和食の定番調味料、みりん
みりんは優しい甘みが特徴の酒類調味料。
いわゆる料理の「さしすせそ」には含まれていませんが、料理レシピを見ていると頻繁に目にしますよね。
みりんは大きく分けると2種類。
- 本みりん:もち米を主原料とし時間をかけて熟成される
- みりん風調味料:糖類・米・調味料などを配合して短期間で作られる
料理に使うことで、照りを出したりうま味や風味を与えたりと様々な効果を発揮し、煮物のほか炒め物などにも役立ちます。
犬猫にみりんを与えてはダメ!
料理を美味しくできるのならフードを手作りする時に使えるかな?と気になりますが、犬猫にみりんを与えてはいけません!
アルコールが含まれているので、少量でも非常に危険です。
本記事では
- アルコールが犬猫に及ぼす症状や危険な量
- みりん類とアルコール飲料のアルコール量比較
- 誤食・誤飲をした際に考えられる症状・対応方法
についてお話していきます。
ちょっと舐めたけど大丈夫?
少量でも大丈夫とは言い切れません。
アルコール度数の高い「本みりん」の場合は特に危険です。
「みりん風調味料」は「本みりん」よりリスクは低いですが、絶対安心とは言えません。
危険な理由やその量に関しては、後ほどお話します。
みりん干しは大丈夫?
みりん干しも犬猫には様々な危険があります。
みりん干しは、水飴・みりん・砂糖・化学調味料・食塩などの含まれる調味液に魚を漬け込んだあと乾燥させ作られる干物。
みりんにはアルコール成分が含まれていますし、その他の調味液の成分も犬猫が口にするには不適切です。
また、魚は骨が多いので、骨ごと誤食すると喉に刺さることも。
少しかじった程度なら不安は少ないですが、大量に誤食した際はすぐに動物病院へ連絡を取りましょう。
みりんが犬猫に危険な理由
既に触れていますが、みりんが犬猫に危険な理由はアルコールが含まれているからです。
特に「本みりん」は酒税がかかっており、未成年が購入できないほどです。
ネギ類やチョコレートなど少量でも犬猫に絶対NGな食材はいくつかありますが、アルコールはそれらと肩を並べるほど危険な存在。
犬猫はアルコールを分解することができないため、お酒には非常に弱い生き物と言えます。
アルコールを摂取することで考えられる症状
一般的には飲んでからあまり時間を置かず、30分前後で急性アルコール中毒の症状が現れはじめます。
中毒になった場合は以下のような症状が考えられます。
- 下痢・嘔吐
- 元気と食欲が無くなる
- 震え
- 意識が朦朧とする
- 呼吸困難
特に「意識朦朧」、「呼吸困難」の症状が出た場合は危険性が高く、最悪の場合は命に関わることもあります。
犬猫にとって危険なアルコールの量
犬猫がアルコール中毒を起こす量は、体重1kgあたり5g程度と言われています。
例えば体重5kgの犬猫は25gのアルコールを摂取すると死亡のリスクが高くなると考えられます。
25gのアルコールと言われてもいまいちピンと来ないかも知れませんが、こちらの計算式から算出することができます。
摂取量(ml) × 度数 / 100 × 0.8(比重) = アルコール量(g)
15℃のアルコール飲料を100ml誤飲したと仮定して計算すると、22gのアルコールを摂取したことになり、体重5kgの犬猫にはかなり危険であることがわかります。
また、この中毒を引き起こす量はあくまで目安ですのでお気をつけください。
人間でも同じものを飲食したのに元気な人も居れば倒れた人もいるケースがあるように、犬猫も様々な個体差がある為ほんの少量のアルコールでも深刻な症状を引き起こしてしまう子もいます。
「みりん」と「アルコール飲料」100gあたりの度数と含有量の比較
アルコール度数 | アルコールg換算 | |
---|---|---|
本みりん | 14% | 9.5g |
みりん風調味料 | 0.5% | 0.3g |
本なおし | 22.4% | 17.3g |
ウィスキー | 40% | 33.4g |
焼酎 | 35% | 29.0g |
日本酒 | 15.4% | 12.3g |
赤ワイン・白ワイン | 約11.5% | 約9.2g |
ビール(淡色) | 4.6% | 3.7g |
参考資料:八訂 食品成分表 2022
表をご覧頂くとわかるように、本みりんは日本酒とそう変わらない程度にアルコール度数が高くなっています。
みりん風調味料はかなりアルコールが抑えられていますが、それでもゼロではありません。
ちなみに「本直し」はみりんの焼酎割を指します。
加熱したらアルコールが無くなるんじゃないの?
確かに、加熱することで人間にはほとんど影響がない程度にアルコールを揮発させることができます。
しかし完全に無くすことはできず、ほんのわずかですが残ってしまうようです。
既にお話していますが、犬猫の個体差によりほんの少量でも重篤な症状を引き起こしてしまうケースは無いと言い切れません。
犬猫の食事に必ずみりんを取り入れないといけない訳ではないので、リスクを考えると回避すべきです。
みりんやみりんを使用した食事を犬猫が誤飲・誤食した場合の対応方法
状況を把握する
- みりんなどなにを口にしたのか
- それはどれくらいの量なのか
- 現在の犬猫の様子は
まずはこれらを確認しましょう。緊急性の高さを推し量ることができますし、動物病院との連絡もスムーズになります。
非常に大量の誤飲・誤食をしてしまった、軽く見ただけで深刻な状況であるとわかる、という場合は確認より先に動物病院へ連絡した方が良いかもしれません。
動物病院へ連絡する
みりんなどのアルコール類を誤飲・誤食した場合は症状の有無に関わらず動物病院へ連絡しましょう。
元気そうにしていても、実は事態は深刻だったというケースも考えられます。
前項で確認した状況を伝え、どういった対応をすべきなのか?すぐに病院へ向かうべきなのか?など指示を仰ぎましょう。
【まとめ】
みりんは犬猫に絶対に与えてはいけません!アルコールが含まれており、少量でも重い中毒症状を引き起こす危険があります。
犬猫がアルコール中毒を引き起こす量の目安は体重1kgあたり5g程度ですが、個体差によってもっと少ない量で中毒になってしまうことも考えられます。
これに対し「本みりん」のアルコール含有量は100gあたり9.5gとかなり高くなっています。
みりん風調味料はアルコール含有量が0.3gと非常に少なく、「本みりん」も加熱することでアルコールを飛ばすことができますが、0%ではなく中毒のリスクは完全に排除できません。
みりんなどアルコールを含むものの誤飲・誤食が起きた際は、状況を確認しすぐに動物病院へ連絡しましょう。