージが強いアントシアニンですがさくらんぼにも含まれています。
アントシアニンには抗酸化作用の他にがんを予防する効果や視力改善の効果があると言われています。
カテキン
カテキンは緑茶のイメージが強いですがさくらんぼにも含まれています。
カテキンには抗ウイルス作用や抗がん作用、抗菌作用などがあると言われています。
犬や猫にさくらんぼをあげる際の注意点
犬猫にさくらんぼを与える際の注意点を紹介します。
シロップ漬けのさくらんぼに注意!
パフェやメロンソーダに使用されているさくらんぼは生のさくらんぼより全体的に色が均一でとても赤く身が柔らかいですよね。
あのようなさくらんぼは缶詰で売っているようなシロップ漬けのさくらんぼなんです。
缶詰のシロップ漬けさくらんぼを犬猫に与えるのはやめましょう。
多量の砂糖が使用されているので犬猫が糖分過多になってしまい、肥満や糖尿病の原因となる可能性があります。
アメリカンチェリーは大丈夫?
国産のさくらんぼに比べ黒い色をしているのが特徴のアメリカンチェリー。アメリカンチェリーも犬猫が食べても大丈夫です。
アメリカンチェリーには国産のさくらんぼよりもポリフェノールが豊富に含まれています。あの黒い色はポリフェノールなんです。
アメリカンチェリーは糖類の含有量が国産のものよりわずかに多いので注意してください。
犬や猫にあげるさくらんぼのレシピ
果物なのでそのままで!
さくらんぼを犬猫に与える場合はそのままあげるのがいいでしょう。
よく洗ったさくらんぼの茎と種を取り除き、犬猫が食べやすい大きさにして与えてあげましょう。
食べない場合は無理に与えなくて大丈夫です。特に猫は肉食動物なので好んで食べないこともあると思います。
そんなときは無理矢理与えず諦めましょう。
【まとめ】犬猫はさくらんぼを食べても大丈夫
犬猫はさくらんぼを食べても大丈夫です。要点をおさらいしましょう。
- ビタミンC・ビタミンE・ポリフェノールが含まれていて高い抗酸化作用が期待できる
- 種や茎には危険な成分が含まれているので必ず取り除く
- 果糖やソルビトールが含まれているので与えすぎに注意
今回はさくらんぼについて紹介しました。
夏が近づいてきたらおやつ感覚で少量与えてみるのも良いと思います。